ワード:「会社側」

年俸制を採用した場合に年度途中で年俸額を一方的に引き下げることができますか。

この記事の要点 ✓ 年俸制を採用した場合に年度途中で年俸額を一方的に引き下げることができるかどうかは労働契約の解釈問題であり、一般的には年度途中での一方的引き下げはできないケースが多い 年俸制は「1年間の賃金を確定する」という性質を持つためです ✓ 「年俸制でも年度途中での変更を認める」旨の明確な規定が就業規則・労働契約に存在するか……

諸手当を廃止したり支給を停止したりすることはできますか。

この記事の要点 ✓ 賃金規程で定められた諸手当を廃止・停止するためには、賃金規程(就業規則)を変更するか附則に定める必要がある。一方的な廃止・停止は認められない 「今月から住宅手当は出しません」という口頭通告だけでは有効な廃止にはなりません ✓ 諸手当の廃止・停止は就業規則の不利益変更であり、変更の合理性(労契法10条)が審査される……

賞与を支給しないことはできますか。

この記事の要点 ✓ 個別労働契約・就業規則・労働協約のいずれにも一定額・割合の賞与支給義務が定められていない場合は、賞与を支給しなくても法的問題はない まず義務規定の有無を確認することが出発点です ✓ 「毎年払ってきた慣行がある」という理由で賞与請求がなされることがあるが、労使慣行の成立が認められるケースは多くない。3要件すべてを満……

ベースアップを凍結することはできますか。

この記事の要点 ✓ ベースアップは、労使交渉により特段の決定がなされない限り行う必要はない。定期昇給とは異なり、特別の合意がなければ実施義務は発生しない 「凍結する」のではなく「特段の決定がなければそもそも義務はない」という性質のものです ✓ ただし、就業規則・労働協約にベースアップ実施の義務が明記されている場合や、長年の慣行として……

定期昇給を凍結することはできますか。

この記事の要点 ✓ 就業規則に一定額・一定割合以上の定期昇給を行う義務が定められている場合。凍結するためには労働協約の締結か就業規則変更が必要 就業規則に義務規定がある場合、一方的に凍結することはできません ✓ 同意が得られず就業規則変更による一方的変更を行う場合。合理性(労契法10条)の有無が問題となり、特に高度の必要性が要求され……

未発生の賃金債権の減額に対する同意の意思表示の効力を肯定するための要件を教えてください。

この記事の要点 ✓ 未発生の賃金債権の減額への同意についても、近時の傾向として、自由な意思に基づくものであることが明確であることが要求される。「受け入れる行為があった」だけでは足りない 379番(既発生の賃金債権の放棄)の隣接問題として、未発生の場合も同様の厳格な傾向が見られます ✓ 最低限の要件①:書面による同意書の取得。口頭同意……

個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約、就業規則が存在する場合、個別合意だけでは賃金減額の効力は生じませんか。

この記事の要点 ✓ 個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約・就業規則が存在する場合、それらの効力が個別合意に優先するため(労組法16条・労契法12条)、個別合意だけでは賃金減額の効力は生じない 「本人が同意したから大丈夫」という発想は、既存の協約・就業規則が上位にある限り通用しません ✓ 賃金減額を有効に行うためには、先……

労契法9条の合意があった場合、合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないと考えてよろしいでしょうか。

 「就業規則の不利益変更は、それに同意した労働者には同法9条によって拘束力が及び、反対した労働者には同法10条によって拘束力が及ぶものとすることを同法は想定し、そして上記の趣旨からして、同法9条の合意があった場合、合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないと解される。」(協愛事件大阪高裁平成22年3月18日判決)との見解が妥当と思われますが、労働者の同意があれば合理性や周知性は就業規則の変更……

就業規則の変更による賃金減額が有効となるための要件を教えてください。

この記事の要点 ✓ 就業規則変更による賃金減額が有効となるためには、①労働者との合意(労契法9条反対解釈)または②変更の合理性と周知(労契法10条)のいずれかを満たす必要がある どちらも要件として認められていますが、それぞれに固有の落とし穴があります ✓ 要件①(合意変更)は、就業規則変更と個別合意を組み合わせる方法——「同意書があ……

労働協約を締結することができない場合や労働協約の効力が及ばない労働者の賃金を減額する方法としては、どのようなものが考えられますか。

この記事の要点 ✓ 労働協約を締結できない場合や効力が及ばない労働者への賃金減額方法は、就業規則変更(労働契約法10条)または個別合意の2つ 368番で解説した3つの手法のうち、①労働協約が使えない場合の選択肢が②就業規則変更と③個別合意です ✓ 就業規則変更による賃金減額は対象者が多数の場合に有効だが、変更の合理性(労契法10条)……

労働組合との間で賃金減額に関する労働協約を締結した場合、賃金減額の効力は非組合員にも及びますか。

この記事の要点 ✓ 労働協約の効力は原則として組合員にのみ及ぶが、一の事業場の4分の3以上の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該事業場の他の同種労働者にも一般的拘束力が及ぶ(労組法17条) この場合、賃金減額の効力は組合員でない未組織労働者にも及びます ✓ 特定の未組織労働者に適用することが著しく不合理であると認め……

労働組合との労働協約で賃金を変更した場合、その効力は組合員に及びますか。

この記事の要点 ✓ 労働協約の規範的効力(労組法16条)により、会社と労働組合が合意した賃金の定めは個々の労働契約に優先して適用される 個別合意・就業規則変更と並ぶ3つの賃金変更手法の中で、最も強い法的効力を持ちます(368番参照) ✓ 組合員個人が賃金減額に反対していても、適法に締結された労働協約の効力は原則としてその組合員にも及……

飲食店における手待時間は、労働時間として残業代の計算に含める必要がありますか。

この記事の要点 ✓ 「客がいない時間は休憩でよい」と指示していても、来客時に直ちに対応する義務がある以上、その時間は原則として残業代(割増賃金)計算の対象となる労働時間に当たる 実作業がないことと、労働時間でないこととは別問題です ✓ 法的に「休憩時間」と認められるためには、労働者が使用者の指揮命令から離れ、自由に時間を使える状態(……

運送業で残業代請求リスクが特に高いのは、なぜですか。

この記事の要点 ✓ 「1日いくら払えば残業代は発生しない」という誤解が業界に広く浸透している——日当制・歩合制という賃金慣行と労基法のズレが最大のリスク源 実態として労働者性が認められる以上、賃金形態にかかわらず割増賃金の支払義務は生じます ✓ 長距離運行・手待時間・深夜運転という三重の要素が重なり、未払いがあった場合の請求額が数百……

組み込み型の定額残業代は、どのような場合に有効ですか。

この記事の要点 ✓ 最低限、賃金規程等への定め(または個別合意書への記載)が必要——口頭説明のみでは定額残業代として認められない 「口頭で説明した」だけでは労働契約の内容になっているとは認められないのが通常です ✓ 通常の賃金部分と定額残業代部分が「判別可能」である必要がある——判別できなければ残業代の支払があったとは認められない(……

金額を特定しない残業代込みの合意は、有効ですか。

この記事の要点 ✓ 残業代に当たる部分の額を特定せずに合意・署名押印させても、通常の賃金と残業代の各部分が計算・検証できないため、残業代の支払があったとは認められない 「月給に残業代が含まれる」と口頭・書面で合意しても、金額の特定がなければ無効です ✓ モルガン・スタンレー・ジャパン(超過勤務手当)事件東京地裁H17.10.19判決……

高い給与を払っていれば、残業代は別途不要と言えますか。

この記事の要点 ✓ 高額の基本給・手当・賞与の支給は残業代の支払の代わりにはならない——別途残業代(割増賃金)の支払義務が生じる 「十分な報酬で報いているから残業代は別途不要」という考えは法律上通用しません ✓ むしろ、毎月の基本給等の金額が上がれば残業代の単価が上がることになり、かえって高額の残業代請求を受けるリスクが高くなる ……

年俸制の社員にも、残業代を支払う必要はありますか。

この記事の要点 ✓ 年俸制の社員も労基法上の労働者であり、時間外・休日・深夜に労働させた場合は残業代(割増賃金)を支払う必要がある 「年俸制=残業代不要」は法律上の根拠がない誤解です ✓ 労基法上、年俸制社員について残業代(割増賃金)の支払義務を免除する規定は存在しない 賃金の算定・支払方法が「年俸制」であることは、残業代免除の根……

残業代を支払わないという就業規則の定めは、有効ですか。

この記事の要点 ✓ 就業規則は労基法に違反してはならない(労基法92条1項)——残業代を支払わない旨の就業規則の定めは、労基法37条に違反するため無効 「就業規則に書けば合法になる」という誤解は法律上通用しません ✓ 労基法違反の就業規則はその部分に関して無効となり、無効となった部分は労基法が適用される(労契法13条) 「就業規則……

残業代不要の誓約書に署名させても、残業代は必要ですか。

この記事の要点 ✓ 「残業代を支払わなくても異存はない」という誓約書への署名押印があっても、残業代の支払義務は消えない 誓約書は「合意の証拠」にはなりますが、残業代支払義務を消す効力はありません ✓ 343番で解説したとおり、残業代(割増賃金)を支払わない旨の合意は労基法13条により無効——誓約書による「合意」も同様に無効 合意の……

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