ワード:「就業規則」

年次有給休暇を買い上げることはできますか。

この記事の結論 1 強制買い上げは不可。合意による買い上げも原則として認められない 使用者が強制的に年休を買い上げることはできず、労働者との合意による買い上げも、労基法39条の趣旨(「休暇を与える制度」)に反するものは労基法13条により無効となります。 2 例外的に認められる買い上げは2場面 ①退職時に消化しきれなかった年休の買い……

就業規則や労働契約で民法536条2項を排除することは、原則として認められませんか。

この記事の要点 ✓ 理論的には60%で足りるはずだが、裁判所は就業規則や労働契約による民法536条2項の適用除外について慎重に判断する傾向がある 単に「休業期間中は平均賃金の60%の休業手当を支払う」と定めるだけでは不十分とされたケースがあります ✓ いすゞ自動車(雇止め)事件(東京地裁平成24年4月16日):「休業手当として60%……

労働協約により民法536条2項を排除して休業手当のみとする合意は、有効ですか。

この記事の要点 ✓ 民法536条2項は任意規定であり、特約(労働協約・就業規則・個別合意)で排除することができる。労基法26条(強行規定)とは異なる 388番で解説した「排除できない休業手当(労基法26条)」と「排除できる賃金請求権(民法536条2項)」の区別が重要です ✓ 民法536条2項の適用を排除し60%の休業手当のみを支払う……

休業手当と民法上の賃金請求権は、どのような関係にありますか。

この記事の要点 ✓ 使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合の休業手当(労基法26条)の支払義務は、労働協約・就業規則・個別合意によっても排除することができない 「就業規則で不支給と定めれば払わなくてよい」は誤りです ✓ 根拠は3つの強行法規。労基法は労働契約に優先(労基法13条)、就業規則が労働基準法違反は無効(労基法92条)、……

使用者の責めに帰すべき事由による休業とは、どのような場合をいいますか。

この記事の要点 ✓ 会社の業績が悪いことを理由として休業がなされた場合、通常は「使用者の責めに帰すべき事由」があると評価される。休業手当(平均賃金の60%以上)の支払義務が生じる(労基法26条) 「業績が悪いから休業させる・賃金は払わない」という対応は労基法26条に違反します ✓ 「使用者の責めに帰すべき事由がない休業」(不可抗力等……

次年度の年俸額引下げを求めたところ合意が成立しなかった場合、次年度の年俸額はどうなりますか。

この記事の要点 ✓ 次年度の年俸引き下げ交渉が決裂した場合の年俸額がどうなるかは、労働契約の解釈問題であり、裁判例でも結論が分かれている。事前に明確な規定を設けておくことが唯一の予防策 「交渉が決裂したら前年度の額が自動的に継続する」わけでも、「会社が提示した額が適用される」わけでも、どちらとも言い切れません ✓ 裁判例①:使用者が……

年俸制を採用した場合に年度途中で年俸額を一方的に引き下げることができますか。

この記事の要点 ✓ 年俸制を採用した場合に年度途中で年俸額を一方的に引き下げることができるかどうかは労働契約の解釈問題であり、一般的には年度途中での一方的引き下げはできないケースが多い 年俸制は「1年間の賃金を確定する」という性質を持つためです ✓ 「年俸制でも年度途中での変更を認める」旨の明確な規定が就業規則・労働契約に存在するか……

諸手当を廃止したり支給を停止したりすることはできますか。

この記事の要点 ✓ 賃金規程で定められた諸手当を廃止・停止するためには、賃金規程(就業規則)を変更するか附則に定める必要がある。一方的な廃止・停止は認められない 「今月から住宅手当は出しません」という口頭通告だけでは有効な廃止にはなりません ✓ 諸手当の廃止・停止は就業規則の不利益変更であり、変更の合理性(労契法10条)が審査される……

賞与を支給しないことはできますか。

この記事の要点 ✓ 個別労働契約・就業規則・労働協約のいずれにも一定額・割合の賞与支給義務が定められていない場合は、賞与を支給しなくても法的問題はない まず義務規定の有無を確認することが出発点です ✓ 「毎年払ってきた慣行がある」という理由で賞与請求がなされることがあるが、労使慣行の成立が認められるケースは多くない。3要件すべてを満……

ベースアップを凍結することはできますか。

この記事の要点 ✓ ベースアップは、労使交渉により特段の決定がなされない限り行う必要はない。定期昇給とは異なり、特別の合意がなければ実施義務は発生しない 「凍結する」のではなく「特段の決定がなければそもそも義務はない」という性質のものです ✓ ただし、就業規則・労働協約にベースアップ実施の義務が明記されている場合や、長年の慣行として……

定期昇給を凍結することはできますか。

この記事の要点 ✓ 就業規則に一定額・一定割合以上の定期昇給を行う義務が定められている場合。凍結するためには労働協約の締結か就業規則変更が必要 就業規則に義務規定がある場合、一方的に凍結することはできません ✓ 同意が得られず就業規則変更による一方的変更を行う場合。合理性(労契法10条)の有無が問題となり、特に高度の必要性が要求され……

未発生の賃金債権の減額に対する同意の意思表示の効力を肯定するための要件を教えてください。

この記事の要点 ✓ 未発生の賃金債権の減額への同意についても、近時の傾向として、自由な意思に基づくものであることが明確であることが要求される。「受け入れる行為があった」だけでは足りない 379番(既発生の賃金債権の放棄)の隣接問題として、未発生の場合も同様の厳格な傾向が見られます ✓ 最低限の要件①:書面による同意書の取得。口頭同意……

既発生の賃金債権の減額に対する同意の意思表示の効力を肯定するための要件を教えてください。

この記事の要点 ✓ 既発生の賃金債権の放棄は「賃金全額払の原則」(労基法24条1項)に関わるため、自由な意思に基づいてされたものであることが明確でなければ効力が肯定されない(シンガーソーイングメシーン事件・最高裁昭和48年1月19日) 将来の賃金減額への同意よりも、既発生の賃金債権の放棄には一段高い要件が課されます ✓ 最低限の要件……

個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約、就業規則が存在しない場合は、個別合意により賃金減額の効力が生じますか。

この記事の要点 ✓ 個別合意よりも社員に有利な労働協約・就業規則が存在しない場合は、個別合意により賃金減額の効力が生じる。この場合は協約・就業規則の変更なしに個別合意だけで対応できる 377番とは逆の状況です ✓ ただし、賃金減額への同意の認定は慎重になされるため、口頭での同意は「同意なし」と認定されるリスクが高い。必ず「書面」で同……

個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約、就業規則が存在する場合、個別合意だけでは賃金減額の効力は生じませんか。

この記事の要点 ✓ 個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約・就業規則が存在する場合、それらの効力が個別合意に優先するため(労組法16条・労契法12条)、個別合意だけでは賃金減額の効力は生じない 「本人が同意したから大丈夫」という発想は、既存の協約・就業規則が上位にある限り通用しません ✓ 賃金減額を有効に行うためには、先……

具体的に発生した賃金請求権を事後に変更された就業規則の遡及適用により処分又は変更することは許されますか。

この記事の要点 ✓ 具体的に発生した賃金請求権を、事後に変更された就業規則の遡及適用によって処分または変更することは許されない(香港上海銀行事件・最高裁平成元年9月7日第一小法廷判決) 就業規則の変更は将来に向かって効力を持つものであり、過去に発生した権利には遡及しません ✓ 労働協約の事後変更でも(371番)、就業規則の遡及適用で……

就業規則の変更により賃金を減額する場合に要求される合理性の程度を教えてください。

この記事の要点 ✓ 賃金・退職金など労働者にとって重要な権利・労働条件に実質的な不利益を及ぼす就業規則の変更には、「高度の必要性に基づいた合理的な内容」が要求される(大曲市農協事件・最高裁昭和63年2月16日) 通常の労働条件変更より格段に高いハードルが設定されています ✓ 「高度の必要性」とは、単に経営上の効率化・コスト削減を望む……

労契法9条の合意があった場合、合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないと考えてよろしいでしょうか。

 「就業規則の不利益変更は、それに同意した労働者には同法9条によって拘束力が及び、反対した労働者には同法10条によって拘束力が及ぶものとすることを同法は想定し、そして上記の趣旨からして、同法9条の合意があった場合、合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないと解される。」(協愛事件大阪高裁平成22年3月18日判決)との見解が妥当と思われますが、労働者の同意があれば合理性や周知性は就業規則の変更……

就業規則の変更による賃金減額が有効となるための要件を教えてください。

この記事の要点 ✓ 就業規則変更による賃金減額が有効となるためには、①労働者との合意(労契法9条反対解釈)または②変更の合理性と周知(労契法10条)のいずれかを満たす必要がある どちらも要件として認められていますが、それぞれに固有の落とし穴があります ✓ 要件①(合意変更)は、就業規則変更と個別合意を組み合わせる方法——「同意書があ……

労働協約を締結することができない場合や労働協約の効力が及ばない労働者の賃金を減額する方法としては、どのようなものが考えられますか。

この記事の要点 ✓ 労働協約を締結できない場合や効力が及ばない労働者への賃金減額方法は、就業規則変更(労働契約法10条)または個別合意の2つ 368番で解説した3つの手法のうち、①労働協約が使えない場合の選択肢が②就業規則変更と③個別合意です ✓ 就業規則変更による賃金減額は対象者が多数の場合に有効だが、変更の合理性(労契法10条)……

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