労働問題193 再雇用後の賃金水準に対する規制はありますか。

 高年法上、継続雇用後の賃金等の労働条件については特別の定めがなく、年金支給開始年齢の65歳への引上げに伴う安定した雇用機会の確保という同法の目的、パート労働法8条、労契法20条、最低賃金法等の強行法規、公序良俗に反しない限り、就業規則、個別労働契約等において自由に定めることができます。
 定年後に再雇用された社員の賃金水準が定年退職前よりも下がるのはむしろ通常の話であり、社会通念に照らし、直ちに不当ということはできません。定年の延長や継続雇用の場合は手順を間違えると労働条件の不利益変更(労契法9条・10条参照)の問題となってしまうリスクがありますが、再雇用の場合はいったん定年退職し新たな労働契約を締結するわけですから、定年退職前の労働条件との関係では労働条件の不利益変更の問題とはならないと考えられます。
 もっとも、就業規則で再雇用後の賃金等の労働条件を定めて周知させている場合はそれが労働条件となりますから、再雇用後の労働条件を就業規則に定められている労働条件に満たないものにすることはできません。

 

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