ワード:「会社経営者向け」

手待時間は労働時間になりますか。

この記事の結論 1 即時対応義務があれば手待時間として労働時間になる 手待時間とは、指示があれば直ちに業務に従事しなければならない状態に置かれている時間をいい、実際に作業をしているかどうかにかかわらず、指揮命令下に置かれていれば労働時間に該当します。 2 仮眠時間も対応義務があれば手待時間になり得る 実際の作業発生頻度が少なくても……

労基法上の「労働時間」に当たるかどうかは、どのような基準で判断されますか。

この記事の結論 1 労働時間は指揮命令下にあるかで客観的に判断される 労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、これに該当するか否かは客観的に定まります(三菱重工業長崎造船所事件、最高裁)。会社の主観的意図や就業規則の定めによって左右されません。 2 明示の指示がなくても黙示の指揮命令が認定され得る 時間外……

36協定を締結すれば残業代は不要になりますか。

この記事の結論 1 36協定は労働を適法にする手続にすぎない 36協定は、法定労働時間を超える時間外労働・法定休日労働を適法に行わせるための手続要件にすぎません。割増賃金の支払義務は完全に別の問題として存続し、協定の締結が残業代の支払いを免除する効果はありません。 2 合意による残業代不要化も無効になり得る 割増賃金の支払義務は強……

出向者の復帰命令は拒否できますか。

この記事の結論 1 復帰命令は、特段の事由がない限り、労働者の同意なく発令できる 出向元が出向先の同意を得たうえで出向関係を解消し、労働者に復帰を命ずることについて、特段の事由のない限り、労働者の同意を得る必要はないとされています(古河電気工業・原子燃料工業事件、最判昭和60年4月5日)。 2 出向時に「復帰させない」旨の合意があれ……

出向命令はどこまで有効ですか。

この記事の結論 1 出向命令権があっても、権利濫用にあたれば無効になる(労契法14条) 出向命令は、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、権利を濫用したと認められる場合には無効となります(労働契約法14条)。命令権の存在は前提にすぎず、その行使の当否が別途問われます。 2 判断は業務上の必要性・人選の合理性・……

採用・派遣労働者との紛争は労働審判の対象になりますか。

この記事の結論 1 「労働関係」は契約名称ではなく実態で判断。業務委託・請負でも労働審判の対象になり得る 業務委託・請負・フリーランス契約でも実質的な指揮命令関係・報酬の労務対償性が認められれば労働者性が問題となり、「未払賃金」「解雇無効」として労働審判を申し立てられる可能性があります。 2 派遣先は原則対象外。ただし偽装請負・労働……

個別労働関係民事紛争の範囲と労働審判の対象について教えてください。

この記事の結論 1 労働審判の対象は「特定の労働者と会社との労働契約上の権利義務紛争」に限定 解雇・残業代・安全配慮義務違反が典型類型です。組合が関与していても個別の権利請求として構成されれば対象になり得ます。「組合が絡めば労働審判ではない」という単純化は誤りです。 2 M&A・合併後に承継会社が過去の労務問題の当事者となる……

労働審判の代理人は、弁護士以外の者がなることもできますか。

この記事の結論 1 代理人は原則として弁護士のみ。社労士・人事担当者等は当然には代理人になれない 例外は①法令により代理できる代表者等と②裁判所が許可した者のみです。裁判所の許可が認められるケースは極めて限定的で、会社側ではほとんど認められません。許可を前提に体制を組むことは危険です。 2 代理人選任はコスト問題ではなく経営防衛戦略……

労働審判の管轄裁判所と合意管轄の実務ポイントについて教えてください。

この記事の結論 1 管轄は①相手方の所在地②就業地③合意管轄の3つ。本店所在地だけが管轄ではない 多拠点展開企業では支店・事業所の所在地が管轄候補となり、さらに就業地管轄(労働者が現に就業していた事業所の所在地)もあるため、本社とは異なる地域での申立てを想定する必要があります。 2 合意管轄は書面で明確に合意が必要。「裁判管轄」との……

労働審判制度の仕組みと会社側の対応戦略について教えてください。

この記事の結論 1 労働審判は原則3回以内の期日で終結する短期決戦型。第1回期日は申立てから40日以内 労働審判(労働審判法1条)は、個別労働関係民事紛争を迅速に解決するための裁判所の手続きです。申立てから40日以内に第1回期日が設定されるため、申立書受領後すぐに準備を開始する必要があります。 2 非公開・調停中心・金銭解決が多い。……

ストライキ目的の一斉有給取得は拒否できますか。

この記事の結論 1 ストライキ目的の一斉有給取得は「年次休暇に名を借りた同盟罷業」であり賃金支払い不要 形式が有給休暇申請でも、事業の正常な運営を阻害する目的で一斉に行われる場合は実質がストライキ(同盟罷業)です。最高裁(白石営林署事件・国鉄郡山工場事件・昭和48年3月2日)により賃金支払義務はなく、ノーワーク・ノーペイの原則が適用されます。 ……

労働時間等設定改善委員会とはどのようなものですか。

この記事の結論 1 5分の4以上の決議で労使協定に代わる効力が認められる 労働時間等設定改善委員会(労時法6条)は、委員の5分の4以上の多数による決議がなされた場合、変形労働時間制・裁量労働制・36協定等の労使協定に代わる効力が認められます。 2 委員構成・議事録・運営規程の整備が有効性の前提 有効な委員会として認められるには、委……

復職の判断における「休職事由の消滅」とは何ですか。

この記事の結論 1 「元の仕事ができない=退職」とは限らない 休職事由の消滅(治癒)の判断基準は「労働契約上の業務を遂行できる健康状態に回復したか」です。医学的完治は必要とされず、「支障なく業務遂行できるか」で判断されます。 2 職種限定がない場合は他業務への配置可能性の検討が必要 職種限定のない総合職では、元の仕事ができなくても……

職務限定合意がある労働者を配転することはできますか。

この記事の結論 1 職務限定がある場合、配転には原則として本人の合意が必要 総合職のような包括的な配転命令権は認められません。限定範囲外への異動は契約内容の変更に当たるため、会社の一方的な命令は原則として無効です。 2 例外的に認められる「正当な理由」のハードルは高い 部門廃止や事業縮小など、限定職務の維持が著しく困難な特段の事情……

祝日に働かせた場合、休日割増は必要ですか。

この記事の結論 1 「祝日=休日割増」とは限らない 休日割増賃金(35%以上)の要否を決めるのは「祝日」という名称ではなく、その日が労働基準法上の「法定休日」に該当するかどうかです。 2 法定休日でなくても、時間外割増(25%以上)が発生する場合がある 祝日が法定休日でない場合でも、その日の労働により週40時間(または1日8時間)……

休日の振替には、労働者の同意が必要ですか。

この記事の結論 1 適法な休日振替には、労働者の個別同意は不要 休日の振替は、一定の法的要件を満たせば、労働者の個別同意がなくても業務命令として実施できます。ただし要件を欠けば業務命令としての拘束力は認められません。 2 適法な休日振替には3つの要件が必要 ①就業規則に振替の根拠規定があること、②振替後も法定休日が確保されているこ……

問題社員には、どのように対応すればよいですか。

この記事の結論 1 感情ではなく、客観的証拠の有無が重要 「困った社員」という主観的評価ではなく、裁判で通用する客観的証拠があるかどうかが、問題社員対応の成否を左右します。 2 初動対応のミスは後から取り返しにくい 指導記録の不在や不用意な発言は、後の紛争で会社側の防御力を著しく弱める要因となります。問題が起きた初期段階から法的視……

「解雇されても異議を申し出ない」という書面があれば、懲戒解雇は有効ですか。

この記事の結論 1 「異議を申し出ない」書面があっても、懲戒解雇は当然には有効にならない 懲戒解雇の有効性は、客観的な懲戒事由の存在・処分の相当性・手続の適正によって判断されます。労働者が「異議を申し出ない」と記載した書面の存在のみで、法的リスクが解消されるわけではありません。 2 書面の文言より「作成に至る経緯」と真意性が重視され……

退職勧奨は、どこまで許されますか。

この記事の結論 1 退職勧奨自体は違法ではなく、説明・説得は一定範囲で許される 経営上の判断として退職を打診し、説明や説得を行うこと自体は、正当な業務の範囲内として許容されます。労働者が当初消極的でも、再検討を求める説得が直ちに違法になるわけではありません。 2 適法性の鍵は「労働者の任意性」にある 働きかけが社会通念上相当な範囲……

退職勧奨と希望退職者募集の違いは何ですか。

この記事の結論 1 いずれも「合意退職」であり、一方的な解雇とは法的構造が異なる 退職勧奨も希望退職者募集も、本質は労働者の自由な意思に基づく合意退職です。会社が一方的に契約を終了させる解雇とは、法的な構造が根本的に異なります。 2 適法性の鍵は「任意性の確保」にある 形式的に退職届を受理していても、心理的圧迫があれば任意性が否定……

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