労働問題619 労働時間等設定改善委員会とはどのような委員会ですか?

1.労働時間等設定改善委員会とは
 企業における労働時間等の定め方を、労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへと改善していくためには、企業内において労使間の話し合いの機会を整備し、話し合いの成果を適切に実施するための体制作りを進めることが必要です。
 「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(平成4年法律第90号)では、「事業主は、事業主を代表する者及び当該事業主の雇用する労働者を代表する者を構成員とし、労働時間等の設定の改善を図るための措置その他労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とする全部の事業場を通じて一の又は事業場ごとの委員会を設置する等労働時間等の設定の改善を効果的に実施するために必要な体制の整備に努めなければならない。」(同法6条)と定められており、労働時間等の設定の改善を効果的に実施するために必要な体制の整備をするよう努力義務を課しています。
 同条において整備作りの一例として挙げられている委員会のことを、「労働時間等設定改善委員会」といいます。 

2.労働時間等設定改善委員会の要件
 労働時間等設定改善委員会のうち、一定の要件に適合するものについては、労基法の特例として、労基法の労使協定に代わるものとしての効力が認められています。
 具体的な要件は以下のとおりです。
① 委員の半数が、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること。(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第7条1項1号)
 この「労働者の過半数を代表する者」については、次のいずれにも該当する必要があります。
(1) 労基法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
(2) 法に規定する推薦をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。
② 労働時間等設定改善委員会の議事について、開催の都度議事録が作成され、3年間保存されていること。(同法7条1項2号、同法施行規則2条)
③ 労働時間等設定改善委員会の委員の任期、労働時間等設定改善委員会の招集、定足数、議事等を内容とする委員会の運営規程が定められていること。
 そして、上記の要件を満たす労働時間等設定改善委員会において、その委員の5分の4以上の多数の議決によって決議が行われたときは、当該決議をもって次の各制度に関する労使協定に代替することができます。
(1) 1カ月単位の変形労働時間制(労基法32条の2)
(2) フレックスタイム制(同法第32条の3)
(3) 1年単位の変形労働時間制(同法第32条の4第1項)
(4) 1週間単位の非定型的変形労働時間制(同法第32条の5第1項)
(5) 一斉休憩の原則の例外(同法第34条2項ただし書)
(6) 時間外・休日労働(同法第36条1項)
(7) 代替休暇(同法第37条3項)
(8) 事業場外労働に関するみなし労働時間制(同法第38条の2第2項)
(9) 専門業務型裁量労働制(同法第38条の3第1項)
(10) 時間単位年休(同法39条4項)
(11) 計画年休(同法第39条第5項)
 なお、上記(1)(3)(4)(6)(8)(9)に関する労使協定については、労基法上、行政官庁への届け出義務が課されていますが、(1)(3)(4)(8)(9)については、労働時間等設定改善委員会の決議によって、届出義務が免除されます。

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