ワード:「経営者」

賃金債権の相殺に対する労働者の同意の有効性の判断基準を教えて下さい。

 日新製鋼事件最高裁平成2年11月26日第二小法廷判決は、「労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの。以下同じ。)24条1項本文の定めるいわゆる賃金全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、使用者が労働者に対して有する……

賃金債権放棄の有効性の判断基準を教えて下さい。

 シンガーソーイングメシーン事件最高裁昭和48年1月19日第二小法廷判決は、賃金である退職金債権を放棄する旨の意思表示の有効性に関し、「右全額払の原則の趣旨とするところなどに鑑みれば、右意思表示の効力を肯定するには、それが上告人の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならない」とした上で、具体的事案の判断としては、「右事実関係に表れた諸事情に照らすと、右意思表示が上告人の自由な意思に基づ……

賃金から社宅の費用を控除することはできますか。

 賃金は、その全額を支払わなければならないのが原則ですので(労基法24条1項本文)、社宅の費用を賃金から控除することが直ちに認められるわけではありません。労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者(過半数組合がない場合)との間で賃金控除協定(労基法24条1項但書)を締結し、就業規則等に賃金から社宅の費用を控除し得る旨を定めて労働契約の内容とした上で、社宅の費用を賃金から控除する……

一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行う必要がある場合、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える部分の減給を次期の賃金支払期に行うことができますか。

 「総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」(労基法91条)とは、一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以下でなければならないという意味と考えられています(昭和23年9月8日基収第1789号)。
 したがって、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行う必要がある場合、一賃金支払期ご……

問題を起こした社員の給料を6か月に渡り10%減給する懲戒処分をすることはできますか。

 労基法91条は、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と規定しています。
 そして、労基法91条は、同条の制限に違反する減給の制裁を就業規則に定めることを禁止するのみならず、同条の制限に違反して減給することをも禁止しているものと考えられます……

「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則の作成届出義務があるとされていますが(労基法89条)、労働者の人数は企業単位・事業場単位のどちらで考えればいいのでしょうか。

 これは例えば、ある企業が、A事業場で7名、B事業場で7名の労働者を常時使用しているような場合に問題となります。
 反対説もありますが、労基法が事業に使用される労働者に適用されるものであること、労基法90条が就業規則の作成変更の際の意見聴取を事業場単位で行うものとしていることから、常時使用する労働者の人数は事業場単位で考えるのが一般です。
 したがって、上記事例では、A……

年次有給休暇(労基法39条)を買い上げることはできますか。

 年次有給休暇(労基法39条)は労基法上の権利ですので、使用者が強制的に買い上げることはできませんし、労働者との買い上げ合意があったとしても、労基法39条の趣旨に反するようなものについては無効となり、使用者は労働者の年休取得を拒むことができなくなると考えられます(労基法13条)。合意による年休買い上げが認められるかどうかは、労基法39条の趣旨に反しないかを個別に検討して判断するほかありません。続きを見る

労基法39条の年次有給休暇はいつまで繰り越さなければならないのでしょうか。

 労基法上の年次有給休暇(労基法39条)の時効は2年(労基法115条)と考えられています。
 したがって、(当該年度及び)翌年度(2年)の経過により消滅時効にかかりますから、翌年度までは繰り越されることになります。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

当社では年休取得者に対し、「通常の賃金」を支払うこととしていますが、パート・アルバイトの場合、1日の所定労働時間が長い日と短い日があるため、どの日に年休を取るかによって休んだ日の賃金額が変わってきます。何とかならないでしょうか。

 パート・アルバイトの所定労働時間がその日によって変わってくる以上、年休を取得した日に対する賃金として支給される「通常の賃金」の金額が変わってくるのはやむを得ないところです。それが不公平と感じられるようでしたら、所定労働時間がその日によって極端に増減しないような契約内容、シフトにすべきでしょう。
 平均賃金を支給することとしたり、労使協定を締結した上で標準報酬日額に相当する金額を支給……

「全労働日」(労基法39条1項)とは、何を指しますか。

 「全労働日」(労基法39条1項)とは、所定労働日を指します。つまり、総歴日数から、所定休日を除いた日のことです。
 したがって、休日労働をしたとしても、その日は「全労働日」には含まれません。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

労基法39条1項の出勤率の算定に際し、産前産後休業期間については、出勤したものとして取り扱うべきでしょうか。

 労基法39条1項の出勤率の算定に際し、産前産後休業期間については、出勤したものとして取り扱われることになります(労基法39条8項)。
 なお、労基法39条8項では、産前産後休業期間のほか、業務上の災害による休業、育児介護休業の期間についても、出勤したものとみなす旨、規定されています。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

労基法39条1項には、年休が付与されるためには全労働日の8割以上出勤しなければならないと定められていますが、遅刻、早退した日であっても出勤したことになるのでしょうか。

 労基法39条1項の出勤率は、労働日を単位として計算すべきものと考えられます。遅刻、早退した日であっても出勤したことに変わりありませんので、労基法39条1項との関係では出勤したものとして取り扱われることになります。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

採用面接の際、「うちの会社は年休がないけど、それでもいいですか?」との質問に対し、「年休なしでも構いません。ぜひ雇って下さい。お願いします。」と回答したこともあって採用した社員が、年休の取得を求めてきました。労基法上、年休取得の要件を満たしている場合は、年休取得に応じざるを得ないのでしょうか。

 労基法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は、労基法で定める基準によることになります(労基法13条)。労基法39条で定められている年次有給休暇を取得できない旨の合意は無効となり、労基法39条の年休取得の要件を満たしている場合は、貴社は年休取得に応じざるを得ないことになります。仮に、年休がない旨、「書面」で合意され,社員の署名押印があった……

当社のように社員が2名しかおらず年休を取得されると常に事業運営に支障を来すことになるような零細企業でも、年休取得を認めなければならないのでしょうか。

 本来、年休は労働者の指定する時季に与えなければならないものであり、時季変更権の行使はその必要性が認められる場合に例外的に認められるものです(労基法39条5項)。社員が年休を取得したのでは常に事業運営に支障が来すという主張が認められたのでは,社員は年休を全く取得できなくなってしまいます。
 したがって、貴社のような実態がある場合であっても、時季変更権の行使が認められやすくなる一要素と……

「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)に該当するかどうかは、どのような要素を考慮して判断すればいいのでしょうか。

 「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)に該当するかどうかは、一般に、当該労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきであるとされています。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

年次有給休暇を取得する日の3日以上前に年休取得を会社指定の書式で申請しない場合は、年休取得を一切認めないという運用にすることはできますか。

 使用者としては、年休を取得する社員がいる場合、年休を取得した社員の代替要員を手配する必要が生じることがありますから、社員に対し、原則として年次有給休暇を取得する日の3日以上前に年休取得を会社指定の書式で申請するというルールを設けること自体には一応の合理性が認められ、許されるものと考えられます。
 しかし、その期限までに申請しない場合に、年休取得を一切認めないという運用には問題があり……

勤務開始から1年7か月で退職する予定の社員であっても、目立った欠勤をせずに1年6か月継続勤務したら、11日の年休を付与しなければならないのでしょうか。年休付与日数を残勤務期間で日割計算した日数に減らすことはできませんか。

 退職間近な社員に労基法所定の年休を付与するということになると、勤務開始から1年7か月で退職する予定の社員は、1年6か月継続勤務した時点で11日の年休を付与され、最後の1か月でこれを使うことになるでしょうから、最後の1か月のかなりの部分は年休を使うためにあるようなものとなってしまい、使用者から見れば不都合とも思えます。
 しかし、労基法は退職間近であるか否かによって年休の付与日数を変……

年次有給休暇を使い切らずに退職した社員が退職日を1か月程度先に変更した上で年次有給休暇を取得したいと言ってきた場合、これに応じる必要はありますか。

 年次有給休暇は、あくまでも在職中の労働者に対し、有給で労働義務を免除するものです。年次有給休暇を使い切らずに退職した社員は退職日を以て労働契約が終了しており、労働契約が終了した時点で年休を取得する権利は消滅していますので、退職した社員が年次有給休暇を取得する余地はありません。
 理屈では、退職の撤回を認めた上で、年休取得を認めることもできなくはありませんが、法的にはこのような申し出……

退職間近で業務の引継ぎをしてもらわなければ困る社員が退職日までの全ての所定労働日について年休取得申請をしてきた場合、年休取得を拒んで業務の引継ぎをさせることはできますか。

  年休取得に使用者の承認は不要であり、労働者がその有する休暇日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をしたときは、適法な時季変更権の行使がない限り、年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅します。
 使用者が、社員の年休取得を拒むことができるというためには、時季変更権(労基法39条5項)を行使できる場面でなければなりませんが、時季変更権の行使は、「請……

パート・アルバイトの1週間あたりの所定労働日数や所定労働時間が変更された場合、付与すべき年次有給休暇の日数はいつを基準にして決めればいいのでしょうか。

  付与すべき年次有給休暇の日数は、年次有給休暇を取得する権利が発生した日(基準日)の所定労働日数・所定労働時間によって決まります。基準日前に所定労働日数や所定労働時間が変更されていたり、基準日後に所定労働日数や所定労働時間が変更されたりしたとしても、付与される年次有給休暇の日数は変わりません。
 例えば、勤務開始時点においては週3日勤務だったパート・アルバイトが、勤務開始から5か月……

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