労働問題479 年次有給休暇を取得する日の3日以上前に年休取得を会社指定の書式で申請しない場合は、年休取得を一切認めないという運用にすることはできますか。
使用者としては、年休を取得する社員がいる場合、年休を取得した社員の代替要員を手配する必要が生じることがありますから、社員に対し、原則として年次有給休暇を取得する日の3日以上前に年休取得を会社指定の書式で申請するというルールを設けること自体には一応の合理性が認められ、許されるものと考えられます。
しかし、その期限までに申請しない場合に、年休取得を一切認めないという運用には問題があります。特定の日に年休を取得することを拒むためには、時季変更権を行使できることが必要であり、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)であることが必要です。
直前に年休取得の申請がなされた場合であっても一律に年休取得を認めないとすることはできず、事業の正常な運営を妨げる場合に該当するかどうかをその都度検討した上で、時季変更権を行使するかどうかを判断する必要があります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎