ワード:「残業代弁護士」

労働者が「退職届」という件名で退職する内容のメールを送信後,無断欠勤している場合,労働契約は終了すると考えていいですか?

 労働者からの労働契約の一方的解約(辞職)の要件は,期間の定めの有無によって異なります。
 契約社員等の期間の定めのある労働者の場合,期間途中の解約は認められず,労働者が病気,事故等によって長期間就労できない等の「やむを得ない事由」がなければ辞職の意思表示の効果は生じません(民法628条)。他方,期間の定めのない労働者は,いつでも労働契約を解約でき,辞職の意思表示後2週間の経過をもっ……

労働組合との間で賃金減額に関する労働協約を締結した場合,賃金減額の効力は非組合員にも及びますか。

 労働協約締結による賃金減額の効力が及ぶのは,原則として労働協約を締結した労働組合の労働組合員に限られることになりますが,労働協約には,労組法17条により,一の工場事業場の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは,当該工場事業場に使用されている他の同種労働者に対しても右労働協約の規範的効力が及ぶ旨の一般的拘束力が認められており,この要件を満たす場合には,賃金減額に反対する……

賃金減額の方法としては,どのようなものが考えられますか。

 賃金減額の方法としては,
 ① 労働協約の締結
 ② 就業規則の変更
 ③ 個別合意
によることが考えられます。

飲食店において,接客担当のスタッフに対し,お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが,お客さんが入店してきたら自分の担当業務に従事するよう指示している場合,実際に仕事をしていない時間は「休憩時間」(労基法34条)として扱い,実際に担当業務に従事している時間だけを労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる労働時間として扱うことはできますか。

 飲食店において,接客担当のスタッフに対し,お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが,お客さんが入店してきたら自分の担当業務に従事するよう指示している場合は,実際に仕事をしていない時間も使用者から就労の要求があれば直ちに就労しうる態勢で待機している時間(手待時間)であり,労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間とはいえませんので,「休憩時間」(労……

飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

 飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高い一番の理由は,飲食業では会社経営者が残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が低いことにあると考えています。飲食業の経営者に残業代(割増賃金)を支払わない理由を聞いてみると,
 「飲食業だから。」
 「昔からそういうやり方でやってきて,問題になったことはない。」
 「飲食業で残業代なんて支……

運送業を営む会社を経営していますが,休日なしで長時間働いてお金を稼ぎたいと言ってくる運転手にはどのように対応すればいいでしょうか。

 運送業を営む会社を経営していると,休まずにもっと働いてお金を稼ぎたい,働かせてくれなければ辞めて他の会社に転職する,などと言って来る運転手がいることに気づくことと思います。
 たくさん働きたいという意欲は素晴らしいのかもしれませんが,使用者には運転手の健康に配慮する義務(労契法5条)がありますので,本人が望んでいるからといって,恒常的な長時間労働を容認するわけにはいきません。ある程……

運送業を営む会社における労働時間管理のポイントを教えて下さい。

 運送業を営む会社の特徴は,トラック運転手が事業場を離れて運転業務に従事する時間が長いため,出社時刻と退社時刻の確認を除けば,現認による勤務状況の確認が事実上不可能な点にあります。したがって,出社時刻と退社時刻の確認をして運転日報等に記録させるのは当然ですが,経営者の目の届かない客先や路上での勤務状況,労働時間の把握が重要となってきます。
 特に問題となりやすいのは休憩時間の把握です……

運送業を営む会社において見逃しがちな残業代(割増賃金)の趣旨を有する賃金を教えて下さい。

 運送業を営む会社においては,基本給は1日当たりいくらといった日当の形で支払われるのが通常です。
 休日労働の対価として「日当」が支払われた場合には,「日当」は通常の労働日の賃金ではありませんので,これを控除して未払残業代(割増賃金)額を算定する必要があります。
 「月給25万円」といった通常の月給制を念頭に置いていると見逃しがちな点ですので,ご注意下さい。 弁護士法……

運送業を営む会社において,配送手当,長距離手当,業務手当,特別手当等の手当の支払は,残業代(割増賃金)の支払として認められますか。

 運送業を営む会社においては,日当のほか,配送手当,長距離手当,業務手当,特別手当等の手当が支払われていることがあります。これらの手当の支払は,残業代(割増賃金)の支払として認められるのでしょうか。
 まず,配送手当,長距離手当,業務手当,特別手当といった名称の手当は,その日本語の意味を考えた場合,直ちに残業代の支払と評価することはできません。これらの手当が残業代の支払と評価されるた……

運送業を営む会社において,残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当をトラック運転手に支給する際の注意点を教えて下さい。

 運送業を営む会社において,残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当をトラック運転手に支給する際の注意点は,大きく分けて
 ① 残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当であることを明確にすること
 ② 残業代(割増賃金)とそれ以外の賃金とを明確に判別できるようにすること
の2つです。
 まず,①についてですが,当該手当が残業代(割増賃金)の趣旨を有す……

運送業を営む会社が残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

 運送業のトラック運転手は従来,自営業者意識が濃厚な傾向があり,トラック運転手のそういった傾向に対応して,運送業の会社経営者は残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が希薄な傾向にありました。運送業では,トラック運転手の給料が「1日現場に行って来たら1万○○○○円」といった形で定められている会社が多く,労働者というよりは個人事業主に近い形で労務管理がなされている傾向にあります。昔からそ……

定額(固定)残業代制度導入の手順を教えて下さい。

 定額(固定)残業代制度導入の手順は,以下のとおりです。
 ① 当該業務に通常必要とされる時間外・休日・深夜労働時間等の勤務実態を調査し,調査の経過及び結果を記録に残す。
 ② 調査結果に基づき,何時間分の時間外・休日・深夜労働に対する時間外・休日・深夜割増賃金を定額(固定)残業代として支払う必要があるのかについて協議決定し,記録に残す。
 ③ 「時間外勤……

使用者と社員が合意することにより,日当を1日12時間勤務したことの対価とすることはできますか。

 所定労働時間を1日12時間とすることはできませんが,「1日12時間勤務したことの対価」の意味が,「1日8時間の所定労働時間内の労働と4時間の時間外労働をしたことの対価」という趣旨であると解釈でき,残業代(割増賃金)に相当する金額が特定されていると評価できるような場合であれば,このような合意も原則として有効と考えられます。ただし,このような合意の仕方は,何時間分の対価として賃金額が定められたのかと……

残業代(割増賃金)を基本給とは別に支払うよりも,残業代込みということで基本給を支払った方が,基本給の金額が高く見えて,社員募集の際に体裁がいいのではないでしょうか。

 それはそうかもしれませんが,残業代は,残業代以外の賃金とは別に支払うべきものであり,残業代と残業代以外の賃金との内訳が判別できないと残業代の支払があったとは認められませんので,残業代不払を理由とした残業代請求を受けないようにするためには,残業代の金額と残業代以外の賃金の内訳を明らかにする必要があります。残業代の金額と残業代以外の賃金の金額を明らかにしてしまえば,結局,残業代を除いた基本給の金額が……

定額(固定)残業代の支給名目はどのようなものがいいでしょうか。

 定額(固定)残業代を支給する場合は,基本給の中に一定の金額・時間分の残業代が含まれる扱いにしたり,営業手当等の名目で一定額を支給する扱いにしたりするよりも,「残業手当」「時間外勤務手当」「深夜勤務手当」「休日勤務手当」等,それが残業代であることが給与明細書の記載から直ちに分かるよう記載しておくといいと思います。残業代であることが明白な名目で支給することにより,労働者の納得も得られやすくなり,それ……

月例賃金に占める定額(固定)残業代の比率は,どれくらいまでなら許されますか。

 月例賃金に占める定額(固定)残業代の比率と定額(固定)残業代の有効性との間には,論理必然の関係はありません。
 もっとも,脳・心臓疾患や精神疾患を発症した場合に,長時間労働を理由として労災認定がなされる可能性が高い時間外労働を予定するような定額(固定)残業代制度を採用すべきではなく,月80時間分の時間外割増賃金額を下回る定額(固定)残業代額にすべきと考えます。個人的見解としては,月……

定額(固定)残業代の有効性を判断する際のイメージを一言で教えて下さい。

 定額(固定)残業代の支払は,一定金額の時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなされていることが明確であればあるほど,時間外・休日・深夜割増賃金の支払があったと認められやすくなり,時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなされていることが分かりにくくなればなるほど,時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなかったと認定されやすくなります。
 会社経営者は,普段は時間外・休日・深夜割増賃金とは分からな……

定額(固定)残業代を採用した場合に追加で支払わなければならない残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の金額を教えて下さい。

 定額(固定)残業代の支払により使用者が時間外・休日・深夜割増賃金を支払ったと認められた場合は,当該定額(固定)残業代を含む除外賃金を除外した賃金を基礎賃金として労基法37条及び同法施行規則19条の計算方法で残業代(割増賃金)の金額を計算した結果,定額(固定)残業代の金額で不足する場合は,その「不足額」を当該賃金の支払期に支払う法的義務が生じることになります。
 定額(固定)残業代の……

基本給や他の手当等の通常の賃金とは金額を明確に分けた手当の形式で時間外・休日・深夜割増賃金を支払う場合の定額(固定)残業代は,どのような場合に有効となりますか。

1 賃金規程等の定め
 「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」等,時間外・休日・深夜割増賃金の支払であることが明白な名目で金額を明示して支給した場合は,通常は時間外・休日・深夜割増賃金の支払があったと認められます。
 他方,「営業手当」「管理職手当」「配送手当」「長距離手当」「特殊手当」等の一見,時間外・休日・深夜割増賃金の趣旨で支払われる手当とは分からない……

管理職なのに残業代を請求してくる。

1 管理職≠「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)
 管理職であっても,労基法上の労働者である以上,原則として労基法37条の適用があり,週40時間,1日8時間を超えて労働させた場合,法定休日に労働させた場合,深夜に労働させた場合は,時間外労働時間,休日労働,深夜労働に応じた残業代(割増賃金)を支払わなければならないのが原則です。
 当該管理職が,労基法41条2……

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