ワード:「労働問題」

合意退職と辞職の違い・退職届の撤回可否【会社側弁護士が解説】

「退職届を出したが撤回できるか」「合意退職と辞職は何が違うのか」——こうした疑問は、退職をめぐるトラブルの場面で会社経営者・人事担当者が必ず直面するものです。退職の法的性質が「合意退職」か「辞職」かによって、撤回の可否や会社の対応が大きく異なります。 辞職とは、労働者の一方的な意思表示によって労働契約を終了させる行為であり、会社の承諾を必要としません。これに対し、合意退職とは、会社と労働者の合意……

就業規則の不利益変更を有効にする方法?成果主義導入の実務【会社側弁護士が解説】

「成果主義賃金制度を導入したいが、就業規則の変更は認められるか」「年功序列型から成果主義への移行は不利益変更になるのか」——こうした疑問を抱える会社経営者は多いはずです。就業規則の不利益変更は、労働契約法10条に基づき「変更に合理性がある場合」に限り有効とされます。 成果主義賃金制度への移行が「不利益変更」にあたるかどうかは、移行後の賃金水準が従来より下がる労働者が生じるかどうかで判断されます。……

退職後の競業避止義務の有効性はどう判断されるか?【会社側弁護士が解説】

「退職した元社員が競合他社に転職した」「退職後に同業で独立して顧客を引き抜いた」——こうした事態に対応するため、多くの会社では退職時に競業避止義務を課す誓約書や合意書を締結しています。しかし、競業避止義務は締結しても常に有効とは限らず、その合理性が厳格に審査されます。 競業避止義務は、憲法が保障する職業選択の自由を制約するものです。そのため、裁判例では、禁止期間・地域・業務の範囲・対象者の地位・……

持ち帰り残業の時間は労働時間になるか?【会社側弁護士が解説】

「社員が仕事を自宅に持ち帰って行った場合、その時間分の残業代を支払わなければならないのか」——多くの会社経営者が抱えるこの疑問。持ち帰り残業の時間が労働時間に該当するかどうかは、会社が業務を持ち帰るよう指示・黙示的に認容していたかどうかによって異なります。 労基法上の「労働時間」とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。「自宅で行った作業」であっても、使用者の明示的・黙示的な業務命令……

会社が実施する健康診断の時間は労働時間になるか?【会社側弁護士が解説】

「健康診断の受診時間は賃金を払うべきか」「法定の健康診断を就業時間外に実施した場合、割増賃金は必要か」——こうした疑問は、多くの会社経営者・人事担当者が抱えている問題です。健康診断の時間が労働時間に該当するかどうかは、健康診断の種類と実施方法によって異なります。 労基法は、一般健康診断(安衛法66条1項)について、その受診時間を労働時間として扱うか否かは「労使間の協議によって定める」と解されてい……

研修・会社行事の時間は労働時間になるか?【会社側弁護士が解説】

「研修に参加させたが、これは労働時間に含まれるのか」「休日に社内行事を実施したが、割増賃金を払う必要があるのか」——こうした疑問を抱える会社経営者・人事担当者は少なくありません。研修や会社行事の時間は、その実態によって労働時間に該当するかどうかが異なります。 労基法上の「労働時間」とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。「研修」「行事」という名称や「任意参加」という建前があっても、……

出張中の移動時間は労働時間になるか?【会社側弁護士が解説】

 「休日に出張先へ移動させたので休日割増賃金が必要ですか?」——出張中の移動時間と労働時間の関係は、会社経営者が誤解しやすいテーマです。原則として出張移動時間は労働時間に当たりませんが、例外もあります。  判断基準は「指揮命令下にあるか」「自由利用が保障されているか」です。出張に関連しているからといって、移動時間全てが労働時間になるわけではありません。  本記事では、会社側専門弁護士の視点から……

通勤・取引先への移動時間は労働時間になるか?【会社側弁護士が解説】

 「取引先への移動時間も労働時間ですか?」——この質問は、会社経営者から頻繁に受けるご相談の一つです。通勤時間・直行直帰の移動時間・職場から取引先への移動時間では、労働時間該当性の判断が異なります。この区別を誤ると、未払残業代請求につながります。  判断の核心は「指揮命令下にあるか」「自由に利用できるか」です。形式(移動しているかどうか)ではなく、実態(業務上の拘束があるか)で判断されます。 ……

作業の準備・後片付け時間は労働時間になるか?【会社側弁護士が解説】

 「始業時刻前の準備作業は各自の自主的な行為だから残業代は不要」——この考え方が誤りとなることを示したのが、三菱重工業長崎造船所事件最高裁判決(1994年)です。作業の準備・後片付け時間が労働時間に該当するかどうかは、その行為が使用者の指揮命令下に置かれていたかどうかで判断されます。  「義務付け」があった場合だけでなく、業務の性質や職場の実態から行わざるを得なかった場合(「余儀なくされた」場合……

手待時間は労働時間になるか?休憩時間との境界線【会社側弁護士が解説】

 「休憩時間として扱っているのに残業代を請求された」——手待時間を巡るトラブルは、会社経営者にとって想定外の多額請求につながりかねない問題です。労働基準法上、手待時間は原則として労働時間に該当します。  手待時間と休憩時間の区別の核心は、労働者が業務から解放されているかどうかです。「何もしていない=休憩」という理解は法律上通用しません。実態として指揮命令下に置かれていれば、それは手待時間です。 ……

労基法上の「労働時間」と指揮命令下の判断基準【会社側弁護士が解説】

 「命令していないから残業代は不要だ」——この考え方は、残業代トラブルの大きなリスクを抱えています。労働基準法上の「労働時間」は、会社が明示的に業務を命じた時間だけでなく、労働者が使用者の「指揮命令下」に置かれていた時間全体を指します。  この判断は客観的に行われます。就業規則で「この時間は労働時間ではない」と定めていても、実態として指揮命令下にあれば労働時間として評価されます。「形式よりも実態……

36協定を締結しても残業代は不要にならない【会社側弁護士が解説】

 「36協定を締結しているから残業代を払わなくてよい」——この誤解は、残業代トラブルの最も多い原因の一つです。36協定(時間外・休日労働に関する協定)は、時間外労働・休日労働を命じることを適法にするための手続に過ぎず、割増賃金の支払義務を免除するものでは一切ありません。  会社経営者として、36協定と割増賃金は全く別の問題であることを正確に理解しておく必要があります。この区別を誤ると、退職後も含……

年休中の組合加入勧誘に対する懲戒処分の可否【会社側弁護士が解説】

 社員が年次有給休暇中に会社の事業所で労働組合への加入を勧誘している——このような場面に直面した会社経営者から、「懲戒処分できないのか」というご相談が寄せられることがあります。組合活動への対応は、不当労働行為に当たるリスクを伴うため、慎重な判断が必要です。  年休中の組合活動に関しては、取得目的への干渉禁止という大原則がある一方で、業務妨害行為については別途の判断枠組みが適用されます。この二つを……

除外賃金に当たる手当の要件と具体例【会社側弁護士が解説】

 残業代(割増賃金)の算定基礎から除外できる賃金は、法律上限定的に列挙されており、会社が任意に除外範囲を広げることはできません。各手当が除外賃金に該当するかどうかは、その名称ではなく、実際の支給実態によって判断されます。  「家族手当」「住宅手当」「通勤手当」と名付けていれば除外できる、という理解は誤りです。実務では、支給趣旨・支給対象・算定基準が除外賃金の要件を満たしているかが厳しく問われます……

残業代算定の基礎とならない除外賃金【会社側弁護士が解説】

 残業代を計算する際、どの賃金を算定の基礎に含めるかは、未払残業代トラブルの核心部分です。「手当だから除外できる」「就業規則に除外と書いてある」という理解で運用していると、後日、多額の未払残業代を請求されるリスクがあります。  残業代算定の基礎から除外できる賃金は、労働基準法および施行規則により、限定的に列挙されています。会社が任意に除外範囲を広げることは認められておらず、この点の誤解が残業代紛……

合意による賃金減額が有効となる要件【会社側弁護士が解説】

 賃金減額を検討する場面として、特定の従業員との個別合意によって対応したいというケースは実務上少なくありません。この場合、「本人が同意しているのだから問題ない」と考えがちですが、同意があれば常に有効というわけではありません。  賃金は労働条件の中でも中核的な要素であり、合意の有効性については厳格に判断されます。同意書に署名・押印があるだけでは足りず、後日に「自由な意思に基づく同意ではなかった」と……

労働協約に基づく賃金減額の要件と注意点【会社側弁護士が解説】

 賃金の減額は、会社経営者にとって最も慎重な判断が求められるテーマの一つです。特に、業績悪化や人件費構造の見直しを背景として、労働協約に基づいて賃金を減額できないかを検討する場面は、実務上少なくありません。  しかし、「労働協約があるから賃金を下げられる」と単純に考えるのは危険です。労働協約に基づく賃金減額が認められるかどうかは、誰との間で、どのような内容の労働協約が締結されているか、そしてその……

業務命令としての降格に伴う賃金減額の要件【会社側弁護士が解説】

 従業員の業務遂行能力の低下や人事上の理由から、役職を引き下げる「降格」という対応を検討する会社経営者は少なくありません。降格に伴って賃金が減額される場合、その適法性は降格の種類・根拠・制度設計によって異なります。  降格の法的根拠を正確に理解せずに賃金減額を実施すると、後日に差額賃金の請求や人事権濫用を理由とする無効の主張を受けるリスクがあります。降格に伴う賃金減額を検討する前に、法的要件を正……

懲戴処分としての減給の要件と上限額【会社側弁護士が解説】

 問題のある行動を繰り返す従業員に対して懲戒処分を検討する際、口頭での注意指導や書面による厳重注意を経てもなお改善が見られない場合、減給という懲戒処分を選択する場面があります。しかし、減給の懲戒処分には法律上の上限規制があり、かつ手続上の要件も厳格です。  手続や上限額を誤った減給処分は、無効と判断されるリスクがあります。懲戒処分として減給を実施する前に、法的要件と実務上の留意点を正確に理解して……

労働審判中に会社更生手続が開始した場合の取扱い【会社側弁護士が解説】

解説動画 [youtube]dS_czzKhaIg[/youtube]  会社更生手続は、経営危機に陥った大企業が事業を継続しながら再建を図るための法的手続きです。この手続中に係属している労働審判手続がどのように扱われるかは、実務上、重要な論点の一つです。  破産と異なり、会社更生では事業の継続が前提となるため、労働者への対応も破産の場合と異なります。賃金債権の種類によって手続きの進……

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