労働問題743 労働審判手続の答弁書に記載する事項について具体的に教えてください。

 労働審判手続において必ず提出されることが予定されている主張書面は、申立人(主に労働者側)の申立書と、相手方(主に会社側)の答弁書のみであり、相手方が準備する答弁書は、労働審判手続において、申立人の申立書と同様に、極めて重要なものです。
 労働審判規則16条では、答弁書に記載すべき事項を次のように定めています。
① 申立ての趣旨に対する答弁
② 労働審判手続の申立書に記載された事実に対する認否
③ 答弁を理由づける具体的な事実
④ 予想される争点及び当該争点に関連する重要な事実
⑤ 予想される争点ごとの証拠
⑥ 当事者間においてされた交渉(あっせんその他の手続においてされたものを含む。)その他の申立てに至る経緯の概要
 ①申立ての趣旨に対する答弁は、例えば申立人が労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を申し立てている場合において、相手方が、申立人がその地位にあることを争うときは、相手方は、訴訟の答弁書における「請求の趣旨に対する答弁」にならい、「『本件申立てを棄却する。』(又は『本件申立てに係る請求を棄却する』)との労働審判を求める。」との答弁をすることが考えられます。また、相手方が、申立てに係る権利関係とは関係のないものについても希望する場合は、事情として答弁書に記載するか、労働審判期日において口頭で陳述するものと考えます。
 ②労働審判手続の申立書に記載された事実に対する認否は、労働審判が早期に争点を把握し、迅速かつ適正な審理をするために記載すべきとされています。認否の記載については、民事訴訟規則79条3項(準備書面における認否)に準じ、認否する場合にはその理由を併せて記載すべきと考えます。
 ③答弁を理由づける具体的な事実は、訴訟でいうところの抗弁事実(主要事実レベルでの反論)を記載します。
 ④予想される争点及び当該争点に関連する重要な事実及び⑤予想される争点ごとの証拠は、申立人と争って実際上立証すべきことになると思われる事由、その「争点に関する重要な事実」、「予想される争点ごとの証拠」、つまり、相手方の主張及び立証計画の全容を答弁書に記載することになります。
 ⑥当事者間においてされた交渉その他の申立てに至る経緯の概要については、労働審判委員会が当事者双方の立場から見た紛争の経緯を把握し、早期に解決の方向性を探ることができるように定められたものです。

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