労働問題742 労働審判の第1回期日の呼出しと準備|会社側が知る対応事項
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呼出状には、準備すべき事項と答弁書の提出期限が記載される 相手方に対する第1回期日の呼出状には、主張・証拠の申出および証拠調べに必要な準備をすべき旨に加え、労働審判官が定める期限までに答弁書を提出すべき旨が記載されます(労働審判規則15条)。 |
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答弁書の作成に加え、証拠書類の提出・原本持参の準備も必要 準備の中心は答弁書の作成ですが、それに加えて、書証の写しと証拠説明書を裁判所と相手方に提出し、期日当日には証拠の原本を持参できるよう準備しておく必要があります。 |
目次
労働審判手続は、原則として3回以内の期日で審理を終結しなければならないとされており、当事者は、この実現のために必要な主張・立証を行い、計画的かつ迅速な手続進行に努める責務を負っています(労働審判規則2条)。この責務を具体化しているのが、第1回期日に向けた呼出しと準備に関する規定です。
会社側専門の弁護士の立場から、第1回期日の呼出しの仕組みと、期日までに準備すべき事項を解説します。
01第1回期日の呼出し(労働審判規則15条)
第1回期日において争点および証拠の整理を的確に行うためには、期日の前に、申立人(主に労働者側)と労働審判委員会の双方が、相手方(主に会社側)の答弁書の内容をあらかじめ検討しておく必要があります。そこで、労働審判規則15条は、当事者に対する第1回期日の呼出状に、期日の前にあらかじめ主張・証拠の申出および証拠調べに必要な準備をすべき旨を記載しなければならないと定めています(同条1項)。そのうえで、相手方に対する呼出状には、これに加えて、労働審判官が定める期限までに答弁書を提出すべき旨を記載しなければならないとされています(同条2項)。
02「主張に必要な準備」=答弁書の作成
ここでいう「主張に必要な準備」とは、相手方(会社側)にとっては、労働審判官から指定された期限までに提出するため、答弁書を作成することが中心になります。他方、申立人(労働者側)にとっては、相手方から提出された答弁書に記載された主張を検討し、これに反論する必要がある場合には、第1回期日で十分な反論ができるよう準備をしておくことを意味します。答弁書は、当日その場で初めて相手に開示される性質のものではなく、事前に検討時間が確保されることが前提とされています。
03「証拠の申出及び証拠調べに必要な準備」の内容
「主張、証拠の申出及び証拠調べに必要な準備」とは、次のような対応を指します。当事者双方は、申立書や答弁書にあらかじめ添付した証拠書類のほかに、追加で書証の申出をするものがある場合には、その書証の写しおよび証拠説明書を、労働審判委員会に提出するとともに、相手方にも直接送付(直送)します。そのうえで、申立人および相手方は、労働審判期日の当日、これらの証拠書類の原本を持参できるよう準備しておく必要があります。
期日では、提出された証拠の原本を確認しながら審理が進められることがあるため、コピーの提出だけで満足せず、原本の管理と持参の準備を怠らないことが重要です。
04呼出しの対象となる「事件の関係人」
労働審判官は、労働審判期日を指定して、事件の関係人を呼び出さなければなりません(労働審判法14条1項)。ここでいう「事件の関係人」には、当事者のほか、参加人や参考人などが含まれ得ます(同法29条2項が準用する民事調停法11条、同法17条2項が準用する民事訴訟法187条1項)。
もっとも、参加人として手続に参加させるか、参考人として関与させるかは、審理の過程で労働審判委員会が判断するものです。そのため、労働審判官が第1回期日の呼出しを行う対象は、通常は当事者ということになります。会社側としては、第1回期日の呼出しは、基本的に自社に対して行われるものと理解しておけばよいでしょう。
05会社側が押さえておくべき視点
会社側にとって、第1回期日までの準備は、答弁書の作成だけにとどまりません。答弁書に添付する証拠に加え、期日直前に追加の証拠が必要になった場合には、直送と証拠説明書の作成という手続を経なければならず、これには一定の時間を要します。第1回期日は申立てから40日以内に指定されるため、準備期間は限られています。答弁書作成と証拠収集を並行して進め、直送が必要な書類は期日の直前ではなく、余裕を持って準備することが重要です。
06よくある質問(FAQ)
Q. 第1回期日の呼出状には、何が記載されますか。
主張・証拠の申出および証拠調べに必要な準備をすべき旨が記載されるほか、相手方に対する呼出状には、答弁書の提出期限も記載されます(労働審判規則15条)。
Q. 答弁書に添付した以外の証拠を追加で提出したい場合、どうすればよいですか。
その書証の写しと証拠説明書を、労働審判委員会に提出するとともに、相手方にも直接送付(直送)する必要があります。あわせて、期日当日にその証拠の原本を持参できるよう準備します。
Q. 第1回期日には、当事者以外に誰が呼び出されますか。
呼出しの対象となる「事件の関係人」には参加人や参考人も含まれ得ますが、参加や参考人としての関与は審理の過程で委員会が判断するものです。そのため、第1回期日の呼出しの対象は、通常は当事者に限られます。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判の第1回期日への準備でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日