ワード:「安全配慮義務」

ダラダラ残業の最大のリスクは何ですか。

この記事の要点 ✓ ダラダラ残業の最大のリスクは残業代請求ではなく、過労死・安全配慮義務違反という取り返しのつかない問題 残業代は金銭で解決可能ですが、命や健康の喪失は取り返しがつきません ✓ 月80時間を超える時間外労働は「過労死ライン」であり、安全配慮義務違反が強く問われる水準 「本人が元気そうだった」「自ら残業してい……

残業トラブルの実態には、うつ病による損害賠償請求や退職後請求リスクなど、どのようなものがありますか。

この記事の結論 1 残業トラブルの中心は「どうやって残業してもらうか」から「法的請求にどう対応するか」へ移行した 不必要な残業による残業代請求、うつ病の損害賠償請求、退職後の未払い残業代請求が近時の典型的な相談内容です。 2 所定労働時間外に社内に残っている状態自体が、賃金リスクと安全配慮義務リスクを同時に生み出す 会社が明確に残……

過失相殺・素因減額と損益相殺は、どちらを先に計算すればよいですか。

この記事の結論 1 過失相殺・素因減額を先に行い、その後に損益相殺を行うという計算順序が最高裁判例で確立 鹿島建設・大石塗装事件最高裁昭和55年12月18日判決により、この順序が確立しています。逆の順序で計算することは誤りです。 2 正しい順序で計算した方が、使用者の最終賠償額は少なくなる 損害額や給付額が大きくなるほどこの差は拡……

労災保険給付がなされた場合、損害賠償額はどのように減額されますか(損益相殺)。

この記事の結論 1 労災保険給付は「同一の事由」の範囲内でのみ損害賠償額から控除される(損益相殺) 慰謝料等、労災保険給付の対象とならない損害については、依然として会社が賠償責任を負います。 2 年金給付は確定支給分のみが対象。過失相殺・素因減額は損益相殺より先に計算する 将来の未確定年金額は控除されません(最高裁平成5年3月24……

精神疾患発症に本人の性格や既往疾患が寄与している場合、賠償額は減額されますか。

この記事の結論 1 「通常想定される範囲内の性格」を理由とする素因減額は電通事件最高裁判決により認められない 単に「繊細な性格」「ストレスを受けやすい性格」というだけでは、素因減額の主張は困難です。 2 発症前からの既往疾患がある場合は、疾患の態様・程度に照らし素因減額が認められる可能性がある ただし単に既往疾患があるだけでは不十……

安全配慮義務違反の損害賠償に、社員の弁護士費用まで含まれますか。

この記事の結論 1 不法行為・安全配慮義務違反のいずれの構成でも、相当額の弁護士費用が損害賠償の対象となる 最高裁昭和44年2月27日判決(不法行為)と最高裁平成24年2月24日判決(安全配慮義務違反)により、いずれの構成でも確立しています。 2 実務上は認容された損害額の約10%程度が弁護士費用相当額として上乗せされることが多い ……

電通事件最高裁判決は、業務の疲労や心理的負荷についてどのような注意義務を示しましたか。

この記事の結論 1 電通事件最高裁判決は、疲労や心理的負荷の蓄積を防ぐ注意義務を初めて明示した 過重業務による過労自殺(入社1年目の新入社員)について会社の不法行為責任を認めた判決で、その後の労働問題対応に大きな影響を与えました。 2 月80〜100時間超の時間外労働が続く場合は、特にこの注意義務違反を問われるリスクが高い 「本人……

労働契約法第5条(安全配慮義務)は、会社にどのような対応を求めていますか。

この記事の結論 1 労働契約法5条は、陸上自衛隊事件・川義事件等の判例法理を明文化した規定である 「必要な配慮」の内容は業種・業態・個々の労働者の状況等によって異なり、精神疾患との関係では長時間労働の解消・早期対応・ハラスメント防止等が含まれます。 2 違反時は債務不履行に基づく損害賠償責任を負い、消滅時効は改正民法により原則5年で……

安全配慮義務に関する代表的な最高裁判例には、どのようなものがありますか。

この記事の結論 1 安全配慮義務は陸上自衛隊事件で概念が確立し、川義事件で民間の労働契約にも認められた 陸上自衛隊事件(最高裁昭和50年2月25日)で「安全配慮義務」の概念が最高裁判例上初めて確立され、川義事件(最高裁昭和59年4月10日)で民間企業にも拡張されました。 2 電通事件は過労精神疾患への注意義務を、東芝事件は申告なしで……

労災保険給付がなされれば、会社は民事の損害賠償責任を免れますか。

この記事の結論 1 労災保険給付がなされても、慰謝料や休業損害・逸失利益の差額部分は損害賠償請求のリスクが残る 「労災保険で解決済み」と考えることは危険です。労災保険給付は損害の一部を填補するものにすぎません。 2 労災認定はむしろ安全配慮義務違反の証拠として機能し、損害賠償責任のリスクを高める 労災保険給付が行われるためには業務……

精神疾患の発症が業務起因の労災かどうかは、どのように判断すればよいですか。

この記事の結論 1 業務起因性は、厚生労働省「心理的負荷による精神障害の認定基準」を参考に3要件を総合判断する 発病の有無・発病前おおむね6か月間の業務による強い心理的負荷の有無・業務以外の心理的負荷や個体側要因の有無という3要件を審査します。 2 月100時間超の時間外労働がある場合等、労災の可能性が高い事案は緊急対応が必要 労……

精神疾患が業務起因の労災と判明した場合、休職期間満了退職の効力はどうなりますか。

この記事の結論 1 業務起因の労災と判明すると、休職命令の無効と労基法19条1項の類推適用という2つの構成でリスクが生じる 私傷病を理由とした休職命令は休職事由を欠き無効となり得るほか、業務上療養のための休業期間及びその後30日間は解雇できないという規定が類推適用されます。 2 安全配慮義務違反・不法行為・休職期間満了退職の無効とい……

精神疾患社員が休職と復職を繰り返す場合、会社は何を優先して対応すべきですか。

この記事の結論 1 休職期間の無給化の徹底が、真面目に働く社員の不公平感を解消する最も効果的な対策 休職期間中は「ノーワーク・ノーペイ」の原則(民法624条)により賃金を支払う義務はありません。就業規則への明記と運用徹底が重要です。 2 傷病手当金の案内・就業規則の整備・業務再配分の公平性確保をあわせて実施する 復職取消し・再休職……

精神疾患社員が休職と復職を繰り返す場合に備えて、就業規則にはどのような規定を設ければよいですか。

この記事の結論 1 復職取消し・再休職・期間通算の規定を置くことで、繰り返しへの対応枠組みを確保できる 復職後すぐに再発した場合でも、前回休職期間の残余期間を適用して期間満了で退職扱いにできる枠組みが確保できます。 2 規定がなければ、休職・復職を繰り返す社員への普通解雇の有効性が争われるリスクが高まる 「休職期間満了→退職」とい……

休職制度は、どのように運用すればよいですか。

この記事の結論 1 休職命令・延長・復職可否・退職扱いの判断は、公平・平等に行うことが大原則 同じような状況にある社員の扱いを異にする場合は、裁判官が納得できる合理的理由を説明できるようにしておく必要があります。 2 就業規則に従った運用の徹底と、意思決定経緯の書面記録が差別的取扱いの主張を防ぐ 個人的な感情を基準にした運用は、不……

休職中の社員が、会社の指定医への受診を拒絶した場合、退職扱いにできますか。

この記事の結論 1 指定医受診拒絶のみを理由に直ちに退職扱いにすることは難しく、休職期間満了時まで待つのが原則 就業規則に受診拒絶時の取扱いに関する規定があれば、満了時に復職可能な程度の回復が証明できない場合に退職扱いとすることができます。 2 受診命令・拒絶記録・満了時通知はいずれも内容証明郵便等の書面で行う 就業規則の根拠規定……

休職中の社員が提出した主治医の「復職可能」の診断書に疑問がある場合、会社はどう対応すればよいですか。

この記事の結論 1 主治医の診断書のみを根拠に独自判断で復職を拒否し続けることは不当な就業排除のリスクがある 一方で、診断書を無条件に鵜呑みにする必要もありません。主治医の診断書を出発点としつつ追加の確認手続を取ることが実務上の適切な対応です。 2 主治医面談・産業医意見・指定医受診命令の3つの手段で客観的評価を積み上げる 就業規……

精神疾患を発症した社員を、休職させずに直ちに解雇することはできますか。

この記事の結論 1 休職制度がある会社が休職させずに直ちに解雇することは、解雇権濫用として無効となるリスクが高い 休職制度は「直ちに解雇するのではなく、まず療養機会を与える」という趣旨の制度であり、これを使用せずに解雇することは制度趣旨に反します。 2 回復見込みが客観的に乏しい場合等の例外はあるが、そのハードルは高い 専門医によ……

精神疾患社員が出社と欠勤を繰り返す場合、会社は何を優先して対応すべきですか。

この記事の結論 1 欠勤日の無給化の徹底が、真面目に働く社員の不公平感を解消する最優先の対策 欠勤日は「ノーワーク・ノーペイの原則」(民法624条・536条2項)により原則として賃金の支払義務はありません。就業規則への明記と運用徹底が重要です。 2 傷病手当金の案内と、欠勤通算規定に基づく休職制度への切り替えで状況を法的に整理する ……

出社と欠勤を繰り返す社員に休職命令を発令するには、就業規則をどう整備すればよいですか。

この記事の結論 1 「連続〇日以上の欠勤」のみの規定では、出社と欠勤を繰り返す社員に休職命令を発令できない うつ病等の精神疾患には波があり、一時的な出社を挟んで欠勤が繰り返されると、休職事由に該当しない状態が続くことがあります。 2 中断期間(14〜30日程度が目安)の欠勤通算規定と再休職規定をあわせて整備する 問題が起きてからで……

Return to Top ▲Return to Top ▲