ワード:「労働審判」

労働審判手続の管轄はどこですか?

 労働審判事件の管轄は、次のとおりです。
① 相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する地方裁判所
② 個別労働関係民事紛争が生じた労働者と事業主との間の労働関係に基づいて当該労働者が現に就業し若しくは最後に就業した当該事業主の事業所の所在地を管轄する地方裁判所
③ 当事者が合意で定める地方裁判所
④ 日本国内に相手方(法人そ……

労働審判制度の目的と対象を教えてください。

1.労働審判制度の目的
 近年、個々の労働者と事業主との間における労働関係に関する民事紛争が増加しており、その迅速かつ適正な解決を図ることが求められています。
 労働審判法は、このような状況に鑑み、個別の労働関係に関する民事紛争について、地方裁判所における手続として労働審判制度を設けることにより、紛争の実情に即した迅速・適正かつ実効的な解決を図ることを目的としています。……

残業代請求の訴訟における「付加金」とはどういうものですか?

 使用者が次の①~④の支払義務に違反した場合、裁判所は、労働者の請求により、使用者が支払うべき未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができます(労基法114条1項本文)。
 ① 解雇予告手当(労基法20条)
 ② 休業手当(労基法26条)
 ③ 時間外・休日・深夜労働の割増賃金(残業代)(労基法37条)
 ④ 年次有給休暇中の賃……

精皆勤手当は、残業代(労基法37条の割増賃金)の時間単価を計算する際には考慮されることが多いのに、最低賃金の時間単価を計算する際には考慮されないのはどうしてですか。

 精皆勤手当は、最低賃金の時間単価を計算する際には考慮されません。これに対し、残業代(労基法37条の割増賃金)を計算する際には、精皆勤手当を基礎賃金に加えなければならないことが多いのが実情です。会社経営者が、最低賃金の計算でも、残業代の計算でも、会社の負担が重くなる方向で考えなければならない理由について知りたいと考えるのは、もっともなことだと思います。どうしてこのような違いが生じるのでしょうか?こ……

新型コロナが流行して赤字続きのため、店を閉めなければならなくなりました。従業員に辞めてもらうのにトラブルの少ない方法はありませんか。労働法についての知識はあまりありません。

 店を閉めなければならなくなったのであれば、手順を踏めば整理解雇ができるかもしれません。しかし、整理解雇は、お世辞にも「トラブルの少ない方法」とはいえません。「不当解雇」と主張されて、労働審判や訴訟になることも珍しくありません。
 トラブルの少ない方法としてお勧めなのが、「話合い」で辞めてもらうことです。店を閉めなければならなくなった事情を丁寧に説明し、ある程度の上乗せ金を支払うから……

弁護士を訴訟代理人に立てて労働訴訟を提起してきた事案の特徴を教えて下さい。

 近年では、早期に解決金を取得して労使紛争を解決することを希望する労働者は、労働審判を利用するのが通常です。本人訴訟であれば、労働審判がどのようなものかよく分からないため、訴訟を提起してきた可能性がありますが、弁護士が訴訟代理人についている場合は、労働審判ではなく訴訟を選択したことにそれなりの意味がある可能性が高いものと思われます。
 弁護士を訴訟代理人に立てて労働訴訟を提起してきた……

労働審判に異議が申し立てられて訴訟に移行した場合、最初から訴訟が提起された場合と比べて、解決までの時間が長くなってしまうのでしょうか。

 労働審判から訴訟に移行した場合、労働審判手続において既に争点の整理ができているケースが多いことから、和解交渉のため期日を重ねたというような事案でない限り、異議申立て後、判決までの期間は短くなっており、労働審判を経ずに訴訟が提起された場合と比較して、解決までの時間が長くなってしまうということは多くないようです。
 ただし、「訴状に代わる準備書面」の記載内容が労働審判手続を踏まえた内容……

労働審判に異議を申し立てて訴訟に移行した場合、どのような流れで訴訟手続が開始しますか。

 労働審判に異議を申し立てて訴訟手続に移行した場合、労働審判の代理人が引き続き訴訟を受任する場合であっても、新たに訴訟委任状を追完する必要があります。
 原告(労働審判手続における申立人)に対しては、異議申立てから2~3週間程度の間に、労働審判手続を踏まえた、「訴状に代わる準備書面」及び書証の提出、提訴手数料の追納及び郵便切手の予納が指示されることになります。
 これに……

労働審判に対し異議を申し立てるかどうかは、どのように判断すればよろしいでしょうか。

 労働審判手続で解決しておくべきか、労働審判に対し異議を申し立てて訴訟で戦うべきかの判断は、当該労働審判の内容自体の妥当性のほか、他の労働者への波及効果等をも考慮して決定すべきものです。労働審判の内容に若干の疑問があっても、問題の程度が大きくない場合や、他の労働者への波及効果が低い場合については、労働審判に異議を申し立てる必要性が低いと考えられます。
 実際の労働審判事件では、代理人……

労働審判手続で調停が成立しなかった場合はどうなりますか。

 労働審判委員会から示された調停案を当事者のいずれかが最後まで受け入れなかった場合は、24条終了するような場合を除き審理の終結が宣言され、概ね調停案に沿った内容の労働審判が当事者双方に告知されるか、審判書が送達されることになります。
 労働審判に対しては、告知・送達から2週間以内に異議を申し立てることができますが、当事者いずれも異議を申し立てなかった場合は、労働審判は裁判上の和解と同……

労働審判手続の第2回以降の期日は、どれくらいの時間がかかりますか。

 労働審判手続は、第1回期日で事実審理が終了していることが多いため、第2回以降の期日は調停をまとめるための期日になるのが通常であり、第1回期日よりも短時間で終わる傾向にあります。第1回期日で既に労働審判委員会から調停案が示されていたような場合には、解決金の金額を中心とした調停内容についての調整がなされることになり、当事者双方が調停案を直ちに受け入れたような場合は、期日は30分足らずで終了することも……

労働審判手続の第1回期日にかかる時間はどれくらいですか。

 労働審判手続の第1回期日は、通常、2時間程度かかります。私がこれまで現実に経験した労働審判事件の第1回期日は、最短1時間20分~最長3時間30分かかっています。
 最低2時間、できれば3時間30分程度の時間を取られても不都合が生じないよう、スケジュール調整しておくべきでしょう。
 なお、第1回期日にかかる時間は、事案の複雑さの程度にもよりますが、同程度の事案であれば……

労働審判の第1回期日の出頭を弁護士に任せ、会社関係者は出頭しないことにすることはできますか。

 労働審判の第1回期日おける審理では、事実関係について説明する必要がありますが、事情をよく知る会社関係者が事実関係を説明しないことにはリアリティーがありません。例えば、解雇した際の言葉のやり取り等の重要な事実関係を、解雇の現場にいたわけでもない代理人弁護士が説明したのでは、今ひとつ説得力がないということは、ご理解いただけることと思います。
 労働審判の第1回期日の出頭を代理人弁護士に……

紛争の実情をよく知っている担当社員が第1回期日に出頭できない場合はどうすればよろしいでしょうか。

 紛争の実情をよく知っている担当社員が、第1回期日には出頭できない場合であっても、第2回期日なら何とか出頭できそうだという場合は、その旨、答弁書に記載して事情を説明するなどして、労働審判委員会と進行の調整をするべきでしょう。
 当該社員が退職するなどして第2回期日にも出頭できないような場合は、今残っている社員でベストを尽くすほかありません。このような事態になっても、書面等の客観的な証……

労働審判期日には会社の誰が出頭する必要がありますか。

 労働審判期日では双方の主張を基礎付ける事実関係について質問されますので、問題となる事実関係について直接体験した人物が出頭する必要があります。問題となる事実を体験した本人ではなく、報告を受けただけの人物しか出頭できないと、伝聞での証言しかできないため証言の証拠価値が下がり、事実認定の上で会社に不利益となることがあります。
 また、調停に応じるかどうかその場で判断できる立場の人物が同行……

労働審判の答弁書において申立人の主張を否認する場合、否認の理由を記載する必要がありますか。

 民事訴訟では、答弁書その他の準備書面において、相手方の主張する事実を否認する場合には、その理由を記載しなければならないとされています(民訴規則79条3項)。
 審理充実の観点から否認の理由を答弁書に記載すべき要請は労働審判においても変わりませんので、労働審判の答弁書においても否認の理由を記載すべきでしょう。少なくとも、重要な事実の否認については、それなりの理由を記載すべきです。 ……

労働審判の答弁書には「答弁を基礎付ける具体的な事実」(労働審判規則16条1項3号)の記載が求められていますが、この項目には具体的に何を書けばいいのですか。

 労働審判の答弁書の「答弁を基礎付ける具体的な事実」(労働審判規則16条1項3号)の項目には、解雇、弁済等の抗弁事実を記載することになります(『労働事件審理ノート』)。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

労働審判の答弁書を作成する上での注意点を教えて下さい。

 労働審判手続の当事者は、裁判所(労働審判委員会)に対し、主張書面だけでなく、自己の主張を基礎づける証拠の写しも提出するのが通常ですが、東京地裁の運用では、労働審判委員には、申立書、答弁書等の主張書面のみが事前に送付され、証拠の写しについては送付されない扱いとなっています。労働審判員は、他の担当事件のために裁判所に来た際などに、証拠を閲覧し、詳細な手控えを取ったりして対応しているようですが、自宅で……

労働審判の答弁書を作成する十分な時間が取れない場合は、どうすればいいでしょうか。

 労働審判の第1回期日は、原則として申立てから40日以内の日に指定されます(労働審判規則13条)。相手方(主に使用者側)としては、答弁書作成の準備をする時間が足りないから第1回期日を変更したい、あるいは、主張立証を第2回期日までさせて欲しいということになりがちですが、労働審判は第1回期日までが勝負であり、第1回期日の変更は原則として認められませんから、たとえ不十分であっても、第1回期日までに全力を……

労働審判期日では緊張して、言いたいことが言えなくなりそうです。どうすればいいでしょうか。

  労働審判期日に出頭する会社関係者は、労働審判に不慣れなことが多いため、労働審判期日では、緊張して事実を正確に伝えることができなくなりがちです。
 言いたいことが言えないまま終わってしまうことがないようにするためには、事前に提出する答弁書に言いたいことをしっかり盛り込んでおいて、労働審判の期日に話さなければならないことをできるだけ減らしておくのが、最も効果的だと思います。 弁護士……

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