1. 第2回期日以降の基本的な位置付け
労働審判手続においては、第1回期日で事実審理がほぼ終了していることが多く、第2回以降の期日は、主として調停をまとめるための場という位置付けになります。
第1回期日では、申立書と答弁書を前提に事実関係の確認や争点整理が行われ、場合によっては労働審判委員会から一定の心証や調停案の方向性が示されます。そのため、第2回期日では、改めて詳細な事実確認を行うというよりも、解決条件の調整が中心となるのが通常です。
特に、第1回期日において既に具体的な調停案が提示されている場合には、第2回期日はその内容を前提に、解決金の金額や支払方法、守秘義務条項の有無などを詰める場となります。この意味で、第2回期日は実質的な「最終調整の場」となることが少なくありません。
会社経営者として重要なのは、第2回期日は単なる形式的な継続期日ではなく、解決を現実のものにする最終局面である可能性が高いという点です。ここでの判断が、そのまま紛争の終結条件を決定づけます。
一方で、既に方向性が見えている案件では、第2回期日は比較的短時間で終了することもあります。しかし、それは第1回期日で十分な議論が尽くされていることが前提です。
第2回期日は「軽い期日」と考えるのではなく、解決に直結する重要な場面と位置付けることが、会社経営者に求められる姿勢です。
2. 通常は第1回期日より短時間で終わる理由
第2回以降の期日が第1回期日より短時間で終わる傾向にあるのは、第1回期日で既に事実審理が概ね尽くされていることが多いからです。労働審判は迅速解決を目的とする制度であり、事実確認はできる限り第1回期日に集中して行われます。
第1回期日では、争点の整理、当事者双方への事実確認、場合によっては労働審判委員会からの心証開示や調停案の提示までが行われます。その結果、第2回期日では、残された論点や調整事項に絞って協議を進めることが可能になります。
特に、労働審判委員会が第1回期日に一定の解決水準を示している場合には、第2回期日はその提示内容を前提に、金額や条件の微調整を行う場になります。このような場合、確認事項は限定的であり、議論は比較的コンパクトに進みます。
会社経営者として理解しておくべきなのは、第2回期日が短時間で終わるのは、「軽い手続だから」ではなく、「第1回期日で密度の高い審理が行われているから」だという点です。第1回期日の準備が不十分であれば、第2回期日に持ち越され、結果的に長時間化する可能性もあります。
通常は第1回より短いとはいえ、所要時間は事案や交渉状況によって変動します。したがって、短時間で終わることを前提に予定を組むのではなく、一定の余裕を持って臨むことが合理的です。
第2回期日は、効率的に終わることもあれば、最終調整の場として時間を要することもあります。その前提を正しく理解しておくことが重要です。
3. 30分足らずで終了するケース
第2回期日が短時間で終了する典型例は、第1回期日において既に具体的な調停案が示され、当事者双方がその方向性を概ね受け入れている場合です。このようなケースでは、第2回期日は最終確認と形式的整理の場となり、30分足らずで終了することもあります。
例えば、第1回期日に労働審判委員会から解決金の具体的金額が提示され、双方が持ち帰って検討した結果、概ね受諾の意向を固めている場合です。この場合、第2回期日では金額の最終確認、支払期限、清算条項や守秘義務条項の文言調整などが行われるにとどまります。
当事者双方が調停案を直ちに受け入れた場合には、協議は形式的な確認作業に近くなります。そのため、期日は比較的短時間で終了し、即日で調停成立となることも珍しくありません。
もっとも、このようなスムーズな進行は、第1回期日で事実関係が十分に整理され、労働審判委員会の示した方向性に双方が一定の納得感を持っていることが前提です。準備不足や認識の隔たりが大きい場合には、このような短時間終了は期待できません。
会社経営者として重要なのは、短時間で終わる可能性があるからといって、軽視してよいわけではないという点です。むしろ、第2回期日は最終的な経営判断を確定させる場であり、条件の微調整一つが将来のリスクに影響することもあります。
30分で終わることもある一方で、調整が難航すれば長時間化する可能性もあります。短時間で終わるケースは「準備が整っている結果」であるという理解が必要です。
4. 調停案の受諾可否が時間を左右する
第2回期日における所要時間を最も左右するのは、労働審判委員会から示された調停案を当事者双方がどの程度受け入れているかという点です。
第1回期日に具体的な解決金額や方向性が示されている場合、第2回期日はその受諾可否を確認し、最終調整を行う場となります。会社側と申立人側の双方が大筋で合意している場合には、細部の確認のみで済み、短時間で終了する可能性が高くなります。
一方で、金額面や条件面で隔たりが残っている場合には、協議は自然と長引きます。特に、解決金額の差が大きい場合や、退職理由の記載方法、守秘義務条項の範囲などを巡って対立がある場合には、調整に相応の時間がかかります。
会社経営者として重要なのは、第2回期日は実質的な価格交渉の場になる可能性が高いという認識です。その場でどこまで譲歩するのか、どの条件は維持するのかを明確にしておかなければ、判断に時間を要し、結果として期日が長時間化します。
また、双方が直ちに受け入れなかった場合でも、「あと一歩で合意できそうだ」という状況であれば、労働審判委員会がその日のうちに成立させようとして交渉が継続されることもあります。この場合、当初の想定よりも長時間に及ぶことがあります。
第2回期日の長さは、審理の複雑さというよりも、交渉状況に大きく左右されます。会社経営者としては、事前に判断基準を整理し、即応できる体制を整えることで、協議を効率的に進めることが可能になります。
調停案の受諾可否は、時間だけでなく、最終的な解決水準そのものを決める要素です。その重要性を正しく理解したうえで臨むことが不可欠です。
5. 新たな主張が出た場合の時間増加リスク
第2回期日以降は通常、調停協議が中心となりますが、当事者から新たな主張や証拠が提出された場合には、状況が大きく変わります。その場合、再度事実審理に時間が割かれることになり、所要時間は一気に延びます。
本来、第1回期日で事実関係は整理されていることが前提です。しかし、期日後に新証拠が発見された、あるいは主張が補充されたという事情があれば、労働審判委員会はその内容を確認せざるを得ません。結果として、第2回期日であっても実質的に追加審理が行われることになります。
特に、解雇理由に関する新事実や、残業時間に関する新資料が提出された場合には、その信用性や位置付けをめぐって質疑応答が生じます。この場合、調停協議どころではなくなり、事実確認に時間が取られます。
会社経営者として重要なのは、第1回期日までに主張立証を可能な限り尽くしておくことです。後出しの主張は、手続の流れを不安定にし、結果的に時間とコストを増大させます。
また、新たな主張が出た場合には、その場で調停がまとまらない可能性も高まります。事実関係の再整理が必要となり、期日が増えることもあります。
第2回期日は通常短時間で終わるといわれますが、それはあくまで前提条件が整っている場合の話です。新たな争点が生じれば、第1回期日並みに時間を要する可能性も否定できません。
時間の長短は、準備の質に左右されます。会社経営者としては、期日を重ねるごとに負担が増すという現実を踏まえ、初期段階での主張整理を徹底することが重要です。
6. その日のうちに調停成立を目指す場合
第2回期日では、当事者双方が直ちに調停案を受け入れない場合でも、「あと一歩で合意できそうだ」という状況になることがあります。このような場合、労働審判委員会はその日のうちに調停を成立させることを目指して交渉を継続することがあります。
例えば、解決金額について一定の差は残っているものの、双方が譲歩の余地を示している場合です。あるいは、金額はほぼ固まっているが、支払方法や条項の文言調整で折り合いをつけようとしている場合などです。
このような局面では、短時間で終わるはずだった第2回期日が、結果として長時間に及ぶことがあります。協議が断続的に行われ、双方が別室で検討を重ねながら、条件を詰めていくこともあります。
会社経営者としては、この場面を軽視してはなりません。その日のうちに合意できるかどうかが、紛争の早期終結を左右するからです。ここで時間を理由に打ち切ってしまえば、次回期日を設定することになり、解決は先延ばしになります。
実務上、第2回期日に2時間30分程度を要したケースもあります。これは異例ではなく、合意目前の案件では十分に起こり得る時間感覚です。
重要なのは、「第2回だから短いはず」という思い込みを捨てることです。合意が現実味を帯びている場合ほど、交渉は濃密になります。
会社経営者としては、第2回期日であっても2時間程度、万全を期すなら3時間程度の時間を確保しておく姿勢が合理的です。時間の余裕が、解決の余地を広げます。
7. 実務上2時間30分かかったケース
第2回期日は通常、第1回期日よりも短時間で終了する傾向がありますが、必ずしも常に短いとは限りません。実務上、第2回期日に約2時間30分を要したケースも現実に存在します。
このようなケースでは、第1回期日に提示された調停案について、双方が直ちに受け入れるには至らなかったものの、解決の可能性は十分に残っている状況でした。金額面や条件面で一定の隔たりがありましたが、決定的な対立ではなく、調整の余地があるという段階でした。
その結果、労働審判委員会は、その日のうちに合意に至る可能性を見込み、粘り強く協議を重ねました。当事者双方が別室で検討し、修正案を提示し合い、再度調整を行うというやり取りが続き、結果として2時間を超える時間が費やされました。
会社経営者として理解すべきなのは、時間が長くなること自体が必ずしも悪いわけではないという点です。むしろ、合意成立が目前にある場合には、一定の時間をかけることが合理的な選択となります。
一方で、時間的制約がある場合には、「本日はここまで」という形で打ち切られ、次回期日に持ち越されることもあります。そうなれば、解決は先延ばしとなり、追加の時間的・金銭的コストが発生します。
第2回期日であっても、2時間を超える可能性は十分にあるという前提で予定を組むことが重要です。特に、解決の可能性が高い案件ほど、協議に時間がかかることがあります。
会社経営者としては、時間の長短ではなく、「その時間を解決のために有効に使えるか」という視点で準備することが求められます。
8. スケジュール確保の現実的目安
第2回以降の期日は、第1回期日より短時間で終わる傾向にあるとはいえ、会社経営者としては少なくとも2時間程度は確保しておくべきです。さらに万全を期すのであれば、3時間程度は裁判所に滞在できるよう予定を組むことをお勧めします。
特に、事前に大筋の合意が形成されている場合を除き、「1時間程度で終わるだろう」という前提で予定を入れるのは危険です。調停協議はその場の空気や双方の判断によって動きます。予想外に交渉が進展し、条件調整に時間を要することもあります。
会社経営者が出頭する場合には、期日の前後に重要な会議や外部予定を詰め込まないことが重要です。調停成立の可能性が高まっている場面で時間制約を理由に協議を打ち切ることは、合理的な経営判断とはいえません。
また、会社経営者が出頭しない場合でも、期日中は即時に連絡が取れる体制を整えておく必要があります。調停案に対する最終判断が遅れれば、協議の流れが停滞します。
会社経営者として理解すべきなのは、第2回期日は「形式的な継続日」ではなく、紛争を実際に終結させる可能性のある重要な局面であるということです。時間的余裕を確保することが、解決の機会を最大化します。
スケジュール確保は単なる事務的作業ではありません。最終的な損失水準を左右する重要な準備行為です。第2回期日であっても、十分な時間的余裕を前提に臨む姿勢が不可欠です。
9. 経営判断の即応体制の重要性
第2回以降の期日は、事実審理よりも調停協議が中心となることが多いため、所要時間を左右する最大の要素は会社側の意思決定の速さです。会社経営者としては、期日前にどこまで判断基準を整理しているかが問われます。
調停案が提示された場合、その場で受け入れるのか、修正提案をするのか、審判まで進めるのかを判断しなければなりません。この判断が即座にできないと、協議は停滞し、時間だけが経過します。
特に、第1回期日に一定の心証が示されている場合、第2回期日は実質的な最終交渉の場になります。ここで決断を先送りすれば、解決の機会を逃す可能性があります。
会社経営者が出頭していない場合でも、期日中は必ず連絡が取れる体制を整え、提示金額や条件変更に対して迅速に回答できるようにしておく必要があります。即応できない体制は、それ自体が交渉力の低下を意味します。
また、事前に想定レンジを明確にしておくことも重要です。いくらまでなら応じるのか、どの条件は譲れないのかを整理しておけば、判断は格段に速くなります。
第2回期日は短時間で終わることもありますが、それは意思決定が円滑に行われている場合です。逆に、判断が滞れば、協議は長時間化します。
会社経営者としては、時間を確保するだけでなく、その時間を有効に使える意思決定体制を整えることが不可欠です。それが、紛争の早期終結と損失最小化につながります。
10. まとめ|第2回期日も油断できない理由
労働審判の第2回以降の期日は、通常、第1回期日よりも短時間で終了する傾向があります。第1回期日で事実審理が概ね尽くされていることが多く、第2回期日は主として調停内容の最終調整の場となるからです。
当事者双方が調停案を直ちに受け入れる場合には、30分足らずで終了することもあります。しかし、新たな主張が出た場合や、解決金額の調整が難航した場合、あるいはその日のうちに合意成立を目指して交渉が継続された場合には、2時間を超えることも現実にあります。実務上、第2回期日に2時間30分程度を要した例も珍しいものではありません。
したがって、事前に大筋の合意が形成されているような特殊なケースを除き、第2回期日であっても2時間程度、万全を期すなら3時間程度は確保しておくことが合理的です。
また、時間の確保だけでなく、即時に経営判断ができる体制を整えておくことが不可欠です。意思決定が滞れば、調停は成立せず、紛争は長期化します。
第2回期日は「短いはずの期日」ではなく、「紛争を終わらせる可能性のある期日」です。会社経営者としては、油断せず、十分な時間と判断準備をもって臨むことが、最終的な損失を最小化するための最善策となります。
参考動画
労働審判対応について網羅的に知りたい方へ
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この同ページでは、
・労働審判の基本的な流れ
・第1回期日の重要性
・会社側が準備すべき事項
・和解戦略の考え方
・訴訟移行を見据えた対応方針
など、会社経営者の視点から、労働審判対応の全体像を体系的に整理しています。
「労働審判を申し立てられたが、まず何から手を付けるべきか分からない」
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という場合に特に有益な内容となっています。

更新日2026/2/15