ワード:「労働審判」

労働審判事件が訴訟に移行した場合には,どのようなものが訴状とみなされるのですか?

 労働審判法22条3項は,「訴えの提起があったものとみなされたときは,民事訴訟法第137条 、第138条及び第158条の規定の適用については,第5条第2項の申立書を訴状とみなす。」と規定しています。
 また,労働審判規則32条では,「法第22条第1項(法第23条第2項及び24条第2項において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があったものとみなされたときは,民事訴訟規則第56……

労働審判事件が訴訟に移行するのはどのような場合ですか?

 労働審判事件が訴訟に移行するのは,①労働審判に対する異議の申立て,②労働審判の取消決定,③労働審判事件の終了の3つのケースです。 ① 労働審判に対する異議の申立てによる訴え提起
 労働審判について当事者から適法な異議の申立てがなされた場合,労働審判は失効し,労働審判事件が係属していた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされます。 ② 労働審判の取消決定による訴え提起続きを見る

労働審判手続の期日は傍聴できますか?

 労働審判手続は非公開とされていますが,労働審判委員会が相当と認める場合には,労働審判期日の傍聴を許可することができます。
 たとえば,事情をよく知る会社の担当者等,労働審判手続において参考人となるような場合に傍聴が許可されることが多い印象です。
 傍聴が許可されないケースとしては,傍聴を許可することで当事者が本音を話せなくなるおそれがある場合や,労働審判委員会の柔軟な……

労働審判員にはどのような人が任命されるのですか?

 労働審判員は,労働関係に関する専門的な知識経験を有する者のうちから,最高裁判所が任命します。
 「労働関係に関する専門的な知識経験」とは,労働者又は使用者の立場で個別紛争の処理等に実際に携わった経験及びその経験等を通じて身に付けた個別労働紛争についての実情や慣行,制度等の知識をいいます。
 労働審判員の指定は,裁判所に裁量が委ねられていますので,当事者は,これに対し不……

労働審判員は,労働審判事件においてどのようなことをするのですか?

 労働審判員は,労働審判期日に出席し,労働審判委員会の一員として,当事者の陳述を聴き,争点整理や証拠調べを行い,調停成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み,調停成立に至らないときは労働審判を行うなど,労働審判事件の審理全般に関与します。
 また,労働審判員は,労働審判委員会の意思決定をする必要が生じたときは,その構成員として評議に参加し,決議に加わります。
 労……

労働審判手続における申立ての趣旨又は理由の変更について教えてください。

 労働審判手続では,申立人は,申立ての基礎に変更が無い限り,申立ての趣旨又は理由を変更することができます。
 労働審判委員会は,申立ての趣旨又は理由を変更することにより,3回以内の労働審判期日で審理を終結するのが困難なときは,その変更を許可しないことができます。
 申立ての趣旨又は理由の変更の許否は,新旧いずれの申立てを審理の対象にするかについて,労働審判委員会が行う手……

労働審判手続において,労働審判員に支障が生じた場合どうなりますか?

 労働審判手続は,労働審判官と労働審判員2名で組織する労働審判委員会で行う必要がありますので,労働審判員の一方に支障が生じたときに,労働審判官と他方の労働審判員だけで労働審判手続を行うことはできません。
 労働審判員の支障が一時的なものであれば,労働審判期日を変更して対応することも考えられますが,長期的な場合は,労働審判員の指定を取り消した上で,新たな労働審判員が指定されることになり……

労働審判事件において,費用負担の裁判はどのような場合に行いますか?

 裁判所又は労働審判委員会は,労働審判を含む事件を完結する裁判において,職権で,費用負担の裁判をすることが定められています。
 労働審判事件が裁判によらないで終了する場合においては,裁判所が必要と認めるときは,申立て又は職権で労働審判手続の費用の負担を命ずる決定をすることになります。この「裁判所が必要と認めるとき」とは,手続費用の負担者を各自とする原則(労働審判法29条1項)とは異な……

労働審判手続における調停又は労働審判前の措置とはどういうものですか?

 労働審判委員会は,調停又は労働審判のために特に必要であると認める場合には,当事者の申立てにより,調停又は労働審判前の措置として,相手方その他事件関係人に対し,現状の変更又は物の処分の禁止その他調停又は労働審判の内容である事項の実現を不能にし又は著しく困難にさせる行為の排除を命じることができるとされています。
 この措置をとるためには,次の4つの要件が必要と考えられています。続きを見る

労働審判事件の記録について,当事者以外の者が閲覧又は謄写の請求をすることはできますか?

 労働審判事件において,当事者及び利害関係を疎明した第三者は,裁判所書記官に対し,労働審判事件の記録を閲覧又は謄写,その正本,謄写若しくは抄本の交付又は労働審判事件に関する事項の証明書の交付を請求することができるとされています。労働審判手続は,原則として非公開ですが,訴訟的性格が強く,当事者のみならず利害関係のある第三者も,労働審判事件の記録の内容を把握する必要性があることから,このような規定が置……

労働審判手続において,当事者の死亡等により当事者が手続を続行することができない場合はどうなりますか?

 労働審判手続では,当事者の死亡等により当事者が手続を続行することができない場合でも,手続を中断することはありません。当事者に承継人があれば,当然に手続が承継され,承継人は実質的には当事者の地位に就くことになりますが,受継すべき者を確認し,手続の円滑な進行を図るために,承継人は書面による受継の申立てを行い,手続を受継しなければならないとされています(労働審判法29条1項等)。
 しか……

労働審判手続における「審理の終結」とはどういうものですか?

 労働審判手続における審理の終結は,労働審判委員会の裁量によって行うものであり,これを宣言することにより,当事者に対し労働審判の資料を提出する最終時期及び労働審判の資料を伝えるとともに,労働審判委員が迅速に労働審判を行うことを可能にしたりします。
 また,労働審判委員会は,必要があるときは,終結した審理を再開することもできます。ただし,審理の終結を宣言した後に,新たな資料が提出された……

労働審判手続の分離や合併は,どのような場合に行われるのですか?

 労働審判事件の分離とは,1つの労働審判事件において複数の申立てが併合されている場合に,申立てごとに個別の手続に分けることをいいます。主に主観的併合の事件について,審理は併合して進行し,労働審判を行う段階で手続を分離することが考えられますが,手続によっては,審理の段階で分離することも考えられます。
 労働審判手続の合併とは,同一の裁判所において別個に係属する複数の労働審判事件を,同じ……

労働審判手続の期日に当事者が欠席した場合,手続の進行はどうなるのでしょうか?

 労働審判手続は,労働審判期日に当事者双方が出頭し,労働審判委員会が双方の主張を聴取しながら真実に迫っていく手続であり,原則,3回以内の期日で審理を終了しなければならないため,当事者は,期日を無駄にすることのないよう,必ず出頭することが求められています。
 しかし,実際に当事者の一方が労働審判期日を欠席した場合は,出頭している当事者の方から主張等を聴いて審理を進めることが可能なことか……

労働審判手続における補充書面は,どのような場合に提出するのですか?

 労働審判手続では,答弁書に記載された相手方の主張に対する反論や,これに対する再反論の主張は,原則として労働審判期日において口頭でするものとされており,例外的に,これを補充する書面(補充書面)を提出することが認められています。例えば,複雑な計算を要したり,口頭での主張を補充又は整理することが審理に資する場合などが考えられます。

労働審判手続において,労働審判委員会はどのように資料を収集しますか?

 労働審判委員会の資料の収集の方法は,①職権で事実の調査をする方法と,②申立てにより又は職権で必要と認める証拠調べをする方法があります。
 「事実の調査」とは,民事訴訟の証拠調べとは異なり,特別の方式に寄らず,かつ,強制力を伴わないで資料を収集することをいい,具体的には,当事者から言い分を聴いて実情を把握すること,参考人その他の関係人に事情を聴くこと,陳述書や契約書等の書類を点検する……

労働審判手続を迅速に行うために設けられている規定とはどういうものですか?

 労働審判法は,労働審判手続を迅速に行うために,速やかに争点及び証拠の整理を行い,3回以内の労働審判期日で審理を終結させることとされています。
 また,労働審判法及び労働審判規則では,上記以外にも迅速な手続きを行うための規定が設けられており,具体的には次のとおりです。
① 弁護士代理の原則(労働審判法4条1項)
② 周辺的な紛争を防止するための書面主義(労……

労働審判事件の審理の流れを教えてください。

 労働審判手続は迅速に審理を行う必要があることから,主張書面である労働審判手続の申立書及び答弁書の記載等を充実させる規定が置かれているほか,当事者が本音を率直に発言し早期に紛争の実情が確認できるように,労働審判期日では,当事者が労働審判委員会に対し,口頭で主張をすることが原則となっています。
 労働審判手続は,審理の結果認められる当事者間の権利関係等を踏まえて労働審判を行うこととされ……

労働審判手続の期日が変更されるのはどのような場合ですか?

 労働審判期日の変更を行う際,当事者双方の他に,労働審判員2名との間でも日程調整をする必要があり,他の手続と比べて日程調整が困難なことから,期日の変更は,顕著な事由がある場合に限り許されるとされています。
 しかし,当事者や参考人が労働審判期日に出頭しないと期日が空転してしまうことも考えられ,不出頭のまま審理を進めるのが困難なときは,期日が変更になる場合もあります。
 ……

労働審判手続の答弁書には,どのような事項を記載すればいいのですか?

 労働審判手続の答弁書の実質的な記載事項として,次のものが挙げられます。
 ① 申立書の趣旨に対する答弁
 ② 労働審判手続の申立書に記載された事実に対する認否
 ③ 答弁を理由づける具体的な事実
 ④ 予想される争点及び当該争点に関連する重要な事実
 ⑤ 予想される争点ごとの証拠
 ⑥ 当事者間においてされた交渉……

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