ワード:「労働審判」

労働審判委員会は何人で構成されますか。

 労働審判委員会は
 ① 労働審判官(裁判官) 1名
 ② 労働審判員(労働者側)1名
 ③ 労働審判員(使用者側)1名
の合計3名により構成されます。  

労働審判手続の結果に対する満足度はどうなっていますか。

 東京大学社会研究所の意識調査によると,労働者側は,「とても満足している」と「少し満足している」を合わせて約60%が満足していると回答しているのに対し,使用者側は,「全く満足していない」と「余り満足していない」を合わせて半分以上が満足していないと回答しています。
 労働審判は,労働者の方が,使用者よりも,満足度が高い傾向があるようです。

労働審判利用の理由としては,どのようなものが多いのでしょうか。

 東京大学社会科学研究所の意識調査によると,労働者が労働審判を利用した理由としては,
 ① 公正な解決
 ② 経済的利益
 ③ 社会的名誉や自尊心
 ④ 強制力のある解決
 ⑤ 自分の権利
等が多くなっています。
 これに対し,使用者側が労働審判を利用した理由としては,
 ① 公正な解決……

調停がまとまらない場合には労働審判が行われ,労働審判に対して異議を申し立てた場合には,自動的に訴訟に移行することが重要なのはどうしてですか。

 この点も,労働審判を民事調停と比較して考えると分かりやすいでしょう。
 民事調停で調停不成立の場合には何らの判断もなされないまま調停手続が終了してしまいます。民事調停が不成立になった場合,自動的には訴訟に移行しませんので,訴訟で争う場合には別途訴訟提起が必要となります。何らの判断もなされていない状態で別途訴訟を提起する負担は重いこともあり,そのまま紛争が立ち消えになることも珍しくあ……

裁判官(労働審判官)1名と労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員2名により権利義務関係を踏まえた調停が試みられることが重要なのはどうしてですか。

 この点は,労働審判を民事調停と比較して考えると分かりやすいでしょう。
 民事調停を利用した場合,裁判官が調停期日の全ての時間に同席するとは限らず,ほとんどの時間は裁判官は調停の場に同席せず,調停が成立することになったとき等,わずかな時間しか調停の場に現れないということも珍しくありません。必ずしも労働問題の専門的な知識経験を有するとはいえない調停委員が,調停をまとめることばかりに熱心……

労働審判手続の特徴として,迅速な解決が予定されていることが重要と考えているのはなぜですか。

 労働者の大部分は,解雇されたことなどを不満に思ったとしても,自分を解雇するような会社に本気で戻りたいとは思わないことが多く,従来は,転職活動や転職後の仕事の支障になりかねないことなどを懸念して,余程の事情がなければ,時間のかかる訴訟手続を利用してまで解雇の効力を争うようなことは多くありませんでした。
 しかし,労働審判手続は,原則として3回以内の期日で審理を終結させることが予定され……

労働審判手続の特徴として,どのような点が特に重要と考えていますか。

 労働審判手続の特徴はどれも重要なものですが,私が特に注目しているのは,
 ① 迅速な解決が予定されていること
 ② 裁判官(労働審判官)1名と労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員2名により権利義務関係を踏まえた調停が試みられること
 ③ 調停がまとまらない場合には労働審判が行われ,労働審判に対して異議を申し立てた場合には,自動的に訴訟に移行……

労働審判法の目的を教えて下さい。

 労働審判法は,
 ① 労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(個別労働関係民事紛争)に関し,
 ② 裁判所において,裁判官(労働審判官)及び労働関係に関する専門的な知識経験を有する者(労使双方から1名ずつ選任される労働審判員合計2名)で組織する委員会が,当事者の申立てにより事件を審理し,
 ③……

労働局のあっせんへの参加は義務ですか。

 労働局のあっせんへの参加は義務ではありません。
 ただ,労働審判や訴訟になった場合と比較して解決金の相場が低めですので,直ちに参加を拒絶するのではなく,有効利用すべきと考えています。

紛争調整委員会から,「あっせん開始通知書」が会社に届きました。どのように対応すればいいでしょうか。

 労働者の請求に全く理由がないため,会社側は1円も解決金を支払う意思がないなど,全く譲歩の余地がない場合は,あっせんに参加しない旨記載した連絡票を紛争調整委員会宛,郵送又はFAXすることになります。あっせんに参加しない理由が客観的にもっともな内容で,労働者の納得を得ることができる可能性がある場合は,その理由を会社意見欄に記入した上で,「会社意見等について申請人(労働者)に知らせることについて」欄の……

会社を辞めた社員の代理人弁護士から内容証明郵便が届き,7日以内に回答するよう要求されていますが,今が会社の繁忙期ということもあり,間に合いそうもありません。2週間後の回答では遅過ぎますか。

 一概には言えませんが,相手方から示された回答期限は必ずしも守る必要はないケースがほとんどです。一般論としては,しっかり準備して合理的期間内に回答すれば十分です。
 もっとも,合理的間を超えて回答が遅れると訴訟や労働審判を申し立てられてしまう可能性が高まりますので,合理的期間内に回答する必要はあります。回答の準備に時間がかかるようでしたら,その旨事前に連絡してから回答を準備することが……

パワハラ・セクハラを巡る紛争の実態は,どのようなものですか。

 パワハラ・セクハラを巡る紛争の実態には,以下のような傾向があります。
 ① パワハラ・セクハラを不満に思い,公的機関などに相談している労働者の数は多いが,パワハラ・セクハラを理由とした損害賠償請求がメインの訴訟,労働審判はあまり多くなく,解雇無効を理由とした地位確認請求,残業代請求等に付随して,損害賠償請求がなされることが多い。
 ② 解雇無効を理由とした地位確認請求……

飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

 飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高い一番の理由は,飲食業では会社経営者が残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が低いことにあると考えています。飲食業の経営者に残業代(割増賃金)を支払わない理由を聞いてみると,
 「飲食業だから。」
 「昔からそういうやり方でやってきて,問題になったことはない。」
 「飲食業で残業代な……

運送業を営む会社において,残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当をトラック運転手に支給する際の注意点を教えて下さい。

 運送業を営む会社において,残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当をトラック運転手に支給する際の注意点は,大きく分けて
 ① 残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当であることを明確にすること
 ② 残業代(割増賃金)とそれ以外の賃金とを明確に判別できるようにすること
の2つです。
 まず,①についてですが,当該手当が残業代(割増賃金)の趣……

定額(固定)残業代の支給名目はどのようなものがいいでしょうか。

 定額(固定)残業代を支給する場合は,基本給の中に一定の金額・時間分の残業代が含まれる扱いにしたり,営業手当等の名目で一定額を支給する扱いにしたりするよりも,「残業手当」「時間外勤務手当」「深夜勤務手当」「休日勤務手当」等,それが残業代であることが給与明細書の記載から直ちに分かるよう記載しておくといいと思います。残業代であることが明白な名目で支給することにより,労働者の納得も得られやすくなり,……

残業代(割増賃金)込みの賃金ということで社員全員が納得しており,誰からも文句が出ていないのですから,別途残業代(割増賃金)を支払わなくてもいいのではないですか。

 残業代(割増賃金)込みで月給30万円とか,日当1万6000円と約束しており,それで文句が全く出ていないのだから,残業代(割増賃金)に相当する金額を特定していなくても,未払残業代(割増賃金)の請求を受けるはずはない,少なくともうちは大丈夫,と思い込んでいる会社経営者がいらっしゃいますが,甘い考えと言わざるを得ません。現実には,解雇などによる退職を契機に,未払残業代(割増賃金)を請求するたくさん……

残業代(割増賃金)の請求を受けている労働審判事件において,付加金の支払を命じられることがありますか。

 労働審判は判決ではありませんので,労働審判で付加金の支払を命じられることはありません。
 労働審判手続申立書において付加金の請求がなされていることは珍しくありませんが,これは,労働審判手続において調停が成立せず,労働審判に対して異議が出されて訴訟に移行した場合に備え,2年の除斥期間を遵守するためのものに過ぎません。  ※ 労働審判対応については,こちらで具体的に解説しています。……

有期契約労働者が正社員と同じ待遇を要求する。

1 問題の所在
 有期契約労働者の労働条件は個別労働契約,就業規則等により決定されるべきものですので,正社員と同じ待遇を要求することは認められないのが原則です。
 しかし,有期契約労働者が正社員と同じ仕事に従事し,同じ責任を負担しているにもかかわらず,単に有期契約というだけの理由で労働条件が低くなっているような場合には,「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止……

精神疾患を発症したのは長時間労働や上司のパワハラ・セクハラのせいだと主張して損害賠償請求してくる。

 長時間労働や上司のパワハラ・セクハラが原因となって労働者が精神疾患を発症した場合,使用者は安全配慮義務違反(労契法5条,民法415条)又は使用者責任(民法715条)を問われ,損害賠償義務を負うことがあります。
 過去の裁判例,心理的負荷による精神障害の労災請求事案において労業務上外を判断する際に用いられる「心理的負荷による精神障害の認定基準(平成23年12月26日基発1226第1……

注意するとパワハラだなどと言って,上司の指導を聞こうとしない。

1 パワハラとは
 パワーハラスメントは法律上の用語ではなく,統一的な定義はありません。
 平成22年1月8日付け人事院の通知では,パワーハラスメントは,一般に「職権などのパワーを背景にして,本来の業務の範疇を超えて,継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い,それを受けた就業者の働く環境を悪化させ,あるいは雇用について不安を与えること」を指すとされています。
……

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