Q726 労働審判事件が訴訟に移行した時の手続の流れを教えてください。

 労働審判事件が訴訟に移行すると,立件や記録の編成などの手続を経て,受訴裁判所に労働審判事件記録が引き継がれます。そして,裁判長が,訴状とみなされた労働審判手続の申立書等(申立の趣旨又は理由の変更申立書及び労働審判手続の期日において口頭で申立ての趣旨又は理由の変更がされた場合におけるその労働審判期日の調書を含む。以下同じ。)の書面について審査を行い,不備があれば原告に補正を命じます。この際,原告が補正に応じない場合には,裁判所は,訴状とみなされた労働審判手続の申立書等の書面を却下することになります(民事訴訟法137条)。
 労働審判事件が訴訟に移行したとき,原告(労働審判事件の申立人)は,訴え提起の手数料を裁判所に納付することになります。この場合の手数料は,通常の訴え提起の手数料の額から,労働審判事件の申立て時に納付した手数料を控除した額の手数料を納付しなければなりません。原告が,裁判長からこの額の手数料の納付を命じられたにもかかわらず手数料の納付をしない場合は,訴状とみなされた労働審判事件の申立書等を却下することになります(民事訴訟法137条)。
 訴状とみなされる労働審判事件の申立書等は,被告に送達する必要があるため,原告は,裁判所に,被告の数と同数の書面の副本を提出するのが通常です。この副本の提出は,義務ではなく訓示的なものなので,原告が副本の提出に応じなくても,裁判所は書面を却下したりすることはできません。
 もっとも,訴状とみなされる労働審判事件の申立書等は,申立ての一部に取り下げがあった場合や,当事者の変更があった場合には,それらが明らかになっていないことがあります。労働審判事件が訴訟に移行した時点での原告の主張を早い段階で明確にしておくためにも,裁判所は,原告に対して,請求の趣旨及び原因を訴状と同様の形式に整序して記載した,いわゆる訴状に代わる準備書面の提出を求めることがあります。


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