労働問題728 労働審判手続の申立ての取り下げについて教えてください。
労働審判手続の申立ての取下げは、申立人が、労働審判期日で行うか、取下書を裁判所に提出する方法で行わなければなりません。
労働審判手続の申立ての取下げが、労働審判期日で行われた場合、労働審判官(裁判官)が裁判所書記官に調書の作成を命じ、裁判所書記官が、申立ての取下げがあったことを調書に記載します。
申立人が労働審判手続の申立てを取り下げた場合の効力は、裁判所に取下書が到達した時又は労働審判期日において口頭により申立てを取り下げたときに生じます。
労働審判手続の申立ての取下げについて、相手方の同意は不要です。
申立人が労働審判手続の申立てを取り下げたら、裁判所書記官から、相手方(主に会社側)に対し、その旨が通知されます(労働審判規則34条)。ただし、次の3つの事項のいずれかに該当する場合には、通知されません。
① 相手方が出頭した労働審判期日において労働審判手続の申立てが取り下げられたとき
② 労働審判手続の申立書の写しが相手方に送付される前に労働審判手続の申立てが取下げられたとき
③ 相手方が所在不明のときや外国に在るとき
また、労働審判手続の申立ての取下げができるのは次のとおりです。
① 調停の成立まで
② 労働審判に対する適法な異議の申立て、労働審判の取消決定の確定、労働審判の事件の終了により訴えの提起があったとみなされるまで
なお、労働審判が訴訟へ移行した後は、労働審判手続の申立ての取下げはできないと考えられますので、その場合は、訴えの取下げを検討することになります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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