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転勤命令が権利の濫用になるのはどのような場合ですか?

 使用者による転勤命令は、
① 業務上の必要性が存しない場合
② 不当な動機・目的をもってなされたものである場合
③ 労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
等、特段の事情のある場合でない限り権利の濫用にならないと考えられています(東亜ペイント事件最高裁第二小法廷昭和61年7月14日判決)。  ①業務上の……

労働条件通知書の「就業の場所」欄には、どこまで詳しく書く必要がありますか?

 平成11年1月29日基発45号では、労働条件通知書の「就業の場所」欄には、「雇入れ直後のものを記載することで足りる」とされていますので、原則として最初の勤務場所を書けば足ります。
 もっとも、転勤を命じられてから、雇入れ直後の就業場所の記載があることを理由に勤務地限定の合意があったと主張する労働者もいますので、単に雇入れ直後の就業場所を記載するだけではなく、それが雇入れ直後の就業場……

勤務地限定の合意があったとの主張は、どの程度認められるものなのでしょうか?

 転勤命令の有効性が争われた場合、勤務地限定の合意があったとの主張が労働者側からなされることが多いですが、勤務地が複数ある会社の正社員については、勤務地限定の合意はなかなか認定されません。
 就業規則に転勤命令権限についての規定を置き、入社時の誓約書で転勤等に応じること、就業規則を遵守すること等を誓約してもらっておけば、特段の事情がない限り、訴訟対策としては十分だと思います。続きを見る

使用者に配転命令権限があるといえるためには、どのようなことが必要ですか?

 配転命令権限の有無は、当該労働契約の解釈により決せられるべき問題です。
 使用者に配転命令権限があるというためには、対象社員の個別的同意は必ずしも必要ではなく、就業規則の規定、入社時の包括的同意書があれば足りるのが通常であり、配転命令権限に関する就業規則の規定、包括的同意書が存在しない場合であっても、使用者に配転命令権限が付与されていると解釈できることもあります。
 ……

転勤命令違反を理由とした懲戒解雇の有効性が争われた場合、主に何が問題となりますか?

 転勤命令違反を理由とした懲戒解雇の有効性が争われた場合、
① 転勤命令権限の有無(勤務地限定特約の有無)
② 転勤命令が濫用されたと評価できるかどうか
③ 懲戒解雇が懲戒権の濫用(労契法15条)に当たるかどうか
が主に問題となります。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

懲戒解雇と退職金不支給の関係について、教えて下さい。

 懲戒解雇事由に該当する場合を退職金の不支給・減額・返還事由として規定しておけば、懲戒解雇事由がある場合で、当該個別事案において、退職金不支給・減額の合理性がある場合には、退職金を不支給または減額したり、支給した退職金の全部または一部の返還を請求したりすることができます。
 退職金の不支給・減額事由の合理性の有無は、労働者のそれまでの勤続の功を抹消(全額不支給の場合)又は減殺(一部不……

懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分を検討する際の注意点を教えて下さい。

 懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分については、懲戒権濫用の有無が厳格に審査され、紛争となりやすい傾向にあります。
 特に、退職金が不支給・減額とされる場合には、訴訟で争われるリスクがさらに高くなります。
 退職の効果を伴う懲戒処分は、特に慎重に行う必要があり、特に退職金が不支給・減額される事案であれば、訴訟で争われることを覚悟した上で、懲戒処分に……

懲戒解雇の懲戒権濫用の有無を判断する際、どのような要素が考慮されますか?

 懲戒解雇の懲戒権濫用の有無を判断するにあたっては、規律違反行為により職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となり、
① 規律違反行為の態様(業務命令違反、職務専念義務違反、信用保持義務違反等)
② 程度、回数
③ 改善の余地の有無
等が考慮されることになります(労働事件審理ノート参照)。 弁護士法人四谷麹町法律事務……

社員の非違行為が就業規則に定める懲戒解雇事由に該当する場合であっても、懲戒解雇が無効となることがありますか?

 労契法15条は、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定しています。
 したがって、社員の非違行為が就業規則に定める懲戒解雇事由に該当するように見える場合であっても、懲戒解雇が……

まずは戒告処分をしてみて、反省の色が見られないようなら、同じ事実を理由として懲戒解雇しようと思うのですが、問題ないでしょうか?

 懲戒処分の有効性は、一事不再理の原則を考慮して判断されるため、懲戒処分を行った事実と同一の事実について、懲戒解雇することはできないことを前提として、どのような懲戒処分に処するのかを決定する必要があります。
 戒告処分に処した場合は、同じ非違行為を理由として更に懲戒処分に処することはできないものと考えて下さい。
 懲戒解雇するには、戒告処分の理由とされた非違行為とは別の……

懲戒解雇したい事案において、普通解雇すれば有効となりそうなのですが、懲戒解雇した場合には無効となるリスクがそれなりに高い場合、どのように解雇すればいいでしょうか?

 普通解雇であれば有効となりそうなものの、懲戒解雇は無効となるリスクがそれなりに高い場合は、普通解雇を選択するか、懲戒解雇と併せて普通解雇の意思表示も明示的にするかすべきでしょう。
 当初、懲戒解雇のみを行ってしまったが、訴訟の審理が進むにつれ、懲戒解雇としては無効となる可能性が高いことが判明したような場合も、予備的に普通解雇の意思表示をしておくべきです。 弁護士法人四谷麹町法律事……

懲戒解雇を通知した場合に、懲戒解雇の意思表示は、同時に普通解雇の意思表示でもあるという主張は認められますか。

 この問題は、結局のところ、当該解雇の意思表示の解釈(事実認定)の問題であり、事案ごとに検討するほかありません。
 懲戒解雇のみを行ったことが明らかな場合は、普通解雇であれば有効な事案であっても、懲戒解雇の意思表示が同時に普通解雇の意思表示でもあるという主張は認められません。
 裁判例の中には「使用者が、懲戒解雇の要件は満たさないとしても、当該労働者との雇用関係を解消し……

懲戒解雇した時点で既に存在していたものの使用者に判明しておらず、当初は懲戒理由とされていなかった非違行為が後から判明した場合,懲戒解雇の有効性を根拠付ける理由とすることはできますか?

 懲戒解雇した時点で既に存在していたものの使用者に判明しておらず、当初は懲戒理由とされていなかった非違行為が新たに判明した場合、懲戒解雇の有効性を根拠付ける理由とすることができるかに関し、山口観光事件最高裁第一小法廷平成8年9月26日判決(労判708号31頁)が、「使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その……

就業規則がなくても懲戒解雇することはできますか?

 フジ興産事件最高裁平成15年10月10日第二小法廷判決が「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことを要する」「そして、就業規則が法的規範としての性質を有する…ものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。」と判示していることからすれば、就業規則に懲戒解雇事由……

懲戒解雇の有効性を判断する際の検討項目を教えて下さい。

 懲戒解雇の有効性を判断する際には、
 ① 就業規則の懲戒解雇事由に該当するか
 ② 懲戒権濫用(労契法15条)に当たらないか
 ③ 解雇予告義務(労基法20条)を遵守しているか
 ④ 解雇が制限されている場合に該当しないか
等の項目を検討する必要があります。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太……

懲戒解雇とはどのような解雇のことをいうのですか?

 懲戒解雇とは、使用者が有する懲戒権の発動により、一種の制裁罰として、企業秩序に違反した労働者に対し行われる解雇をいいます。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎   ……

勤務態度が悪く、能力も極端に低い社員を解雇しようと思うのですが、勤務態度が悪いだとか能力が低いだとか伝えると角が立ってしまいます。そこで、会社の事業縮小に伴う整理解雇ということにしようと思っているのですが、いかがでしょうか?

 解雇される社員の気持ちを考えてのことなのだとは思いますが、本当のことを伝えると角が立つから解雇の本当の理由を伝えられないというのでは、会社経営者としてなすべき仕事から逃げていると言わざるを得ません。
 会社経営者は、社員に言いたくないことであっても、会社を経営していく上で必要なことであれば言わなければなりません。
 解雇の理由が、勤務態度が悪いことや能力が極端に低いこ……

整理解雇に臨むスタンスとしては、どのように考えていますか?

 使用者が労働者に対して人員削減の必要性を丁寧に説明し、退職の条件についてそれなりに配慮したような場合は、労働者が早期退職募集や退職勧奨(合意退職)に応じてくれることも多く、整理解雇する必要性がある人数が大幅に減ることも珍しくありません。
 私としては、丁寧な説明・退職条件の提示により合意退職してもらうことを中心に考えるべきであり、整理解雇は、使用者が誠意を持って丁寧に説明・交渉して……

④手続の相当性については、どのようなことを検討する必要がありますか?

 労働協約で整理解雇に先立ち労働組合と協議する義務が規定されているような場合は、労働組合と協議せずに行った整理解雇は原則として無効となります。
 事前協議義務を定める労働協約がない場合であっても、裁判所は、使用者は労働者に対して整理解雇の必要性と時期・規模・方法について説明を行った上で、誠意を持って協議すべき信義則上の義務を負うと考える傾向にあります。
 使用者が労働者……

③人選の合理性については、どのようなことを検討する必要がありますか?

 ③人選の合理性に関しては、人選基準そのものの合理性と実際のあてはめの合理性を検討する必要があり、その基準は使用者の恣意が入らない客観的なものであることが必要です。
 人選基準を設けなかった場合や客観性・合理性を欠く人選基準に基づいて整理解雇がなされた場合は、③人選の合理性を欠くと判断されることになります。
 まずは客観的で合理的な人選基準の設定を行い、人選基準に基づい……

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