ワード:「企業」

合意退職に関する紛争の実態とは?会社経営者が知るべき退職勧奨トラブルと法的リスク

[toc] 1. 合意退職とは何か―会社経営者が押さえるべき基本構造  合意退職とは、会社と労働者が話し合いにより退職することに合意し、雇用契約を終了させる方法をいいます。解雇のような一方的な意思表示ではなく、あくまで双方の合意によって契約を終了させる点に本質があります。  実務上は、大きく分けて二つの類型があります。一つは、会社側から特段の働きかけをしていないにもかかわらず、労働者自らが退……

退職前に全日年休取得を申請されたら拒否できるか?会社経営者が知るべき時季変更権の限界

[toc] 1. 退職前の「全日年休申請」は有効か  一方的に辞表を提出した社員が、退職日までのすべての労働日について年次有給休暇を申請してきた場合、会社経営者としては「それでは引継ぎができない」「承認しなければよいのではないか」と考えたくなるところです。  しかし、年次有給休暇は、原則として会社の承認を要しません。 労働者が、保有する日数の範囲内で具体的な始期・終期を特定して時季指定を行え……

契約期間3年の契約社員が1年半で退職希望|会社経営者は退職を拒否できるか?労基法137条の実務

[toc] 1. 3年契約でも途中退職は可能なのか  契約期間を3年と定めている以上、「途中で辞めることはできない」と考えたくなるのが会社経営者の率直な感覚でしょう。しかし、法制度は必ずしもそのように単純ではありません。  本来、有期労働契約は期間満了までの就労を前提として締結されるものです。そのため、民法628条の原則では、「やむを得ない事由」がない限り、契約期間途中の一方的解除は認められ……

正社員が一方的に退職宣言して出社しない場合、退職は成立するか?会社経営者が知るべき民法627条の実務

[toc] 1. 一方的な退職宣言と労働契約の基本構造  正社員が「今日で辞めます」と一方的に宣言し、そのまま出社しなくなった場合、会社経営者としては「承認していないのだから退職は成立していない」と考えたくなるかもしれません。しかし、法的にはその理解は必ずしも正確ではありません。  労働契約は、契約である以上、当事者双方の意思に基づいて成立しますが、終了については必ずしも双方の合意を要すると……

社員が口頭で「辞める」と言って出社しなくなった場合の対応策|会社経営者が取るべき法的リスク管理

[toc] 1. 口頭での「辞める」は法的に有効か  社員が突然「もう辞めます」と口頭で述べ、そのまま出社しなくなった場合、会社経営者としては「退職は成立した」と考えたくなるのが自然です。しかし、口頭のやり取りだけで退職が法的に確定するとは限りません。  退職には、大きく分けて「労働者からの一方的な辞職」と「会社との合意退職」があります。いずれの場合も、口頭でも理論上は成立し得ますが、後に紛……

解雇していないのに「解雇された」と主張される理由とは?会社経営者が知るべき労働者側の戦略と対策

[toc] 1. 「解雇された」と主張される典型的な場面とは  会社としては解雇の意思表示をしていないにもかかわらず、労働者側から「解雇された」と主張される事案は、決して珍しいものではありません。特に、退職勧奨を行った場面や、トラブルを理由に出勤停止・自宅待機を命じた場面で生じやすい傾向があります。  例えば、「今の状況では続けるのは難しいのではないか」「退職を考えてはどうか」といった発言が……

ソーシャルメディアに問題映像を投稿した社員を懲戒解雇できるか?会社経営者が押さえるべき法的要件とリスク

[toc] 1. 問題映像投稿と企業経営リスクの現実  社員がソーシャルメディアに問題映像を投稿した場合、その影響は一瞬で拡散し、企業の信用やブランド価値に深刻な打撃を与える可能性があります。いわゆる「炎上」は、企業規模の大小を問わず発生し、取引先からの契約見直し、顧客離れ、採用活動への悪影響など、経営全体に波及します。  とりわけ、勤務時間中の不適切行為や顧客に関わる問題映像であれば、単な……

精神疾患を発症した社員について私傷病に関する休職制度を適用せず、直ちに普通解雇してはいけないでしょうか。

 私傷病に関する休職制度があるにもかかわらず、精神疾患を発症したため債務の本旨に従った労務提供ができないことを理由としていきなり普通解雇するのは、休職させても回復の見込みが客観的に乏しいといった内容の専門医の診断又は意見があるような場合でない限り、解雇権を濫用したものとして解雇が無効(労契法16条)と判断されるリスクが高いものと思われますので、お勧めできません。     ……

管理職としての能力が低い社員を解雇する場合の注意点を教えて下さい。

 管理職としての能力が低いことが原因で部下を管理できない場合であっても直ちに退職勧奨したり解雇したりせず、当該社員の能力でも対応できるレベルの管理職に降格させるか、管理職から外して対応するのが原則です。
 ただし、地位を特定して高給で採用された社員に労働契約で予定された能力がなかった場合には、降格ではなく退職勧奨や解雇を検討することになります。地位特定者を解雇するにあたっては、地位を……

就業時間外に社外で飲酒運転・痴漢・傷害事件等の刑事事件を起こした社員を懲戒解雇する際の注意点を教えて下さい。

 そもそも、私生活上の行為を理由として懲戒処分に処することができるかが問題となりますが、「営利を目的とする会社がその名誉、信用その他相当の社会的評価を維持することは、会社の存立ないし事業の運営にとって不可欠であるから、会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上で行われたものであっても、これに対して会社の規制を及ぼしうることは当然認めら……

業務上のミスの程度・頻度が甚だしく改善の見込みが乏しい社員を解雇する際の注意点を教えて下さい。

 業務上のミスの程度・頻度が甚だしく改善の見込みが乏しい場合には、退職勧奨と平行して普通解雇を検討します。普通解雇が有効となるかどうかを判断するにあたっては、
 ① 就業規則の普通解雇事由に該当するか
 ② 解雇権濫用(労契法16条)に当たらないか
 ③ 解雇予告義務(労基法20条)を遵守しているか
 ④ 解雇が法律上制限されている場合に該当……

問題社員を解雇したところ、労働者側から不当解雇との主張がなされたので、解雇を撤回して就労を命じたところ、労働者代理人から、東京高裁平成21年11月16日決定(判タ1323号267頁)を引用の上、解雇の撤回は認められないと主張され、しかも、民法536条2項により賃金請求権も失われないから賃金を払え、とも言われています。この場合の法律関係をどのように考えればよろしいでしょうか?

 問題社員を解雇したところ、労働者側から不当解雇との主張がなされたので、解雇を撤回して就労を命じた場合に、労働者代理人から、東京高裁平成21年11月16日決定(判タ1323号267頁)を引用の上、解雇の撤回は認められないと主張され、しかも、民法536条2項により賃金請求権も失われないから賃金を払え、といった請求がなされることがあります。
 使用者が職場復帰して仕事して下さいと言ってい……

裁判所で解雇が無効と判断された場合の解雇日から復職日までの不就労日などは、労基法39条の出勤日数・全労働日に含まれますか?

 裁判所で解雇が無効と判断された場合の解雇日から復職日までの不就労日などが労基法39条の出勤日数・全労働日に含まれるかについては、行政通達(平成25年7月10日付け基発0710第3号)が存在します。
 同通達は、八千代交通(年休権)事件最高裁第一小法廷平成25年6月6日判決(労判1075号21頁)を踏まえて出されたものということもあり、今後の裁判実務においても概ね同通達の解釈に沿った……

解雇が無効と判断された場合、労基法39条1項及び2項における出勤率の算定に当たり、解雇により労働契約が終了していることを理由として就労を拒んでいた所定労働日を出勤日数に算入する必要がありますか?

 解雇が無効と判断された場合、労基法39条1項及び2項における出勤率の算定に当たり、解雇により労働契約が終了していることを理由として就労を拒んでいた所定労働日を出勤日数に算入する必要があるかどうかについては、最高裁判例が存在します。
 八千代交通(年休権)事件最高裁第一小法廷平成25年6月6日判決(労判1075号21頁)は、以下のように判示し、そのような日は、労基法39条1項及び2項……

能力不足を理由とした解雇が認められるかどうかは、どのように判断すればよろしいでしょうか?

 能力不足を理由とした解雇が認められるかどうかは、基本的には労働契約で求められている能力が欠如しているかどうかによります。
 単に思ったほど能力がなく、見込み違いであったというだけでは、解雇は認められません。
 長期雇用を予定した新卒採用者については、社内教育等により社員の能力を向上させていくことが予定されているのですから、能力不足を理由とした解雇は、例外的な場合でない……

「仕事を休みます。」とだけ連絡してきて、勝手に何日も休んで周りに迷惑をかけている問題社員を解雇する際の注意点を教えて下さい。

 勝手に何日も休んで周りに迷惑をかけている社員を解雇する場合は、正当な理由なく欠勤を続けていることを解雇理由とするのが通常です。
 したがって、この解雇の有効性を判断するにあたっては「欠勤」の有無、日数、欠勤の理由等が問題となります。
 ここで最初に問題となるのが、「仕事を休みます。」との連絡が、年次有給休暇の取得申請なのか、欠勤の届出なのかという点です。
……

問題社員の解雇で苦労しないようにするためのポイントを教えて下さい。

 私の印象では、問題社員の解雇で苦労することになった原因のかなりの部分は、会社経営者が多忙であることなどから、採用活動にかける手間や費用を惜しんだり、人手不足の解消を優先させたりして、問題社員であるかもしれないと感じていながら、採用してしまったことにあります。
 確かに、問題を起こすような応募者だとは全く思わなかったのに、採用してみたら問題ばかり起こして困っているという事案もないわけ……

社員の態度が悪いため改善するよう指導したところ口論になり、当該社員は会社を辞めると言い残して退職届も提出せずに出て行ってしまいました。どのように対応すればいいでしょうか?

 まずは、本人と連絡を取って、会社を辞めるのであれば退職届を提出するよう促して下さい。
 退職届等の客観的証拠がないと、口頭での合意退職が成立したと会社が主張しても認められず、解雇したと認定されたり、解雇もなく合意退職も成立していないからまだ在職中であると認定されたりすることがあります。
 退職届を提出するよう促しても提出しない場合は、電子メールか書面で、会社を辞めるの……

労基署に相談してから解雇すれば、裁判にも勝てますよね?

 労基署は労基法違反を取り締まっていますので、労基法20条の解雇予告等をしてから解雇するよう指導する等、労基法違反にならないようにするためのアドバイスはしてくれるかもしれません。
 労基官によっては、解雇には客観的に合理的な理由が必要であり、社会通念上相当なものである必要もあること(労契法16条)についても教えてくれるかもしれません。
 しかし、解雇の有効性を判断する最……

問題社員に注意指導や懲戒処分をしたら、気分を害して職場の雰囲気が悪くなりますから、注意指導や懲戒処分なんてせずに直ちに解雇した方がいいのではないですか?

 確かに、問題社員に注意指導や懲戒処分をした場合、一定の軋轢が生じることは予想されるところです。
 しかし、注意指導や懲戒処分もせずに問題社員の好き勝手にさせていることの方が、職場の雰囲気にとって大きな問題です。
 当然行うべきであった注意指導や懲戒処分をしなかった結果、上司に対する態度もますます悪化したり、新入社員に仕事を教えなかったりいじめたりして何人も辞めさせたり……

弁護士法人四谷麹町法律事務所

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