労働問題468 会社オフィス前における労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合ですか。

この記事の結論
1

正当な組合活動の範囲内であれば違法性は阻却される

労働組合の表現行為・宣伝行動は、組合員の労働条件の維持・改善を図るために必要かつ相当な行為であれば、正当な活動として違法性が阻却されます。

2

虚偽の事実の摘示や名誉・信用の毀損がある場合は違法となる

虚偽の事実や誤解を与えかねない事実を記載して、会社の利益を不当に侵害したり、名誉・信用を毀損・失墜させたりする場合は、正当性の範囲を逸脱し違法と評価されます。

3

必要性・相当性・動機・態様・影響の総合判断で決まる

街宣活動の正当性は、必要性、相当性、動機、態様、影響など一切の事情を考慮し、社会通念上許容された範囲内であるかどうかで判断されます。

01街宣活動と正当な組合活動の関係

 労働組合は、団結権・団体交渉権が法的権利として保障されており、その目的とする組合員の労働条件の維持・改善を図るために必要かつ相当な行為は、正当な活動として、違法性を阻却されることになります。

 会社オフィス前における街宣活動(ビラ配りや拡声器による宣伝活動など)も、正当な組合活動として行われる場合には、法的に保護される活動です。しかし、その内容や態様によっては、正当性の範囲を逸脱し違法と評価されることがあります。

02違法性が阻却される場合

 労働組合の組合活動としての表現行為・宣伝行動によって使用者の名誉や信用が毀損された場合であっても、以下のいずれかに該当する場合には、違法性が阻却されます。

違法性が阻却される場合

① 摘示された事実が真実であると証明された場合
街宣活動で述べられた事実が客観的に真実であることが証明された場合。

② 真実と信じるについて相当の理由がある場合
仮に真実でなかったとしても、真実であると信じるについて相当の理由があった場合。

③ 正当な労働組合活動として社会通念上許容された範囲内の場合
表現行為・宣伝行動の必要性、相当性、動機、態様、影響など一切の事情を考慮し、社会通念上許容された範囲内であると判断される場合。

 いずれの場合も、当該活動が労働組合の活動として公共性を失わない限りにおいて、違法性が阻却されます。

03正当性の範囲を逸脱し違法と評価される場合

 他方で、組合活動としてなされる文書活動であっても、以下のような場合には、組合活動として正当性の範囲を逸脱し、違法と評価されることになります。

違法と評価され得る場合

① 虚偽の事実を記載した場合
事実と異なる内容をビラや宣伝で述べること。
② 誤解を与えかねない事実を記載した場合
表現の仕方により、事実と異なる印象を受け手に与え得る内容であること。
③ 会社の利益を不当に侵害する場合
正当な目的を超えて、会社の業務を妨害する意図・効果があること。
④ 名誉・信用を毀損・失墜させる場合
会社や経営者の社会的評価を不当に低下させること。
⑤ 企業の円滑な運営に支障を来す場合
取引先や顧客との関係に悪影響を及ぼすなど、企業活動に支障を生じさせること。

04会社経営者としての対応

 街宣活動が行われた場合、まずその内容と態様を正確に記録することが重要です。ビラの内容、拡声器での発言内容、参加人数、活動時間、場所などを記録・撮影しておくことで、違法性の判断に必要な証拠を確保できます。

 街宣活動の内容に虚偽の事実が含まれている場合や、態様が社会通念上許容される範囲を逸脱していると考えられる場合には、仮処分(差止め)の申立てを検討することになります(449番参照)。

 街宣活動への対応は法的判断が複雑であるため、早期に使用者側弁護士に相談することが重要です。

経営上のポイント 街宣活動が行われた場合は、まず内容と態様を記録・保全することが重要です。正当な組合活動の範囲内であれば違法性は阻却されますが、虚偽の事実の摘示や名誉毀損がある場合には差止めの仮処分を検討します。対応は使用者側弁護士に相談しながら進めてください。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 街宣活動を止めさせるために仮処分を申し立てることはできますか。

A. 街宣活動の内容や態様が正当な組合活動の範囲を逸脱している場合には、差止めの仮処分を申し立てることが可能です。ただし、正当な組合活動の範囲内と認められる場合には差止めは認められません。内容・態様の記録を十分に行ったうえで弁護士と検討することをお勧めします。

Q2. 街宣活動で配布されたビラに虚偽の記載がありました。損害賠償請求は可能ですか。

A. 虚偽の事実を記載したビラにより名誉・信用が毀損された場合、不法行為に基づく損害賠償請求が可能です。ただし、街宣活動の正当性との関係で違法性の判断が必要となるため、弁護士に具体的な事情を整理のうえ相談することをお勧めします。

Q3. 街宣活動中に警察を呼ぶことはできますか。

A. 正当な組合活動の範囲内で行われている街宣活動に対して、警察に介入を求めても対応が難しい場合があります。ただし、暴力行為、威力業務妨害、道路交通法違反などに該当する態様がある場合には、警察に通報することが適切な場合もあります。状況に応じた判断が必要です。

最終更新日:2026年2月25日

労働問題FAQカテゴリ


Return to Top ▲Return to Top ▲