労働問題469 企業経営者の自宅付近で行われる労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合ですか。

この記事の結論
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自宅付近の街宣活動は、会社前と比べて大幅に制約される

企業経営者の自宅付近で行われる街宣活動は、住居の平穏や地域社会における名誉・信用という具体的な法益を侵害しないものである限りにおいて容認されるにとどまります。

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労使関係の問題は職場領域で解決すべき

労使関係の場で生じた問題は、労使関係の領域である職場領域で解決すべき問題です。企業経営者も個人として、住居の平穏や地域社会における名誉・信用が保護・尊重されるべきであり、組合の諸権利は経営者の私生活の領域までは及びません。

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自宅付近での街宣活動には仮処分による差止めが認められやすい

会社前と比べて違法と評価されるハードルが低いため、差止めの仮処分が認められやすい傾向にあります。

01自宅付近の街宣活動が大幅に制約される理由

 企業経営者の自宅付近で行われる街宣活動は、会社前路上などで行われる通常の街宣活動と比べて、大幅に制約されることになります。

 その理由は、労使関係の場で生じた問題は、労使関係の領域である職場領域で解決すべき問題であり、企業経営者も個人として、住居の平穏や地域社会における名誉・信用が保護・尊重されるべきだからです。労働組合の諸権利は企業経営者の私生活の領域までは及ばないと考えられています。

02保護される法益の内容

 自宅付近の街宣活動において保護される具体的な法益としては、以下のものが挙げられます。

自宅付近の街宣活動で保護される法益

① 住居の平穏
自宅や自宅周辺の静穏な環境が侵害されないこと。拡声器の使用や多人数の集結により住環境が害される場合、この法益が侵害されます。

② 地域社会における名誉・信用
経営者が居住する地域社会での評価が不当に低下させられないこと。近隣住民に対して経営者の信用を損なう内容の活動が行われる場合、この法益が侵害されます。

 自宅付近の街宣活動は、これらの具体的な法益を侵害しないものである限りにおいて、表現の自由の行使として相当性を有し、容認されることがあるにとどまります。

03会社前の街宣活動との違い

 会社前の街宣活動は、労使関係の領域内で行われる活動であるため、正当な組合活動として比較的広く認められます(468番参照)。必要性、相当性、動機、態様、影響などを総合考慮し、社会通念上許容された範囲内であれば違法性は阻却されます。

 これに対し、自宅付近の街宣活動は、職場領域を離れた私生活の領域での活動であるため、組合活動としての正当性が認められる余地がより限定的です。同じ内容の活動であっても、会社前であれば適法とされるものが、自宅付近では違法と評価される可能性が高くなります。

04経営者としての対応

 自宅付近で街宣活動が行われた場合は、直ちに使用者側弁護士に連絡し、差止めの仮処分の申立てを検討することが重要です。自宅付近の街宣活動は会社前と比べて違法と評価されるハードルが低いため、仮処分が認められやすい傾向にあります。

 活動の記録(日時、人数、使用機器、発言内容、配布物など)をできる限り正確に残しておくことが、仮処分の申立てにおいて重要な証拠となります。近隣住民への影響についても記録しておくと有用です。

経営上のポイント 自宅付近での街宣活動は、会社前と比べて大幅に制約されます。住居の平穏や地域社会での名誉・信用が侵害された場合は、差止めの仮処分が認められる可能性が高くなります。自宅付近での活動が行われた場合は、記録を残したうえで速やかに使用者側弁護士に相談してください。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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Q&Aよくある質問

Q1. 自宅付近の街宣活動に対して仮処分はどの程度で認められますか。

A. 会社前の街宣活動と比べて、仮処分が認められやすい傾向にあります。住居の平穏や地域社会における名誉・信用という具体的な法益侵害の主張が比較的認められやすいためです。ただし、事案によって判断は異なりますので、弁護士と具体的な事情を整理のうえ検討することをお勧めします。

Q2. 自宅マンションの共用部分で街宣活動が行われています。管理組合に対応を求めるべきですか。

A. マンションの共用部分への立入りは、管理規約に基づく管理組合の対応が可能な場合があります。ただし、労働組合との法的関係は使用者である会社(経営者)との関係で判断されるため、管理組合への対応要請と並行して、使用者側弁護士に法的対応を相談することをお勧めします。

Q3. 家族が精神的苦痛を受けています。慰謝料請求はできますか。

A. 自宅付近での街宣活動により経営者本人やその家族が精神的苦痛を受けた場合、不法行為に基づく慰謝料請求が認められる可能性があります。街宣活動の態様・内容・継続期間などが考慮されます。証拠の確保が重要ですので、弁護士に相談のうえ対応することをお勧めします。

最終更新日:2026年2月25日

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