労働問題181 会社の定年年齢には、法律上どのような制限がありますか。高年齢者雇用安定法の規定を教えて下さい。

この記事の結論
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定年は原則として60歳を下回ることができない(高年法8条)

60歳未満の定年を就業規則に定めても無効となります。特別な職種についてのみ例外があります。

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65歳未満の定年を定める会社は、定年引上げ・継続雇用制度導入・定年廃止のいずれかが必要(高年法9条)

令和3年4月からは、70歳までの就業機会確保も努力義務化されています(高年法10条の2)。

 高年齢者雇用安定法における定年年齢の制限とは、事業主が定年制度を設ける場合に、原則として60歳を下回る定年を定めることができないとする規制(高年法8条)、および65歳未満の定年を定める場合に高年齢者雇用確保措置を講じる義務(高年法9条)をいいます。会社が定年制度を設ける場合、定年の年齢に法律上の制限があることをご存知でしょうか。「何歳を定年にしても自由だ」と考えている経営者の方もいますが、高年齢者雇用安定法により一定の制限が設けられています。

 本ページでは、定年とする年齢の制限と関連する実務上の注意点について、会社側専門の弁護士が解説します。

01定年は60歳を下回ることができません

 結論:定年は原則として60歳を下回ることができませんので(高年齢者雇用安定法8条本文)、60歳以上とする必要があります。60歳未満の定年(例えば55歳定年)を就業規則に定めたとしても、高年齢者雇用安定法8条に違反するため、その定年規定は無効となります。

 ただし、高年齢者雇用安定法8条には例外があります。同条ただし書きにより、「労働者の職種に係る定年を当該職種の実情に照らして、当該労働者が従事する業務についての高年齢者の雇用の機会の確保を図ることが難しいと認められる特別の職種に係る定年として厚生労働省令で定める年齢未満」としている場合は、60歳未満でも許容されることがあります。

02定年後の継続雇用義務(65歳まで)

 結論:高年齢者雇用安定法9条により、定年(65歳未満のものに限ります)を定めている会社は、高年齢者雇用確保措置として、定年の引上げ・継続雇用制度の導入・定年の廃止のいずれかを講じなければなりません。実務上は「継続雇用制度の導入」(定年後の再雇用)を選択する会社が多いです。再雇用制度の適切な設計・運用については、弁護士に相談することをお勧めします。

0370歳までの就業機会確保の努力義務

 結論:令和3年4月1日施行の改正高年齢者雇用安定法10条の2により、70歳までの就業機会を確保するための措置(70歳定年制・継続雇用制度の延長・業務委託・社会貢献活動参加の支援等)を講じることが「努力義務」とされました。これは義務ではなく努力義務ですが、今後の法改正で義務化される可能性もありますので、対応を検討しておくことが望ましいです。

04定年制度の設計・再雇用制度の整備について

 結論:定年制度の設計(定年年齢の設定・再雇用制度の労働条件)は、会社の人件費・人員構成・業務の実態に合わせて適切に設計する必要があります。再雇用後の労働条件(賃金・職務内容・勤務形態等)については、同一労働同一賃金ルール(パートタイム・有期雇用労働法)との関係も考慮する必要があります。

 定年制度の整備・再雇用制度の設計については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、実務的なアドバイスを提供しています。

定年制度整備の比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(高年法違反のリスク)
定年を60歳以上に設定し就業規則を確認する 60歳未満の定年を漫然と設定・放置する
65歳までの雇用確保措置をいずれか一つ確実に講じる 措置を講じないまま放置する
70歳までの努力義務も見据えて準備する 努力義務だからと全く対応を検討しない
再雇用条件の設計を専門家に相談する 自己判断のみで制度を設計する

05よくある質問(FAQ)

Q. 55歳定年と就業規則に定めていた場合、その規定は有効ですか。

高年齢者雇用安定法8条により、定年は60歳を下回ることができません。55歳定年の規定は同法に違反し、無効となります。無効となった場合、定年規定がないものとして扱われる可能性があります。就業規則の定年規定が適法かどうかを確認したい場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

Q. 再雇用後の賃金を定年前より大幅に下げることはできますか。

再雇用後の賃金を定年前より下げること自体は法律上禁止されていませんが、同一労働同一賃金ルールとの関係で、職務内容・職務内容および配置の変更の範囲・その他の事情を考慮しても「不合理」と認められる相違は許容されません。再雇用後の労働条件の設計については、個別の事情を踏まえて弁護士に相談することをお勧めします。

Q. 問題のある社員を定年後に再雇用しないことはできますか。

再雇用は義務ではなく(一定の要件のある場合を除き)、能力・態度・健康状態等を考慮して再雇用しないことは可能です。ただし、一定の条件を満たす社員を合理的な理由なく再雇用拒否することは問題になる場合があります。問題社員の再雇用拒否については、事前に弁護士に相談することをお勧めします。

経営上のポイント 定年は原則60歳を下回ることができません(高年法8条)。65歳未満の定年を定める会社は定年引上げ・継続雇用制度導入・定年廃止のいずれかの措置が必須で(高年法9条)、令和3年4月からは70歳までの就業機会確保も努力義務化されています(高年法10条の2)。60歳定年後65歳までの雇用確保義務と会社側の対応とあわせて、定年制度の整備について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。定年制度の整備・再雇用制度の設計でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月11日

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