労働問題155 精神疾患を発症して休職している社員が提出した主治医の診断に疑問がある場合に、会社が医師を指定して受診を命じたところ当該社員が指定医への受診を拒絶した場合は、どのように対応すればいいでしょうか。

この記事の要点

休職中の社員が会社の指定した医師への受診を拒絶した場合は、休職期間満了時までに債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善していないものとして取り扱い、復職を認めず退職扱いとすることができる場合があります。ただし就業規則の規定と手続の適正が前提です。

1. 指定医受診拒絶の法的意義

 精神疾患を発症して休職中の社員が提出した主治医の診断書(「復職可能」等)の内容に疑問があり、会社が指定した医師への受診を命じたところ、社員がこれを拒絶した場合、会社は独自の医学的判断を得ることができなくなります。

 この場合、就業規則に「会社の指定する医師の受診を命じることができ、正当な理由なく拒絶した場合は復職を認めないことがある」旨の規定があれば、休職期間満了時までに債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善していないものとして取り扱い、復職を認めず退職扱いとすることができることがあります。

2. 対応の実務手順

 ①書面による受診命令の発令:「〇年〇月〇日までに、当社が指定する下記の医師を受診し、診断書を提出してください。正当な理由なく受診しない場合は、就業規則第〇条に基づき復職を認めないことがあります」という内容の受診命令書を内容証明郵便等で送付します。

 ②受診拒絶の事実の記録:受診しなかった事実・拒絶の理由(社員から説明があれば記録)を書面で記録します。

 ③休職期間満了時の対応:休職期間満了時に「就業規則所定の指定医受診命令に正当な理由なく従わず、復職可能な程度に精神疾患が改善しているとの証明ができないため、〇年〇月〇日(満了日)をもって自動退職となります」と書面で通知します。

⚠ 就業規則の規定がない場合は対応が困難

就業規則に指定医受診命令の根拠規定がない場合、受診拒絶を根拠として復職拒否・退職扱いとすることは困難です。問題が起きる前に就業規則を整備しておくことが不可欠です。

指定医受診拒絶時の対応・就業規則の整備・復職拒否の手続について、弁護士へのご相談をお勧めします。→ 経営労働相談はこちら

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弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 /  「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

 

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最終更新日 2026/04/10

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