ワード:「企業」
残業するように指示していないのに残業した時間についてまで労働時間として取り扱い、残業代(割増賃金)を支払う必要がありますか。
明示の残業命令を出していなくても、部下が残業していることを上司が知りながら放置していた場合は、残業していることが想定することができる時間帯については、黙示の残業命令があったと認定されるのが通常です。
具体的に何時まで残業していたのかは分からなくても、残業していること自体は上司が認識しつつ放置していることが多い印象です。部下が残業していることに気付いたら、上司は、残業を止めさせて帰……
具体的に何時まで残業していたのかは分からなくても、残業していること自体は上司が認識しつつ放置していることが多い印象です。部下が残業していることに気付いたら、上司は、残業を止めさせて帰……
本人の能力が低いことや所定労働時間内に真面目に仕事をしていなかったことが残業の原因の場合でも、残業代(割増賃金)を支払わなければなりませんか。
本人の能力が低いことや所定労働時間内に真面目に仕事をしていなかったことが残業の原因の場合であっても、現実に残業している場合は、残業時間として残業代(割増賃金)の支払義務が生じます。
本人の能力が低いことや、所定労働時間内に真面目に仕事をしていなかったことは、注意、指導、教育して改善させるとともに、人事考課で考慮すべき問題であって、残業時間に対し残業代(割増賃金)を支払わなくてもよ……
本人の能力が低いことや、所定労働時間内に真面目に仕事をしていなかったことは、注意、指導、教育して改善させるとともに、人事考課で考慮すべき問題であって、残業時間に対し残業代(割増賃金)を支払わなくてもよ……
仕事の合間に食事したり喫煙したりおしゃべりしたり居眠りしたりしている時間を労働時間から差し引いてもらうことはできないでしょうか。
仕事の合間に、食事したり、喫煙したり、おしゃべりしたり、居眠りしたり、仕事とは関係のない本を読んだりしていた場合であっても、まとまった時間、仕事から離脱したような場合でない限り、所定の休憩時間を超えて労働時間から差し引いてもらえないのが通常です。
居眠り等が目に余る場合は、その都度、上司が注意指導して仕事をさせるのが本筋です。上司が部下の注意指導を怠っていたのでは、無駄な残業はな……
居眠り等が目に余る場合は、その都度、上司が注意指導して仕事をさせるのが本筋です。上司が部下の注意指導を怠っていたのでは、無駄な残業はな……
不必要な残業を止めて帰宅するよう口頭で注意しても社員が帰宅しない場合の対応を教えて下さい。
不必要な残業を止めて帰宅するよう口頭で注意しても社員が帰宅しない場合は、社内の仕事をするスペースから現実に外に出すようにして下さい。終業時刻後も社員が社内の仕事をするスペースに残っている場合、事実上、使用者の指揮命令下に置かれているものと推定され、有効な反証ができない限り、残業していると評価される可能性が高いところです。近時の裁判例の中にも、「一般論としては、労働者が事業場にいる時間は、特段の事……
残業時間を抑制するための基本的発想を教えて下さい。
部下に残業させて残業代を支払うのか、残業させずに帰すのかを決めるのは上司の責任であり、上司の管理能力が問われる問題です。その日のうちに終わらせる必要がないような仕事については、翌日以降の所定労働時間内にさせるといった対応が必要となります。
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基礎賃金を抑制する際の注意点を教えて下さい。
単に基礎賃金を抑制しただけでは、能力や貢献度に見合った賃金が支給できなくなってしまい、適正な賃金制度とはいえません。適正水準の賃金を支給し、優秀な人材を確保することができるようにするためには、基礎賃金を抑制する一方で、能力や貢献度に応じた賃金を支給できるようにする必要があります。
基礎賃金を抑制しつつ能力や貢献度に応じた賃金を支給できるようにする方法としては、以下のようなものが考……
基礎賃金を抑制しつつ能力や貢献度に応じた賃金を支給できるようにする方法としては、以下のようなものが考……
未払残業代(割増賃金)請求対策としては、どのようなものが考えられますか。
未払残業代(割増賃金)額=残業代(割増賃金)単価×残業時間-支払済み残業代(割増賃金)ですので、未払残業代(割増賃金)請求対策としては、以下のものが考えられます。
① 基礎賃金を抑制して残業代(割増賃金)単価を抑制する。
② 残業時間を抑制する。
③ 残業代(割増賃金)を支払済みにしておく。 ……
① 基礎賃金を抑制して残業代(割増賃金)単価を抑制する。
② 残業時間を抑制する。
③ 残業代(割増賃金)を支払済みにしておく。 ……
残業代(割増賃金)請求対策の基本的発想として、何が重要と考えていますか。
残業代(割増賃金)請求対策の基本的発想としては、以下のものが重要と考えています。
① 時間外・休日・深夜に労働させた場合に残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払うことは、全ての労働者に共通する基本原則であること
② 発生した残業代(割増賃金)は、「支払済み」にしなければ、残業代(割増賃金)請求を受けるリスクはなくならないこと
③ 変形労働時間制……
① 時間外・休日・深夜に労働させた場合に残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払うことは、全ての労働者に共通する基本原則であること
② 発生した残業代(割増賃金)は、「支払済み」にしなければ、残業代(割増賃金)請求を受けるリスクはなくならないこと
③ 変形労働時間制……
管理職にも残業代(時間外・休日割増賃金)を支払う場合の賃金原資は、どこから調達すればよろしいでしょうか。
管理職にも残業代(時間外・休日割増賃金)を支払う場合の賃金原資は、基本給や諸手当、場合によっては賞与を抑制することによって調達することができます。
適正な対価が残業代込みで月額35万円の管理職については、基本給25万円、管理職手当10万円を支給して管理監督者として扱うのではなく、例えば、月額5万円程度の残業代(時間外・休日割増賃金)の発生が見込まれる場合には、基本給25万円、管理……
適正な対価が残業代込みで月額35万円の管理職については、基本給25万円、管理職手当10万円を支給して管理監督者として扱うのではなく、例えば、月額5万円程度の残業代(時間外・休日割増賃金)の発生が見込まれる場合には、基本給25万円、管理……
管理職からの残業代(時間外・休日割増賃金)請求を予防する方法を教えて下さい。
管理職からの残業代(時間外・休日割増賃金)請求を予防する方法としては、
① 管理監督者とする管理職の範囲を狭く捉えて上級管理職に限定し
② 大部分の管理職は最初から管理監督者としては取り扱わずに残業代(時間外・休日割増賃金)を満額支給する
ことをお勧めします。 ……
① 管理監督者とする管理職の範囲を狭く捉えて上級管理職に限定し
② 大部分の管理職は最初から管理監督者としては取り扱わずに残業代(時間外・休日割増賃金)を満額支給する
ことをお勧めします。 ……
就業規則において管理職は管理監督者として扱い残業代(割増賃金)を支給しない旨規定し周知させた場合であっても、管理職に残業代(割増賃金)を支払う必要がありますか。
就業規則が労基法に反する場合には、当該反する部分については、労働条件になりませんので(労契法13条)、就業規則において管理職は管理監督者として扱い残業代(割増賃金)を支給しない旨規定し周知させた場合であっても、管理監督者に当たらない場合は、管理職に対し、労基法37条1項に基づき残業代(時間外・休日割増賃金)を支払う必要があります。
深夜(22時~5時)に労働させた場合には、管理監……
深夜(22時~5時)に労働させた場合には、管理監……
個別労働契約において管理職は管理監督者として扱い残業代(割増賃金)を支給しない旨規定し労働者に署名押印させるなどしてその同意を得ていた場合であっても、管理職に残業代(割増賃金)を支払う必要がありますか。
労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は無効となり、無効となった部分については労基法で定める基準が適用されますので(労基法13条)、個別労働契約において管理職は管理監督者として扱い残業代(割増賃金)を支給しない旨規定し労働者に署名押印させるなどしてその同意を得ていた場合であっても、管理監督者に当たらない場合は、管理職に対し、労基法37条1項に基づき残業代(時間外・休日割増賃金)を支……
従来の一般的な判断基準とは異なる判断基準を用いて管理監督者該当性を判断する見解にはどのようなものがありますか。
『労働法 第十版』(菅野和夫著)340頁は、「近年の裁判例をみると、管理監督者の定義に関する上記の行政解釈のうち、『経営者と一体の立場にある者』、『事業主の経営に関する決定に参画し』については、これを企業全体の運営への関与を要すると誤解しているきらいがあった。企業の経営者は管理職者に企業組織の部分ごとの管理を分担させつつ、それらを連携統合しているのであって、担当する組織部分について経営者の分身と……
訴訟における管理監督者に該当するかどうかの一般的な判断基準はどのようなものですか。
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管理監督者の判断基準
管理監督者は、一般に、「労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にある者」をいうとされ、管理監督者であるかどうかは、
① 職務の内容、権限及び責任の程度
② 実際の勤務態様における労働時間の裁量の有無、労働時間管理の程度
③ 待遇の内容、程度
などの要素を総合的に考慮して判断され……
① 職務の内容、権限及び責任の程度
② 実際の勤務態様における労働時間の裁量の有無、労働時間管理の程度
③ 待遇の内容、程度
などの要素を総合的に考慮して判断され……
平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』を参考にする際の留意点を教えて下さい。
平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、店舗の店長等の管理監督者性を否定する要素について整理しているものに過ぎず、同通達の否定要素がなければ店舗の店長等の管理監督者性が肯定されるというわけではないことに留意する必要があります。
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平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、「賃金等の待遇」についての判断要素に関し、どのように述べていますか。
[toc]
『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』
平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、「賃金等の待遇」についての判断要素に関し、以下のように述べています。
「賃金等の待遇」
管理監督者の判断に当たっては「一般労働者に比し優遇措置が講じられている」などの賃金……
平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、「勤務態様」についての判断要素に関し、どのように述べていますか。
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『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』
平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、「勤務態様」についての判断要素に関し、以下のように述べています。
「勤務態様」
管理監督者は「現実の勤務態様も、労働時間の規制になじまないような立場にある者」であることか……
平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、「職務内容、責任と権限」についての判断要素に関し、どのように述べていますか。
[toc]
『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』
平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、「職務内容、責任と権限」についての判断要素に関し、以下のように述べています。
「職務内容、責任と権限」
店舗に所属する労働者に係る採用、解雇、人事考課及び労働時間の管理は……
行政解釈は、店舗の店長等が管理監督者に該当するか否かをどのように判断するものとしていますか。
行政解釈は、「店舗の店長等が管理監督者に該当するか否かについては、昭和22年9月13日基発17号、昭和63年月3月14日基発150号に基づき、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にあるかを、職務内容、……
行政解釈は管理監督者の範囲と賃金等の待遇面との関係についてどのように考えていますか。
行政解釈は「管理監督者であるかの判定に当たっては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。」とした上で、「なお、一般労働者に比べ……