ワード:「残業代」

事業場外労働のみなし労働時間制を適用している営業社員からの残業代(割増賃金)請求のリスクが高いのは、どのような場合でしょうか。

 業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働させる必要があるにもかかわらず所定労働時間労働したものとみなしているような場合は、事業場外労働のみなし労働時間制を適用している営業社員からの残業代(割増賃金)請求のリスクが高いと言わざるを得ません。
 所定労働時間労働したものとみなしていますので、当然、残業代(時間外割増賃金)は支払っていません。他方、業務を遂行するために通常所定労働……

営業社員に営業手当さえ支払っていれば、残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わなくてもいいのですよね。

 営業手当を支払っていても、時間外・休日・深夜労働をさせれば残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要があることに変わりありません。
 営業手当の支払により残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払がなされていると認めてもらえることができれば、当該金額で不足する残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を追加で支払えば足りることになりますが、営業手当の支払を残業代(時間外・休日・深夜……

営業社員であれば残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わなくてもいいのですよね。

 営業社員も労基法上の労働者ですから,週40時間(小規模事業場の特例が適用される場合には週44時間)又は1日8時間を超えて労働させた場合,1週1休の法定休日(労基法35条)に労働させた場合,深夜(22時~5時)に労働させた場合には,原則として労基法37条所定の残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要があります。当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要とならない事……

営業社員の残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を「営業手当」といった一見して残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の趣旨で支払われる手当とは分からない名目で支給したい場合は、どうすればいいですか。

 「営業手当」といった一見して残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の趣旨で支払われる手当とは分からない名目での支払を希望する場合は、最低限、営業の精神的負担や被服・靴などの消耗品に対する金銭的負担を補填する趣旨の手当(通常の労働時間・労働日の賃金)に当たる部分と残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)に当たる部分が判別できるよう金額を明示するようにして下さい。両者が判別できない場合は、残業代(時間外・……

残業代(割増賃金)の支払名目はどういったものがお勧めですか。

 営業社員に対しては残業代(割増賃金)を「営業手当」等の名目で支払われていることが多いようですが、「営業手当」では、実質的に残業代(割増賃金)の支払と評価できるのかどうか争いが生じる可能性があります。したがって、残業代(割増賃金)の支払名目は、「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」といった残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の趣旨で支払われる手当であることが一見明白な名目とすることをお……

事業場外みなしの適用がある営業社員について、当該業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合(通常は所定労働時間内に仕事が終わらない場合)は、どのように残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払えばよろしいでしょうか。

 当該業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合(通常は所定労働時間内に仕事が終わらない場合)は、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」のうちの時間外労働時間に対する残業代(時間外割増賃金)を支払う必要があります。「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」が何時間かは認定が難しく、事前に決めておかないと後から争いになりますので、労働者代表等との間で労使協定を締結して営……

事業場外労働のみなし労働時間制と残業代(割増賃金)支払義務との関係を教えて下さい。

 事業場外労働のみなし労働時間制は、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときに、所定労働時間又は当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす制度であり、残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払義務を免除するものではありません。当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要とならない事案(通常は所定労働時……

変形労働時間制を採用すれば、残業代(割増賃金)請求対策になりますか。

 変形労働時間制は、一定の期間を単位として、週当たりの平均労働時間が週40時間を超えないことを条件に、所定労働時間が週40時間又は1日8時間の労働時間を超えて労働させることを許容する制度に過ぎず、残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払義務を免除する制度ではありません。週40時間又は1日8時間を超える所定労働時間が定められた場合、週40時間又は1日8時間を超える部分は残業代(時間外割増賃金)の支……

残業代(割増賃金)の支払を命じる判決を放置していたところ、強制執行されてしまいました。強制執行のため源泉所得税を源泉徴収できなかったのですから、源泉所得税を納付しなくても構いませんよね。

 最高裁判所平成23年3月22日第三小法廷判決は、 所得税法28条1項に規定する給与等の支払をする者が、その支払を命ずる判決に基づく強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負うと判断していますので、使用者は、強制執行のため源泉所得税を源泉徴収できなかった場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負い、源泉所得税を納付する必要があります。
 強制執行さ……

残業代(割増賃金)の支払を命じる判決が出たので、所得税等を源泉徴収して支払おうとしたところ、労働者側代理人から、「債務名義があるのだから、源泉徴収せずに全額払って欲しい。」と言われました。債務名義があるかどうかと源泉徴収義務の有無は関係あるのでしょうか。

 使用者は、強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負うとするのが最高裁判所平成23年3月22日第三小法廷判決なのですから、使用者が判決に従い任意に賃金を支払う場合は、当然、源泉徴収義務を負い、源泉所得税を納付しなければならないことになります。したがって、使用者は、債務名義の有無にかかわらず、源泉徴収した上で賃金を支払う必要があります。
 もっとも、……

過去2年分の未払残業代(割増賃金)を支払う場合、現実に支払った日の属する月の給与所得として源泉所得税の計算をすればいいのか、本来支給すべきであった給料日の属するそれぞれの年分の給与所得として処理すればいいのか、教えて下さい。

 過去2年分の未払残業代(割増賃金)を支払った場合、本来の給料日に支払っておくべきだった残業代(割増賃金)が一括して支払われたことになりますので、本来支給すべきであった給料日の属するそれぞれの年分の給与所得となります。国税庁ウェブサイトの「No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期」をご確認下さい。
 現実に支払った日の属する月の給与所得として源泉所得税の計算をしてしまうと、……

残業代(割増賃金)の請求を受けている労働審判事件において、付加金の支払を命じられることがありますか。

 労働審判は判決ではありませんので、労働審判で付加金の支払を命じられることはありません。
 労働審判手続申立書において付加金の請求がなされていることは珍しくありませんが、これは、労働審判手続において調停が成立せず、労働審判に対して異議が出されて訴訟に移行した場合に備え、除斥期間を遵守するためのものに過ぎません。  ※ 労働審判対応については、こちらで具体的に解説しています。 弁護……

第一審判決で残業代(割増賃金)と付加金の支払を命じられてしまいました。付加金の支払を免れる方法はありませんか。

 裁判所は、未払残業代(割増賃金)がなければ、付加金の支払を命じることができません。
 したがって、第一審判決に対して控訴し、未払残業代(割増賃金)の全額について弁済した上で控訴審において未払残業代(割増賃金)弁済の事実を主張立証すれば、未払残業代(割増賃金)の請求も付加金の請求も棄却されますので、付加金の支払を免れることができます。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代……

残業代請求訴訟において、原告代理人が、「和解額は付加金の金額を加算した金額とすべき。」と主張していますが、応じる必要がありますか。

 裁判所は、未払割増賃金がなければ、付加金の支払を命じることができません。仮に、和解が成立しなかったとしても、未払割増賃金相当額を原告本人の給与振込口座に源泉徴収した上で振り込んで支払ってしまえば、未払割増賃金請求が棄却されるのは勿論、裁判所は付加金の支払を命じることもできなくなります。
 したがって、残業代請求訴訟における和解額に付加金の金額を考慮するのは筋違いですので、応じる必要……

付加金の請求期間に制限はありますか。

 付加金の請求期間には、次のような制限があります。
 ① 2020年3月31日までの給料日に支払われるべき残業代の付加金 2年
 ② 2020年4月1日以降の給料日に支払われるべき残業代の付加金 当分の間は3年(いずれ5年)(労基法143条2項・114条ただし書) 
 付加金請求の期間制限はいわゆる「除斥期間」であって消滅時効期間ではないと考えられており、……

残業代(割増賃金)請求訴訟において、支払が命じられる可能性がある付加金の額を教えて下さい。

 残業代(割増賃金)請求訴訟では、付加金の請求もなされるのが通常で、例えば、未払の残業代(割増賃金)の額が300万円の場合、さらに最大300万円の付加金の支払(合計600万円の支払)が判決で命じられる可能性があります。
 使用者が残業代(割増賃金)の支払を怠っている場合、残業代(割増賃金)と同額の付加金の支払が命じられることが多くなっていますが、付加金の支払を命じるかどうかは裁判所の……

判決で付加金(労基法114条)の支払が命じられる可能性があるのは、どのような場合ですか。

 使用者が、
 ① 解雇予告手当(労基法20条)
 ② 休業手当(労基法26条)
 ③ 残業代(割増賃金)(労基法37条)
 ④ 年次有給休暇取得時の賃金(労基法39条7項)
のいずれかの支払を怠り、労働者から訴訟を提起された場合に、裁判所はこれらの未払金に加え、これと同一額の付加金の支払を命じることができるとされています(労基……

残業代(割増賃金)の消滅時効期間を教えて下さい。

 残業代の消滅時効期間は、次のとおりです。
 ① 2020年3月31日までの給料日に支払われるべき残業代 2年
 ② 2020年4月1日以降の給料日に支払われるべき残業代 当分の間は3年(いずれ5年)(労基法143条3項・115条) 
 ただし、内容証明郵便等による残業代請求があった場合には、その時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しません(民法15……

残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率を教えて下さい。

 株式会社、有限会社等の営利を目的とした法人の場合、残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率は、賃金支払日の翌日から年6%です。
 社会福祉法人、信用金庫等の営利を目的としない法人の場合、残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率は、賃金支払日の翌日から年5%です。
 ただし、退職後の期間の遅延損害金については、年14.6%という高い利率になる可能性があります(民法419条1項・……

36協定を締結して労基署に届け出ていない場合にも、使用者は残業代(割増賃金)を支払う義務がありますか。

 36協定を締結して労基署に届け出ていない場合にも、使用者は残業代(割増賃金)を支払う義務があります。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

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