ワード:「東京」

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な処分の相当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、懲戒事由の他に、懲戒処分を就業規則に明確に定める必要があります。就業規則に記載されていない懲戒処分を行うことはできず、判例(立川バス事件東京高裁平成13年9月12日判決)でも、就業規則において経歴詐称を理由とする懲戒処分の種類を懲戒解雇・出勤停止・減給・格下げにとどめるものと規定している場合には、懲戒の手段はこれらに限定されてしまい、より軽い譴責処分などであ……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な懲戒処分事由該当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、まず、懲戒事由を就業規則に明確に定める必要があります。ただし、懲戒事由が就業規則に定められた場合であっても、当該行為が懲戒事由に該当するか否かの判断において合理的な限定解釈を加えることは多くあります。また、一般の就業規則には、列記された懲戒事由の末尾に「その他、これに準ずる場合」という条項が置かれていることが多いですが、このような規定についても、合理的な限定……

降格が人事権濫用と判断されるのはどのような場合ですか?

 降格は、差別や不利益取扱い禁止の規制に該当する場合を除き、労働者との労働契約を根拠とする人事権の行使として行うことができます。そのため、一定の役職を解く降格は、労働契約を根拠として行うことができ、就業規則等の根拠規定は必要ありません。
 もっとも、労働契約上、労働者の役職や職位を限定する合意がある場合は、その役職や職位を引き下げることについて労働契約で予定されていないことになるため……

定額残業代の最近の裁判例を教えてください。

1.X社事件東京高裁平成28年1月27日判決
 36協定の延長限度額に関する基準において上限とされる月45時間を大幅に超える業務手当を残業代の支払として認めました(上告棄却・不受理)。 2.アクティリンク事件東京地裁平成24年8月28日判決
 周知されている賃金規定上「時間外労働割増賃金で月30時間相当分として支給する」と定められている「営業手当」について、「固定残業……

みなし労働時間制の種類と近時の主な裁判例を教えてください。

 実際の労働時間に関わらず、一定の時間労働したものとしてみなして労働時間を計算する制度として、事業場外労働のみなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制があります。
 継続審議中の労働基準法改正法案では、企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加すること、特定高度専門業務、成果型労働制の創設が検討されています。続きを見る

就業規則に配転に関する規定を設ければ、自由に配転できますか?

 配転について、就業規則等に「業務の都合により出張、配置転換、転勤を命ずることができる。」というような包括的な根拠規定が置かれていることが多いですが、このような規定が無い場合でも、労働契約の締結の経緯や内容、人事異動の実情などから配転命令権が認められることがあります。
 ただし、就業規則に包括的な配転命令権の定めがある場合でも、個別に職種や勤務場所等を限定する旨合意している場合には、……

管理監督者性が肯定された例及び否定された例を教えてください。

 管理監督者性が争点となった裁判例は数多くありますが、管理監督者性が肯定された裁判例は多くありません。
 管理監督者性が肯定された裁判例及び否定された裁判例は、主に、次のとおりです。 肯定された例 看護婦の募集業務に従事していた医療法人の人事課長(徳洲会事件大阪地裁昭和62年3月31日判決) 経理、人事、庶務全般を任されていた、旅行を目的とする会員制クラブを運営する総務……

タイムカード以外によって労働時間を認定した裁判例には、どのようなものがありますか?

 タイムカード以外によって労働時間を認定した裁判例には、次のものがあります。 勤務時間整理簿(ピーエムコンサルタント事件大阪地裁平成17年10月6日判決) シフト表(勤務割表)(セントラル・パーク事件岡山地裁平成19年3月27日判決) ワーキングフォーム(出退勤表)(ただし約3分の2程度の時間)(オフィステン事件大阪地裁平成19年3月27日判決) パソコンのログデータ記録(PE……

始業時刻前にタイムカードを打刻した場合、打刻時間が勤務開始時間と認められてしまうのでしょうか?

 タイムカードによって時間管理がなされている場合、多くの裁判例で、特段の事情が無い限り、タイムカードの打刻時間が実労働時間と事実上推定されています。
 ただし、始業時刻よりも前にタイムカードを打刻されている場合、始業開始前の打刻時間が当然に実労働時間とされるわけではありません。労働時間に該当するか否かは、社会通念に照らし、客観的にみて、当該労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれてい……

始業時刻前の準備行為や始業時刻後の後始末の時間において、労働時間性が肯定された例及び否定された例を教えてください。

1.労働時間性が肯定された例
・使用者によって着用を義務付けられている作業着や保護具などを着用し,更衣所から作業場へ移動する時間(三菱重工業長崎造船所事件最高裁平成12年3月9日判決)
・使用者によって義務付けられている鉄道会社の駅務員の行う始業前点呼,退社前点呼の時間(東京急行電鉄事件東京地裁平成14年2月28日判決)
・使用者によって着用を義務付けられ……

労働審判の対応

 労働審判手続を申し立てられ、労働審判手続申立書等の書類が裁判所から届いたら、速やかに労働問題の知識経験が豊富な弁護士に相談し、対応を依頼することをお勧めします。
 なぜなら、労働審判手続における調停や労働審判は、当事者の権利義務関係を踏まえて行われます。労働問題の知識経験が豊富な弁護士でないと、労働者側の主張に対し、的確に反論することは困難だからです。
 また、労働審……

チェーン店の小売業、飲食業における管理監督者の範囲を教えてください。

 東京地裁の平成20年1月28日の日本マクドナルド事件の判決後、労基法41条1号に該当する管理監督者について、企業は対応に苦慮することになりました。これまで、日本企業の多くが管理職を管理監督者として取り扱う傾向がありましたが、大きな労働問題になったことはありませんでした。しかし、管理監督者の問題は、サービス残業問題も絡んでいることから、行政が厳しく対応するようになり、社会的にも重大な問題になりまし……

労働時間規制の適用が除外される「監視または断続的労働に従事する者」とはどのような労働者ですか?

 労基法では、法定労働時間や休憩・休日に関し、最低限の基準が定められており、それを超えて働かせた場合、割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。その一方で、労基法41条では、次の3種類の労働者について、法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
① 農業、畜産業、養蚕業、水産業に従事する者(林業は含まれません)
② 管理監督者の地位にある者……

労働時間規制の適用除外について、どのようなことが問題になりやすいですか?

 労働基準法41条では、次の3種類の労働者について、法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
 ① 農業、畜産業、養蚕業、水産業に従事する者(林業は含まれません)
 ② 管理監督者の地位にある者または機密の事務を取り扱う者
 ③ 監視または断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けた者
 ところが、②の管理監督者の……

自宅での待機時間や携帯電話対応時間は労働時間に該当しますか?

1.労働時間とは
 労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと判断できるか否かによって、客観的に決まります。
 たとえば、手待ち時間のように、使用者の指示があれば直ちに作業に従事しなければならず、そのような作業場の指揮監督下に置かれた時間は労働時間になります。  ……

通勤時間、出張の移動時間、直行・直帰の移動時間は労働時間に該当しますか?

1.労働時間とは
 労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。しかし、このような定義のみでは、具体的な事例において、労働時間にあたるか否かを判断することが難しく、裁判例でも、使用者による拘束の程度や具体的な活動内容を総合的に考慮し、使用者の指揮命令下に置かれていると評価できるか否かを実質的に判断しています。  2.通勤時間の労働時間性
……

残業代請求の訴訟における「付加金」とはどういうものですか?

 使用者が次の①~④の支払義務に違反した場合、裁判所は、労働者の請求により、使用者が支払うべき未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができます(労基法114条1項本文)。
 ① 解雇予告手当(労基法20条)
 ② 休業手当(労基法26条)
 ③ 時間外・休日・深夜労働の割増賃金(残業代)(労基法37条)
 ④ 年次有給休暇中の賃……

休職事由が消滅したか否かを判断する際の注意点を教えて下さい。

 休職事由の消滅とは、業務を十分に行うことができる健康状態が回復したことをいい、労働者が休職前の職務を支障なく行い得る程度に健康状態が回復している場合には、休職事由は消滅しているといえます。
 問題となるのは、職種が限定されていない社員について、休職前の職務を支障なく行い得る程度に健康状態が回復してはいないが、現実に配置可能性のある他の業務があり、その業務であれば職務を支障なく行い得……

パワハラの違法性はどのように判断されますか?

 パワハラの違法性は、両当事者の職務上の地位・関係、行為の場所・時間・態様、パワハラを受けたと主張する者の対応等の諸般の事情、職務の内容、性質、危険性の内容・程度、当該行為が職務上の適正な範囲内か否か等を踏まえて判断される傾向があります。
 職務上の範囲内かどうかの判断は難しく、裁判では、原審と控訴審で判断が分かれたものもあります(A保険会社上司事件東京地方裁判所平成16年12月1日……

タイムカード等に出勤時刻は記録されているが,退勤時刻が記録されていない場合,退勤時刻はどのように認定されますか?

 タイムカードに退勤時刻が記録されていない場合,勤務場所からの退出時刻,業務に関するメールの送信時刻,パソコンのログ記録といった証拠から総合的に判断して,退勤時刻を認定されるのが通常です。
 参考になる裁判例として,東京地裁平成25年2月28日判決は,「退社時刻(退勤時刻)について本件請求期間Aのように何ら客観的な証拠が残されていないという事実をもって,時間外労働時間の立証が全くされ……

YOTSUYA-KOJIMACHI LAW OFFICE

K-WING Bldg. 7F
5-2 Kojimachi, Chiyoda-ku,
Tokyo 102-0083 JAPAN
TEL. +81-03-3221-7137

Copyright ©I solve the labor problems such as the issue of lawyer corporation Yotsuya Kojimachi law office employee, discharge, the retirement trouble, overtime pay request, a labor umpire, group negotiations with company management's lawyer. I cope with online consultation. All Rights Reserved.

弁護士法人四谷麹町法律事務所

〒102-0083 東京都千代田区麹町5丁目2番地 
K-WINGビル7階 TEL:03-3221-7137

労働問題相談、電話予約受付中 弁護士法人四谷麹町法律事務所
Copyright ©弁護士法人四谷麹町法律事務所 問題社員、解雇・退職トラブル、残業代請求、労働審判、団体交渉等の労働問題を会社経営者側弁護士と解決。オンライン相談に対応。 All Rights Reserved.
Return to Top ▲Return to Top ▲