Q782 みなし労働時間制の種類と近時の主な裁判例を教えてください。

 実際の労働時間に関わらず、一定の時間労働したものとしてみなして労働時間を計算する制度として、事業場外労働のみなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制があります。
 継続審議中の労働基準法改正法案では、企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加すること、特定高度専門業務、成果型労働制の創設が検討されています。
 使用者側がこれらの労働時間制を主張する場合、労働者側は、制度の導入に必要な要件、手続が充足されているかどうか確認してくるのが通常です。これらの制度が適法に導入されている場合、実労働時間の計算方法が、通常の計算とは異なってきます。
 事業場外労働のみなし労働時間制が争われた近時の裁判例としては、旅行添乗員について、事業場外業務開始前、事業場外業務実施中、事業場外業務終了後の3つの観点から使用者の指揮監督の態様を検討し、「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないとした、阪急トラベルサポート第2事件(最高裁第二小法廷平成26年1月24判決)や、旅費規定では出張・直行・直帰について所定労働時間労働したものとみなす旨が規定されている場合の出張・直行・直帰について、労働時間を算定し難い場合に当たるとして事業場みなし労働時間制の運用の適用を肯定したヒロセ電機事件(東京地裁平成25年5月22日判決)等があります。
 裁量労働制が争われた近時の裁判例としては、税理士事務所の従業員の業務が専門業務型裁量労働制の対象となる「税理士の業務」に該当するかが争われた事案において、「税理士の業務」は税理士法3条所定の税理士の資格を有し、税理士法18条所定の税理士名簿への登録を受けた者自身を主体とする業務をいうものと解するのが相当であると判示したレガシィ事件(東京地裁平成25年9月26日判決)があります。

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