ワード:「みなし残業」

労働組合との間で賃金に関する労働協約を締結した場合の組合員に対する効力を教えて下さい。

 労働組合との間で賃金に関する労働協約を締結した場合、それが組合員にとって有利であるか不利であるか、当該組合員が賛成したか反対したかを問わず、労働協約で定められた賃金額が労働契約で定められた賃金額に優先して適用されるのが原則です(労組法16条)。したがって、労働者が賃金減額に反対していたとしても、当該労働者が加入している労働組合との間で賃金を減額することを内容とする労働協約を締結すれば、賃金を減額……

賃金減額の方法としては、どのようなものが考えられますか。

 賃金減額の方法としては、
 ① 労働協約の締結
 ② 就業規則の変更
 ③ 個別合意
によることが考えられます。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

飲食店において、接客担当のスタッフに対し、お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが、お客さんが入店してきたら自分の担当業務に従事するよう指示している場合、実際に仕事をしていない時間は「休憩時間」(労基法34条)として扱い、実際に担当業務に従事している時間だけを労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる労働時間として扱うことはできますか。

 飲食店において、接客担当のスタッフに対し、お客さんがいなかったり自分の担当業務が終わったりしたら休憩していて構わないが、お客さんが入店してきたら自分の担当業務に従事するよう指示している場合は、実際に仕事をしていない時間も使用者から就労の要求があれば直ちに就労しうる態勢で待機している時間(手待時間)であり、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間とはいえませんので、「休憩時間」(労……

飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

 飲食業で残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高い一番の理由は、飲食業では会社経営者が残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が低いことにあると考えています。飲食業の経営者に残業代(割増賃金)を支払わない理由を聞いてみると、
 「飲食業だから。」
 「昔からそういうやり方でやってきて、問題になったことはない。」
 「飲食業で残業代なんて支……

運送業を営む会社を経営していますが、給料日まで生活費がもたないからお金を貸して欲しいと言ってくる運転手にはどのように対応すればいいでしょうか。

 運送業を営む会社においては、給料日まで生活費がもたないからお金を貸して欲しいと言ってくる運転手は珍しくありません。従来、こういった運転手にお金を貸し付けて給料から天引きして返してもらうことが多かったようですが、会社経営者のために労働問題を扱っている弁護士の目から見てあまりお勧めできません。
 一般論として、「友達にはお金を貸してはいけない。」「友達にお金を貸したら、友達ではなくなっ……

運送業を営む会社を経営していますが、休日なしで長時間働いてお金を稼ぎたいと言ってくる運転手にはどのように対応すればいいでしょうか。

 運送業を営む会社を経営していると、休まずにもっと働いてお金を稼ぎたい、働かせてくれなければ辞めて他の会社に転職する、などと言ってくる運転手がいることに気づくことと思います。
 たくさん働きたいという意欲は素晴らしいのかもしれませんが、使用者には運転手の健康に配慮する義務(労契法5条)がありますので、本人が望んでいるからといって、恒常的な長時間労働を容認するわけにはいきません。ある程……

運送業を営む会社における労働時間管理のポイントを教えて下さい。

 運送業を営む会社の特徴は、トラック運転手が事業場を離れて運転業務に従事する時間が長いため、出社時刻と退社時刻の確認を除けば、現認による勤務状況の確認が事実上不可能な点にあります。したがって、出社時刻と退社時刻の確認をして運転日報等に記録させるのは当然ですが、経営者の目の届かない客先や路上での勤務状況、労働時間の把握が重要となってきます。
 特に問題となりやすいのは休憩時間の把握です……

運送業を営む会社において見逃しがちな残業代(割増賃金)の趣旨を有する賃金を教えて下さい。

 運送業を営む会社においては、基本給は1日当たりいくらといった日当の形で支払われるのが通常です。
 休日労働の対価として「日当」が支払われた場合には、「日当」は通常の労働日の賃金ではありませんので、これを控除して未払残業代(割増賃金)額を算定する必要があります。
 「月給25万円」といった通常の月給制を念頭に置いていると見逃しがちな点ですので、ご注意下さい。 弁護士法……

運送業を営む会社において、配送手当、長距離手当、業務手当、特別手当等の手当の支払は、残業代(割増賃金)の支払として認められますか。

 運送業を営む会社においては、日当のほか、配送手当、長距離手当、業務手当、特別手当等の手当が支払われていることがあります。これらの手当の支払は、残業代(割増賃金)の支払として認められるのでしょうか。
 まず、配送手当、長距離手当、業務手当、特別手当といった名称の手当は、その日本語の意味を考えた場合、直ちに残業代の支払と評価することはできません。これらの手当が残業代の支払と評価されるた……

運送業を営む会社において、残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当をトラック運転手に支給する際の注意点を教えて下さい。

 運送業を営む会社において、残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当をトラック運転手に支給する際の注意点は、大きく分けて
 ① 残業代(割増賃金)の趣旨を有する手当であることを明確にすること
 ② 残業代(割増賃金)とそれ以外の賃金とを明確に判別できるようにすること
の2つです。
 まず、①についてですが、当該手当が残業代(割増賃金)の趣旨を有す……

運送業を営む会社が残業代(割増賃金)請求を受けるリスクが特に高いのはどうしてだと思いますか。

 運送業のトラック運転手は従来、自営業者意識が濃厚な傾向があり、トラック運転手のそういった傾向に対応して、運送業の会社経営者は残業代(割増賃金)を支払わなければならないという意識が希薄な傾向にありました。運送業では、トラック運転手の給料が「1日現場に行って来たら1万○○○○円」といった形で定められている会社が多く、労働者というよりは個人事業主に近い形で労務管理がなされている傾向にあります。昔からそ……

定額(固定)残業代制度導入の手順を教えて下さい。

 定額(固定)残業代制度導入の手順は、以下のとおりです。
 ① 当該業務に通常必要とされる時間外・休日・深夜労働時間等の勤務実態を調査し、調査の経過及び結果を記録に残す。
 ② 調査結果に基づき、何時間分の時間外・休日・深夜労働に対する時間外・休日・深夜割増賃金を定額(固定)残業代として支払う必要があるのかについて協議決定し、記録に残す。
 ③ 「時間外勤……

使用者と社員が合意することにより、日当を1日12時間勤務したことの対価とすることはできますか。

 所定労働時間を1日12時間とすることはできませんが、「1日12時間勤務したことの対価」の意味が、「1日8時間の所定労働時間内の労働と4時間の時間外労働をしたことの対価」という趣旨であると解釈でき、残業代(割増賃金)に相当する金額が特定されていると評価できるような場合であれば、このような合意も原則として有効と考えられます。ただし、このような合意の仕方は、何時間分の対価として賃金額が定められたのかと……

残業代(割増賃金)を基本給とは別に支払うよりも、残業代込みということで基本給を支払った方が、基本給の金額が高く見えて、社員募集の際に体裁がいいのではないでしょうか。

 それはそうかもしれませんが、残業代は、残業代以外の賃金とは別に支払うべきものであり、残業代と残業代以外の賃金との内訳が判別できないと残業代の支払があったとは認められませんので、残業代不払を理由とした残業代請求を受けないようにするためには、残業代の金額と残業代以外の賃金の内訳を明らかにする必要があります。残業代の金額と残業代以外の賃金の金額を明らかにしてしまえば、結局、残業代を除いた基本給の金額が……

定額(固定)残業代の支給名目はどのようなものがいいでしょうか。

 定額(固定)残業代を支給する場合は、基本給の中に一定の金額・時間分の残業代が含まれる扱いにしたり、営業手当等の名目で一定額を支給する扱いにしたりするよりも、「残業手当」「時間外勤務手当」「深夜勤務手当」「休日勤務手当」等、それが残業代であることが給与明細書の記載から直ちに分かるよう記載しておくといいと思います。残業代であることが明白な名目で支給することにより、労働者の納得も得られやすくなり、それ……

月例賃金に占める定額(固定)残業代の比率は、どれくらいまでなら許されますか。

 月例賃金に占める定額(固定)残業代の比率と定額(固定)残業代の有効性との間には、論理必然の関係はありません。
 もっとも、脳・心臓疾患や精神疾患を発症した場合に、長時間労働を理由として労災認定がなされる可能性が高い時間外労働を予定するような定額(固定)残業代制度を採用すべきではなく、月80時間分の時間外割増賃金額を下回る定額(固定)残業代額にすべきと考えます。個人的見解としては、月……

定額(固定)残業代の有効性を判断する際のイメージを一言で教えて下さい。

 定額(固定)残業代の支払は、一定金額の時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなされていることが明確であればあるほど、時間外・休日・深夜割増賃金の支払があったと認められやすくなり、時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなされていることが分かりにくくなればなるほど、時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなかったと認定されやすくなります。
 会社経営者は、普段は時間外・休日・深夜割増賃金とは分からな……

定額(固定)残業代を採用した場合に追加で支払わなければならない残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の金額を教えて下さい。

 定額(固定)残業代の支払により使用者が時間外・休日・深夜割増賃金を支払ったと認められた場合は、当該定額(固定)残業代を含む除外賃金を除外した賃金を基礎賃金として労基法37条及び同法施行規則19条の計算方法で残業代(割増賃金)の金額を計算した結果、定額(固定)残業代の金額で不足する場合は、その「不足額」を当該賃金の支払期に支払う法的義務が生じることになります。
 定額(固定)残業代の……

基本給や他の手当等の通常の賃金とは金額を明確に分けた手当の形式で時間外・休日・深夜割増賃金を支払う場合の定額(固定)残業代は、どのような場合に有効となりますか。

[toc] 1 賃金規程等の定め  「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」等、時間外・休日・深夜割増賃金の支払であることが明白な名目で金額を明示して支給した場合は、通常は時間外・休日・深夜割増賃金の支払があったと認められます。
 他方、「営業手当」「管理職手当」「配送手当」「長距離手当」「特殊手当」等の一見、時間外・休日・深夜割増賃金の趣旨で支払われる手当とは分からな……

基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払う定額(固定)残業代は,どのような場合に有効となりますか。

[toc] 1 賃金規程等の定め  基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払ったといえるためには、基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払う旨の合意や賃金規程等の定めは最低限必要となります。「契約書の記載も賃金規程の定めも存在しないが、口頭で説明した。」では、基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払うことが労働契約の内容になっているとは認め……

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