労働問題1020 問題社員の対応を弁護士に相談すべきケースと、相談のメリット
この記事の要点
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「辞めさせたくなってから相談」では遅い——問題行動が起きた早い段階での相談が鍵 手に負えなくなってから弁護士に相談するのでは、できる手段が大幅に限られる。問題の芽が出た段階での早期相談が、最少コストで問題を解決する唯一の方法 |
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弁護士への相談は「アウトかセーフか」の確認ではなく「どう対処するか」の作戦会議 問題があるかどうかではなく、目の前の問題社員にどう働きかければ効果が高いかを一緒に考えることが、弁護士相談の本来の価値 |
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ZoomやTeamsで「短時間・高頻度」の相談が最も効果的 1か月に1回・2時間の相談より、毎週30分のオンライン相談を繰り返す方が、問題社員対応には圧倒的に役立つ |
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「解雇」や「辞めさせる」が目標ではなく、「言うことを聞いて問題なく働いてもらう」が本来のゴール 成功事例とは問題社員が言うことを聞くようになったケース。辞めさせることに成功したケースは、実は”失敗事例”の場合が多い |
目次
1. 弁護士に相談すべきケースとは
問題社員への対応に悩む経営者の方から最も多く聞かれるのが、「弁護士に相談するのはどんなタイミングが適切ですか?」という質問です。
結論から申し上げると、「辞めさせなければならないほどひどい状況になってから」ではなく、「問題行動が出始めた、早い段階」が相談のベストタイミングです。
弁護士に相談すべき典型的なケース
- 何度注意しても言うことを聞かず、言い返してくる社員がいる
- 周りの社員が面倒になって放置し始めている問題社員がいる
- 注意指導をするとパワハラだと言い返してくる社員がいる
- 欠勤・遅刻・早退が改善されない、能力が著しく不足しているなど勤務に支障が生じている
- 横領・不正受給などの不正行為が発覚した
- 退職してほしいが、うまく話が切り出せない状況が続いている
「まだうちは大丈夫」「自分でどうにかできる」と思っているうちに、問題がエスカレートしてしまうケースが非常に多いです。早い段階でご相談いただくほど、できる手段が増え、解決コストも下がります。
2. 早期相談が最善の理由——成功事例と失敗事例の分岐点
弁護士の立場から見ると、問題社員対応には「成功事例」と「失敗事例」の明確な違いがあります。
成功事例と失敗事例の違い
| ✅ 成功事例 | ❌ 失敗事例 |
| 問題行動が出た早い段階で動いた結果、社員が言うことを聞くようになり、問題なく働いてもらえるようになった | もう手に負えなくなり、周りの社員から突き上げられてから弁護士に相談し、退職させることでなんとか収拾した |
「成功事例」とは、問題社員を辞めさせることではありません。しっかり言うことを聞かせて、問題なく働いてもらえる状態にすること——それが社長にとっての本来のゴールです。
問題が深刻になった段階でやっと弁護士に相談しても、それまでの対応のまずさがすでに積み重なっていることが多く、対処の選択肢が狭まります。コップの水が溢れる前の段階で動くことが大切です。
3. 相談の目的は「白黒確認」ではなく「作戦会議」
弁護士への相談でよく見られるのが、「この対応はアウトですか?セーフですか?」という確認を目的とした相談です。もちろん法的リスクの確認は大切ですが、それだけで終わらせてしまうのは弁護士相談のもったいない使い方です。
本当に有益な相談とは、「この目の前の問題社員に対して、どういうことを言ったりやったりするのが効果的なのか」を一緒に考えることです。教育効果を高めるにはどうすればいいか、会社の秩序を守るにはどの対応が最善か——そういった踏み込んだ検討こそが、会社にとって価値のある相談になります。
よくある「もったいない相談」のパターン
- 「この注意指導はパワハラになりますか?」だけ聞いて終わり
- 「この懲戒処分は有効ですか?」の答えを聞いたら満足してしまう
- 法的リスクの確認だけで、具体的な対処法を深掘りしない
弁護士の本当の価値は、法的なお墨付きをもらうことではなく、「次に何をすれば問題を解決できるか」という実務的なアドバイスにあります。
4. ZoomやTeamsを使った「短時間・高頻度」相談の効果
新型コロナウイルスの流行以降、ZoomやTeamsなどを使ったオンライン相談が一般化しました。これは問題社員対応においても非常に大きなメリットをもたらしています。
かつては、弁護士事務所に出向いて長時間の打ち合わせをしなければならず、気軽に相談できる環境ではありませんでした。しかし、オンライン相談なら移動時間がなくなり、短い時間の相談を高頻度で入れることができます。
オンライン相談を活用した理想的な問題社員対応サイクル
- 弁護士と30分のオンライン打ち合わせ→対応方針を決める
- 方針に沿って問題社員に対応してみる
- 社員の反応・言い返しを持ち帰り、再度30分のオンライン打ち合わせ
- 新たな対応策を決めて実行する
- このサイクルを繰り返す
このように「対応→報告→次の手を打つ」というサイクルを素早く回せることが、問題社員対応で最大の効果を発揮します。本を読んで一般論を学ぶだけでは難しい、自分の会社の具体的な事案にぴったり合ったアドバイスをその都度もらいながら進められる点が最大のメリットです。
5. 弁護士相談で得られる具体的メリット
問題社員対応に特化した弁護士に相談することで得られる具体的なメリットは以下の通りです。
| 懲戒処分の適切な実施 | 問題行動の事実を記録し、効果的な懲戒処分通知書を作成。「アリバイ作り」ではなく、本当に改善につながる処分の仕方を指導 |
| 事情聴取・証拠確保 | 横領・不正受給などの重大案件では、弁護士が事情聴取書を作成し、言い逃れを防ぐ証拠を確保 |
| 退職勧奨の準備と実施 | 辞めてもらわなければならない理由を具体的事実に基づいて整理し、相手が断りにくい退職勧奨の進め方を支援 |
| 面談の同席・ロールプレイング | 難しい面談では弁護士が同席したり、問題社員役を演じてロールプレイングで経営者を事前練習させることも可能 |
| 労働審判・訴訟への対応 | 問題社員から労働審判や残業代請求が申し立てられた場合、日頃から相談している弁護士であれば0からの説明が不要で迅速に対応できる |
6. 自力対応の限界と弁護士に任せるべき場面
問題社員対応は、本を読んで勉強しても、パンフレットを読んでも、一般論として理解できても、実際に自分の会社の具体的な事案に落とし込む「変換作業」が非常に難しいのが現実です。
自動車の運転免許を取る時のことを思い出してください。路上教習は、自分で運転しながら隣に教官が乗って教えてくれる——あの形式が最も学習効果が高い。弁護士への相談も同じで、その都度「今この状況でどうすべきか」を一緒に考えながら進めることが、最も効果的な問題解決の方法です。
自力でどうにかしようとするから行き詰まる。問題社員対応に特化した弁護士に、早い段階からこまめに相談することが、最終的に会社を守る最善の選択です。
7. まとめ
- 相談のタイミングは「早ければ早いほど良い」——問題行動が出始めた段階での相談が、最少コストで最善の結果をもたらす
- 本来のゴールは「言うことを聞いて働いてもらうこと」——辞めさせることは最後の手段
- 「白黒確認」だけでなく「どう対処するか」を弁護士と一緒に考える
- ZoomやTeamsで短時間・高頻度の相談サイクルを回すことが最も効果的
- 問題社員対応に特化した弁護士を選ぶことが重要——毎日この種の問題に取り組んでいる弁護士のアドバイスは一般論とは精度が違う
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 弁護士費用が心配で相談をためらっています。費用はどのくらいかかりますか?
A. 当事務所の初回経営労働相談は1時間20,000円(税込)です。労働問題を弁護士に依頼せずに自己流で対処した結果、解雇無効・退職勧奨失敗・労働審判で多額の和解金を払うことになれば、相談費用の何十倍もの損失が生じます。弁護士費用は「問題をこじらせない保険」と考えていただくと、コスト対効果は非常に高いといえます。
Q2. まだ解雇や退職勧奨を考えているわけではないのですが、弁護士に相談してもよいですか?
A. もちろんです。むしろ、解雇・退職勧奨を考える前の段階のご相談が最もお力になれます。問題行動への注意指導の仕方、懲戒処分の適切な進め方、証拠の残し方など、将来のリスクを下げるための対策を一緒に考えます。「辞めさせなければならない状況」になる前にご相談いただくことを強くお勧めします。
Q3. 地方の会社ですが、遠方でも相談できますか?
A. はい、対応可能です。ZoomやMicrosoft Teamsを使ったオンライン経営労働相談を実施しており、全国どこからでもご相談いただけます。移動時間や交通費の負担なく、30分からの短時間相談も受け付けております。まずはお気軽にお問い合わせください。
最終更新日:2026年5月7日