労働問題451 団体交渉の近年の傾向について教えて下さい。

この記事の結論
1

社外の合同労組(ユニオン)との団体交渉が増えている

近年の団体交渉の特徴として、社内に労働組合がない会社でも、社外の合同労組(ユニオン)から団体交渉を申し入れられるケースが増えています。

2

ユニオンには加入の敷居が低く、誰でも加入できる

合同労組(ユニオン)は、企業の枠を超えた組合です。個人でも容易に加入でき、加入後すぐに団体交渉を申し入れてくることが多いのが特徴です。

3

団体交渉の申し入れを拒否することは原則としてできない

正当な理由のない団体交渉の拒否は不当労働行為に当たります。社外ユニオンからの申し入れであっても、原則として応じる必要があります。

参考動画

01団体交渉の近年の傾向

 団体交渉の近年の傾向としては、社外の合同労組(ユニオン)との団体交渉が増えていることが挙げられます。

 かつては、団体交渉といえば主に社内に労働組合が存在する大企業において行われるものというイメージがありました。しかし近年では、社内に労働組合がない中小企業においても、解雇・残業代・ハラスメントなどをきっかけに社員がユニオンに加入し、会社に対して団体交渉を申し入れてくるケースが増えています。

 会社経営者としては、ユニオンとの団体交渉は「自社には関係ない」と考えることはできません。社内に組合がない会社でも、ある日突然、外部のユニオンから団体交渉の申し入れを受けることがあるという現実を理解しておく必要があります。

02合同労組(ユニオン)とはどのような組織か

 合同労組(ユニオン)とは、企業の枠を超えて個人が加入できる労働組合です。特定の会社の従業員のみで構成される企業内組合とは異なり、業種・職種・会社を問わず、誰でも個人として加入することができます。

 ユニオンの特徴として、加入の敷居が低い点が挙げられます。解雇や労働条件の不満を持った従業員が、退職後も含め、比較的容易に加入できます。加入後すぐに会社に対して団体交渉を申し入れてくることが多く、会社側が突然対応を迫られるケースが少なくありません。

 ユニオンは法律上、労働組合として認められているため、会社側はその団体交渉申し入れに応じる義務があります。ユニオンを「社外の組織だから無視してよい」と考えることは誤りであり、正当な理由なく団体交渉を拒否することは不当労働行為に当たります。

03ユニオンとの団体交渉の特徴

 ユニオンとの団体交渉には、企業内組合との団体交渉とは異なる特徴があります。

ユニオンとの団体交渉の主な特徴

① 突然の申し入れが多い:会社が全く予期しないタイミングで、内容証明郵便などによって団体交渉の申し入れが届くことが多いです。
② 街宣活動とセットになることがある:団体交渉の申し入れとともに、会社の前や周辺での街宣活動(ビラ配りや拡声器による宣伝活動)が行われることがあります。
③ 組合員(従業員)以外のユニオン役員が交渉に来る:交渉の場にはユニオンのオルグ(専従活動家)など、当該従業員以外の人物が出席することがあります。
④ 要求が多岐にわたることがある:解雇や残業代だけでなく、謝罪・文書での回答・再発防止策の提示など、多様な要求が提示されることがあります。

04会社側として知っておくべき基本的な対応

 ユニオンから団体交渉の申し入れを受けた場合、会社経営者としてまず理解しておくべきなのは、正当な理由なく拒否することはできないという点です。ただし、交渉の日時・場所・議題の範囲などについては、会社側も一定の条件を交渉することができます。

 団体交渉に臨む前に、使用者側弁護士に相談し、対応方針を整理することが重要です。団体交渉の場での発言は記録される場合があり、不用意な発言が後に不利な影響を与えることがあります。

 また、ユニオンの要求に対して、その場で安易に合意することは避けるべきです。合意内容は書面化されることが多く、後から覆すことは困難です。会社としての立場と法的根拠を整理したうえで、冷静に対応することが求められます。

経営上のポイント ユニオンから団体交渉の申し入れを受けた場合、「社外の組合だから無視してよい」という対応は不当労働行為に当たるリスクがあります。申し入れを受けた時点で速やかに使用者側弁護士に相談し、対応方針を整理することが重要です。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

団体交渉への対応でお悩みの会社経営者の方はご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。アドバイスします。

Q&Aよくある質問

Q1. 社内に労働組合がなくても団体交渉の申し入れが来ることはありますか。

A. はい、あります。社内に労働組合がない会社でも、従業員が社外のユニオンに個人加入すれば、そのユニオンを通じて会社に団体交渉を申し入れることができます。近年はこのようなケースが増えており、中小企業においても他人事ではありません。

Q2. 退職した社員がユニオンに加入して団体交渉を申し入れてきました。応じる必要がありますか。

A. 退職した社員については、退職後も一定の条件のもとで団体交渉に応じる必要がある場合があります。解雇の有効性や退職時の未払賃金など、在職中の問題に関する事項については、退職後であっても団体交渉の対象となり得ます。具体的な対応については、使用者側弁護士に相談することをお勧めします。

Q3. 団体交渉に弁護士を同席させることはできますか。

A. できます。会社側が弁護士を代理人として団体交渉に出席させることは、労働組合法上認められています。ユニオンとの団体交渉は法律的な問題が絡むことが多く、弁護士を同席させることで、適切な対応と不用意な発言の防止につながります。

最終更新日:2026年2月25日

労働問題FAQカテゴリ


Return to Top ▲Return to Top ▲