労働問題534 整理解雇する際に検討すべき要素を教えてください。
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整理解雇は労働者に帰責事由がないため、普通解雇より厳しく判断される 整理解雇は、企業が経営上の理由で人員削減するために行う解雇です。労働者側に帰責事由がない点が特徴であり、労働者側に帰責事由がある場合の普通解雇よりも厳しく有効性が判断されます。 |
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整理解雇の有効性は4つの要素で判断される ①人員整理の必要性、②解雇回避努力義務、③人選の合理性、④手続の妥当性の4つの要素を検討して、整理解雇の有効性が判断されます。 |
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解雇回避努力として、特に希望退職者の募集が重視される 経費削減・役員報酬削減・残業規制・新規採用停止・希望退職者の募集などの解雇回避努力のうち、特に希望退職者の募集が重視されます。判例上も極めて有用な手段と評価されています。 |
01整理解雇の定義
整理解雇は、企業が経営上、人員削減するために行う解雇です。業績悪化・事業縮小・部門廃止など、会社側の経営上の都合を理由とする点に特徴があります。
普通解雇(労働者の能力不足・規律違反等を理由とする解雇)や懲戒解雇とは異なり、整理解雇は労働者に帰責事由がない点が大きな特徴です。労働者には何ら落ち度がないにもかかわらず、会社の都合で職を失わせる措置であるため、労働者側に帰責事由がある場合の普通解雇よりも厳しく有効性が判断されることになります。
02整理解雇の有効性の判断要素(4要素)
整理解雇の有効性については、次の4つの要素を検討すべきことになります。これらは「整理解雇の4要素」と呼ばれ、これらを総合的に考慮して整理解雇が有効かどうかが判断されます。
① 人員整理の必要性
企業経営上の必要性に基づいていること、またはやむを得ない措置と認められることが必要です。例えば、企業が倒産の危機にある場合が挙げられますが、必ずしも倒産必至・債務超過・累積赤字までの必要性が求められているわけではありません。明確な基準があるわけではないため、企業の財政状態や景気の動向に照らして、個別に検討していくことになります。
② 解雇回避努力義務
解雇回避努力とは、例えば、広告費・交際費等の経費削減、役員報酬の削減、残業規制、新規採用の停止、希望退職者の募集などが挙げられます。なかでも重要視されているのが、希望退職者の募集です。これは、会社が一方的に雇用契約を打ち切る整理解雇と比べ、従業員の意向をある程度汲むことができ、かつ、退職金の割増し等の保証を行うことで、労働者側のデメリットを抑えようというものです。判例上においても、希望退職の募集は、労働者の意思を尊重しつつ人員整理を図るうえで極めて有用な手段と評価されています。
③ 人選の合理性
整理解雇の対象者を選定するにあたっては、ある労働者を恣意的に特定したと言われかねないようにするため、以下のような客観的で合理的な基準に基づくことが必要です。
(1) 勤務態度の優劣(欠勤日数、遅刻回数、規律違反歴等)
(2) 勤続年数、休職日数等
(3) 勤務成績(過去の実績、業務に有益な資格の有無等)
(4) 正規従業員であるか、臨時従業員であるか
(5) 労働者側の事情(年齢、家族構成等)
④ 手続の妥当性
①〜③の要素を満たしたとしても、突然整理解雇の話をされた労働者は当然困惑しますので、会社は、労働者に対して、十分に協議・説明しなければなりません。労働者の納得を得るために、どのくらいの時間をかけて、何度説明の場を設けたか、整理解雇を避けるための希望退職者の募集や配置転換などに関してどのようなプランを提示したか等がポイントとなってきます。
これら4つの要素は、いずれか一つを満たせば足りるというものではなく、総合的に考慮されます。特に、整理解雇は労働者に帰責事由がないことから、②の解雇回避努力(とりわけ希望退職者の募集)と④の手続の妥当性が十分に行われているかが、実務上重視される傾向があります。
03会社経営者が押さえるべき実務上の注意点
整理解雇を検討する際は、上記4要素を踏まえて、段階的かつ慎重に進めることが重要です。いきなり整理解雇に踏み切るのではなく、まず経費削減・役員報酬削減・新規採用停止などの経営努力を行い、それでも人員削減が避けられない場合に、希望退職者の募集を行うという順序を踏むことが求められます。
また、整理解雇の対象者を選定する際は、客観的で合理的な基準を事前に設定し、その基準に従って人選を行うことが必要です。経営者の恣意や、特定の労働者を狙い撃ちにするような人選は、人選の合理性を欠くとして整理解雇が無効と判断されるリスクがあります。
さらに、対象者や労働組合・従業員に対して、整理解雇の必要性・人選の基準・解雇回避のために行った措置などを十分に説明し、協議を尽くすことが重要です。これらの経過は記録に残しておくことをお勧めします。整理解雇は普通解雇よりも厳しく判断されるため、実施を検討する場合は、早い段階から使用者側弁護士に相談することを強くお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 赤字が出ていないと整理解雇はできませんか。
A. 必ずしも赤字・債務超過・倒産必至までは求められていません。①人員整理の必要性は、企業経営上の必要性に基づくこと、またはやむを得ない措置と認められることが要件であり、明確な数値基準があるわけではありません。将来的な経営悪化への対応や、事業の合理化のための人員整理も、必要性が認められる場合があります。ただし、必要性が低いと評価されるほど、解雇回避努力や手続の妥当性がより厳しく問われます。個別の状況に応じた検討が必要ですので、弁護士に相談することをお勧めします。
Q2. 希望退職者の募集は必ず行わなければなりませんか。
A. 法律上、希望退職者の募集が絶対的な要件とされているわけではありませんが、解雇回避努力の中でも特に重視される手段です。希望退職の募集を行わずにいきなり整理解雇に踏み切った場合、解雇回避努力を尽くしていないとして整理解雇が無効と判断されるリスクが高くなります。可能な限り、退職金の割増し等を伴う希望退職者の募集を実施し、その経過を記録しておくことをお勧めします。
Q3. 整理解雇でも解雇予告は必要ですか。
A. 必要です。整理解雇も解雇である以上、原則として30日前の解雇予告または30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要です(労基法20条。528番参照)。なお、解雇予告を行うことと、整理解雇が有効であることは別問題です。予告手当を支払っても、4要素を満たさない整理解雇は無効と判断されます。整理解雇を行う場合は、4要素の充足と解雇予告の双方を確認する必要があります。
最終更新日:2026年2月25日