労働問題441 労働審判の第2回期日は何時間かかる?経営者が確保すべきスケジュールと注意点


この記事の結論
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通常は第1回より短いが、調停成立を目指す場面では長時間になることがある

双方の合意が整っていれば30分足らずで終わることもありますが、金額交渉が続く場合は2時間を超えることもあります。実務上2時間30分程度を要したケースもあります。

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万全を期すなら2〜3時間分の枠を確保しておく

「第2回だから短い」と考えて予定を詰め込むのは避けてください。合意目前の局面ほど交渉は濃密になります。期日の前後に余裕を持たせることが、解決の機会を最大化します。

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即座に経営判断できる体制を整えておく

第2回期日は調停の「Yes/No」を問われる場です。経営者が不在、あるいは連絡が取れない状況では、有利な和解の機会を逃します。事前に判断基準を整理し、即応できる体制を準備することが重要です。

参考動画

01第2回期日以降の基本的な位置付け

 労働審判手続においては、第1回期日で事実審理がほぼ終了していることが多く、第2回以降の期日は、主として調停をまとめるための場という位置付けになります。

 第1回期日では、申立書と答弁書を前提に事実関係の確認や争点整理が行われ、場合によっては労働審判委員会から一定の心証や調停案の方向性が示されます。そのため、第2回期日では、改めて詳細な事実確認を行うというよりも、解決条件の調整が中心となるのが通常です(426番参照)。

 特に、第1回期日において既に具体的な調停案が提示されている場合には、第2回期日はその内容を前提に、解決金の金額や支払方法、守秘義務条項の有無などを詰める場となります。この意味で、第2回期日は実質的な「最終調整の場」となることが少なくありません。

 会社経営者として重要なのは、第2回期日は単なる形式的な継続期日ではなく、解決を現実のものにする可能性がある重要な局面であるという点です。ここでの判断が、そのまま紛争の終結条件を決定づけます。「軽い期日」と考えるのではなく、解決に直結する重要な場面と位置付けることが求められます。

02通常は第1回期日より短時間で終わる理由

 第2回以降の期日が第1回期日より短時間で終わる傾向にあるのは、第1回期日で既に事実審理が概ね尽くされていることが多いからです。労働審判は迅速解決を目的とする制度であり、事実確認はできる限り第1回期日に集中して行われます。

 第1回期日では、争点の整理、当事者双方への事実確認、場合によっては労働審判委員会からの心証開示や調停案の提示までが行われます。その結果、第2回期日では、残された論点や調整事項に絞って協議を進めることが可能になります。

 会社経営者として理解しておくべきなのは、第2回期日が短時間で終わるのは「軽い手続だから」ではなく、「第1回期日で密度の高い審理が行われているから」だという点です。第1回期日の準備が不十分であれば、第2回期日に持ち越され、結果的に長時間化する可能性もあります(431番参照)。

 通常は第1回より短いとはいえ、所要時間は事案や交渉状況によって変動します。したがって、短時間で終わることを前提に予定を組むのではなく、一定の余裕を持って臨むことが合理的です。

0330分足らずで終了するケース

 第2回期日が短時間で終了する典型例は、第1回期日において既に具体的な調停案が示され、当事者双方がその方向性を概ね受け入れている場合です。このようなケースでは、第2回期日は最終確認と形式的整理の場となり、30分足らずで終了することもあります。

 例えば、第1回期日に労働審判委員会から解決金の具体的金額が提示され、双方が持ち帰って検討した結果、概ね受諾の意向を固めている場合です。この場合、第2回期日では金額の最終確認、支払期限、清算条項や守秘義務条項の文言調整などが行われるにとどまります。当事者双方が直ちに受け入れた場合には、即日で調停成立となることも珍しくありません。

 もっとも、このようなスムーズな進行は、第1回期日で事実関係が十分に整理され、労働審判委員会の示した方向性に双方が一定の納得感を持っていることが前提です。

 会社経営者として重要なのは、短時間で終わる可能性があるからといって、軽視してよいわけではないという点です。第2回期日は最終的な経営判断を確定させる場であり、条件の微調整一つが将来のリスクに影響することもあります。30分で終わるケースは「準備が整っている結果」であるという理解が必要です。

04調停案の受諾可否が時間を左右する

 第2回期日における所要時間を最も左右するのは、労働審判委員会から示された調停案を当事者双方がどの程度受け入れているかという点です。

 会社側と申立人側の双方が大筋で合意している場合には、細部の確認のみで済み、短時間で終了する可能性が高くなります。一方で、金額面や条件面で隔たりが残っている場合には、協議は長引きます。特に、解決金額の差が大きい場合や、退職理由の記載方法、守秘義務条項の範囲などを巡って対立がある場合には、調整に相応の時間がかかります。

 会社経営者として重要なのは、第2回期日は実質的な価格交渉の場になる可能性が高いという認識です。その場でどこまで譲歩するのか、どの条件は維持するのかを明確にしておかなければ、判断に時間を要し、結果として期日が長時間化します。

 また、双方が直ちに受け入れなかった場合でも、「あと一歩で合意できそうだ」という状況であれば、労働審判委員会がその日のうちに成立させようとして交渉が継続されることもあります。この場合、当初の想定よりも長時間に及ぶことがあります。

 調停案の受諾可否は、時間だけでなく、最終的な解決水準そのものを決める要素です。会社経営者としては、事前に判断基準を整理し、即応できる体制を整えることで、協議を効率的に進めることが可能になります。

05新たな主張が出た場合の時間増加

 第2回期日以降は通常、調停協議が中心となりますが、当事者から新たな主張や証拠が提出された場合には、状況が大きく変わります。その場合、再度事実審理に時間が割かれることになり、所要時間は延びます。

 本来、第1回期日で事実関係は整理されていることが前提です。しかし、期日後に新証拠が発見された、あるいは主張が補充されたという事情があれば、労働審判委員会はその内容を確認せざるを得ません。特に、解雇理由に関する新事実や、残業時間に関する新資料が提出された場合には、その信用性や位置付けをめぐって質疑応答が生じます。この場合、調停協議どころではなくなり、事実確認に時間が取られます。

 会社経営者として重要なのは、第1回期日までに主張立証を可能な限り尽くしておくことです。後出しの主張は、手続の流れを不安定にし、結果的に時間とコストを増大させます。また、新たな主張が出た場合には、その場で調停がまとまらない可能性も高まり、期日が増えることもあります。

 時間の長短は、準備の質に左右されます。期日を重ねるごとに負担が増すという現実を踏まえ、初期段階での主張整理を徹底することが重要です。

06その日のうちに調停成立を目指す場合

 第2回期日では、当事者双方が直ちに調停案を受け入れない場合でも、「あと一歩で合意できそうだ」という状況になることがあります。このような場合、労働審判委員会はその日のうちに調停を成立させることを目指して交渉を継続することがあります。

 例えば、解決金額について一定の差は残っているものの双方が譲歩の余地を示している場合や、金額はほぼ固まっているが支払方法や条項の文言調整で折り合いをつけようとしている場合などです。このような局面では、短時間で終わるはずだった第2回期日が、結果として長時間に及ぶことがあります。協議が断続的に行われ、双方が別室で検討を重ねながら条件を詰めていくこともあります。

 実務上、第2回期日に2時間30分程度を要したケースもあります。これは異例ではなく、合意目前の案件では十分に起こり得る時間感覚です。

第2回期日の所要時間の目安

30分未満:双方が調停案を大筋で受け入れており、文言整理のみで済む場合。
1時間前後:若干の条件調整が残っているが、基本的な方向性は固まっている場合。
2時間以上:金額面や条件面で交渉が続いている場合。合意目前の局面では更に延びることがある。
2時間30分程度:実務上も起こり得る水準。その日のうちに合意を目指して委員会が粘り強く調整する場合。

 会社経営者としては、第2回期日であっても2時間程度、万全を期すなら3時間程度の時間を確保しておく姿勢が合理的です。時間の余裕が、解決の余地を広げます。

07スケジュール確保の現実的目安

 第2回以降の期日は、第1回期日より短時間で終わる傾向にあるとはいえ、会社経営者としては少なくとも2時間程度は確保しておくべきです。万全を期すのであれば、3時間程度は裁判所に滞在できるよう予定を組むことをお勧めします。

 特に、事前に大筋の合意が形成されている場合を除き、「1時間程度で終わるだろう」という前提で予定を入れるのは危険です。調停協議はその場の空気や双方の判断によって動きます。予想外に交渉が進展し、条件調整に時間を要することもあります。

 会社経営者が出頭する場合には、期日の前後に重要な会議や外部予定を詰め込まないことが重要です。調停成立の可能性が高まっている場面で時間制約を理由に協議を打ち切ることは、合理的な経営判断とはいえません。また、会社経営者が出頭しない場合でも、期日中は即時に連絡が取れる体制を整えておく必要があります。調停案に対する最終判断が遅れれば、協議の流れが停滞します。

 スケジュール確保は単なる事務的作業ではありません。最終的な損失水準を左右する重要な準備行為です。第2回期日であっても、十分な時間的余裕を前提に臨む姿勢が重要です。

08経営判断の即応体制の重要性

 第2回以降の期日は、事実審理よりも調停協議が中心となることが多いため、所要時間を左右する最大の要素は会社側の意思決定の速さです。期日前にどこまで判断基準を整理しているかが問われます。

 調停案が提示された場合、その場で受け入れるのか、修正提案をするのか、審判まで進めるのかを判断しなければなりません。この判断が即座にできないと、協議は停滞し、時間だけが経過します。特に、第1回期日に一定の心証が示されている場合、第2回期日は実質的な最終交渉の場になります。ここで決断を先送りすれば、解決の機会を逃す可能性があります。

 会社経営者が出頭していない場合でも、期日中は必ず連絡が取れる体制を整え、提示金額や条件変更に対して迅速に回答できるようにしておく必要があります。即応できない体制は、それ自体が交渉力の低下を意味します(437番参照)。

 また、事前に想定レンジを明確にしておくことも重要です。いくらまでなら応じるのか、どの条件は譲れないのかを整理しておけば、判断は格段に速くなります。会社経営者としては、時間を確保するだけでなく、その時間を有効に使える意思決定体制を整えることが重要です。それが、紛争の早期終結と損失最小化につながります。

09第1回と第2回の連続性を意識する

 第2回期日の準備を考えるうえで欠かせないのは、第1回期日との連続性の意識です。第2回期日の所要時間や進行は、第1回期日でどれだけ準備が尽くされていたかに大きく左右されます。

 第1回期日で答弁書の内容が充実しており、事実関係が明確に整理されていれば、労働審判委員会は第1回期日で心証をほぼ固め、第2回期日では調停条件の詰めに集中できます。その結果、第2回期日はスムーズに進行し、短時間で終わる可能性が高くなります。

 一方で、第1回期日の準備が不十分で事実関係の確認が持ち越された場合、第2回期日もまた事実審理に時間を取られます。期日を重ねるごとに時間的・金銭的コストが増すという現実は、初期段階の準備の重要性を示しています。

 また、第1回期日での調停案の方向性を踏まえて、第2回期日前に社内で判断基準を整理しておくことも重要です。どの条件なら受け入れられるか、どの条件は維持するかを弁護士と相談しながら整理しておくことで、第2回期日での意思決定が円滑になります。

 第1回期日と第2回期日は切り離して考えるのではなく、一連の手続として捉え、継続的に準備を進めていくことが重要です。

10まとめ 第2回期日も準備して臨む

 労働審判の第2回以降の期日は、通常、第1回期日よりも短時間で終了する傾向があります。第1回期日で事実審理が概ね尽くされていることが多く、第2回期日は主として調停内容の最終調整の場となるからです。

 当事者双方が調停案を直ちに受け入れる場合には、30分足らずで終了することもあります。しかし、新たな主張が出た場合や解決金額の調整が難航した場合、あるいはその日のうちに合意成立を目指して交渉が継続された場合には、2時間を超えることも現実にあります。実務上、第2回期日に2時間30分程度を要した例もあります。

 したがって、事前に大筋の合意が形成されているような場合を除き、第2回期日であっても2時間程度、万全を期すなら3時間程度は確保しておくことが合理的です。また、時間の確保だけでなく、即時に経営判断ができる体制を整えておくことが重要です。意思決定が滞れば、調停は成立せず、紛争は長期化します。

経営上のポイント 第2回期日は、紛争を終わらせる可能性がある重要な局面です。「2時間程度の枠確保」と「即断できる体制」の両方を整えて臨むことが、最終的な損失を最小化するための合理的な対応です。アドバイスします。

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労働審判の会社側対応を網羅的に解説

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 第2回期日に出頭しないでも構いませんか。

A. 代理人弁護士に委任した場合、物理的な出頭は必ずしも必要ではない場面もありますが、第2回期日は調停の最終判断を問われる重要な局面です。出頭できない場合でも、期日中に即時連絡が取れる体制を整え、提示された条件に対してその場で判断できるようにしておくことが不可欠です。

Q2. 第2回期日で調停が成立しなかった場合、その後はどうなりますか。

A. 調停が成立しない場合、原則として労働審判が出されます(第3回期日で出されることが多いです)。その審判内容に不服がある場合、2週間以内に異議を申し立てることができます。異議申立てがあると、自動的に通常の民事訴訟に移行します。第2回期日で合意に至ることが、コスト・時間の面で最も合理的な選択肢であることが多いといえます。

Q3. 第2回期日の前に、弁護士と何を確認しておくべきですか。

A. 主に3点です。①第1回期日で示された調停案の内容と方向性の確認、②会社として受け入れられる解決条件の範囲(解決金額・支払方法・条項内容など)の整理、③当日判断できない場面が生じた場合の連絡体制の確認です。事前にこれらを整理しておくことで、第2回期日での意思決定が円滑になります。

最終更新日:2026年2月25日

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