労働問題882 労働者がインフルエンザに感染した場合の対応方法を教えてください。
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使用者には就業禁止義務がある 使用者は、インフルエンザを含む伝染病に感染した労働者の就業を禁止しなければならず(労働安全衛生法68条)、労働者は法律上病原体がなくなるまでの一定期間就業制限を受けます。 |
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就業禁止期間は無給、休業手当も不要 就業禁止期間は労働者側の原因で労務提供できていないため、賃金の支払いは不要です。使用者の責に帰すべき事由でもないため、休業手当(労基法26条)の支払いも不要です。 |
毎年冬季に多くの会社が直面する労務管理上の問題が、インフルエンザ感染者への対応です。従業員本人が「もう治った」と出勤を希望しても、会社としてはこれを制限しなければならない法的な立場にあります。
会社側専門の弁護士の立場から、労働者がインフルエンザに感染した場合の対応方法を解説します。
01使用者の就業禁止義務
使用者は、インフルエンザを含む伝染病に感染した労働者の就業を禁止しなければならず(労働安全衛生法68条)、労働者は法律上病原体がなくなるまでの一定期間就業制限を受けます(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律18条2項等)。これは、使用者の裁量的な判断ではなく、法律上の義務であるという点が重要です。
02就業規則への明記のすすめ
就業規則で就業禁止という法令上の要請を明確にしておくことで、労働者がインフルエンザに感染し一定期間経過していないのに、もう治ったなどと言って出勤しようとするのを拒むことができます。就業規則に明文の根拠を設けておくことで、労働者との無用な摩擦を避け、円滑に就業制限を実施することができます。
03賃金・休業手当の要否
就業禁止期間は、労働者側の原因で労務提供できていないのですから、使用者は賃金を支払う必要はありません。就業禁止期間の無給は、労働者が風邪を引いて欠勤した場合と同じですが、取扱いを明確にするために、就業規則において就業禁止期間は無給とすることの確認規定を設けると良いでしょう。
また、休業手当(労基法26条)についても、労働者側の事情による休業であって「使用者の責に帰すべき事由」ではありませんので、使用者は休業手当を支払う必要はありません。
04会社側が押さえておくべき視点
会社側としては、就業規則に、感染症による就業禁止の根拠、就業禁止期間中の無給の確認規定を、あらかじめ明記しておくことをお勧めします。これにより、実際に感染者が発生した際、「規定にこう書いてあります」と客観的な根拠を示しながら、円滑に就業制限を実施することができます。
なお、有給休暇の取得を希望する労働者がいれば、それを認めることは差し支えありません。無給とするか有給休暇を取得させるかは、本人の希望を踏まえて対応することが実務上一般的です。
05よくある質問(FAQ)
Q. インフルエンザにかかった従業員が「もう治った」と言って出勤を希望する場合、拒否できますか。
拒否できます。使用者には就業禁止義務があり、法律上定められた期間は就業させることができません。就業規則に根拠規定を設けておくことをお勧めします。
Q. 就業禁止期間中の給与は支払う必要がありますか。
支払う必要はありません。労働者側の原因による不就労であり、賃金も休業手当も支払い義務は生じません。
Q. 就業禁止期間中に有給休暇を使わせることは可能ですか。
本人が希望すれば、有給休暇の取得を認めることは差し支えありません。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。感染症対応の労務管理でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日