労働問題879 労働者が「退職届」という件名で退職する内容のメールを送信後、無断欠勤している場合、労働契約は終了すると考えてよいですか。

この記事の結論
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期間の定めのない労働者は2週間経過で契約終了する

期間の定めのない労働者は、いつでも労働契約を解約でき、辞職の意思表示後2週間の経過をもって労働契約が終了します(民法627条1項)。期間の定めのある労働者は、やむを得ない事由がなければ期間途中の解約は認められません(民法628条)。

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「退職届」件名メール+無断欠勤は辞職の意思表示と考えられる

「退職届」という件名で退職する内容のメールを送信し、そのまま無断欠勤を続けている状況からみて、辞職の意思表示がなされたことは否定できず、2週間の経過により労働契約が終了するものと考えられます。

 860の記事で解説した行方不明の労働者への対応とも似た論点ですが、本稿では、労働者から一方的な意思表示(メール)があった後に音信不通・無断欠勤となったケースを取り上げます。

 会社側専門の弁護士の立場から、退職届メール送信後の無断欠勤と労働契約終了の関係を解説します。

01辞職の要件は期間の定めの有無で異なる

 労働者からの労働契約の一方的解約(辞職)の要件は、期間の定めの有無によって異なります。契約社員等の期間の定めのある労働者の場合、期間途中の解約は認められず、労働者が病気、事故等によって長期間就労できない等の「やむを得ない事由」がなければ辞職の意思表示の効果は生じません(民法628条)。819・820の記事で解説した有期労働契約の期間途中の解除の考え方と共通するものです。

02期間の定めのない労働者の辞職

 他方、期間の定めのない労働者は、いつでも労働契約を解約でき、辞職の意思表示後2週間の経過をもって労働契約が終了します(民法627条1項)。正社員等、いわゆる無期契約の労働者は、会社の承諾を得なくても、一方的な意思表示だけで、2週間後には確実に労働契約を終了させることができるということです。

03メールによる辞職の意思表示の認定

 メールでの退職届出によって辞職の意思表示がなされたといえるか否かという点については、「退職届」という件名で退職する内容のメールを送信してきて、そのまま無断欠勤を続けている状況からみて、辞職の意思表示がなされたことは否定できず、2週間の経過により労働契約が終了するものと考えます。

 このように、辞職の意思表示は、書面(紙の退職届)による必要はなく、メール等の電磁的な方法でも、その内容から辞職の意思が客観的に読み取れれば、有効な意思表示として認められると考えられます。「退職届」という明確な件名と、その後の無断欠勤という行動が一致していることが、この事案での判断の決め手になっています。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側としては、「退職届」等の明確な件名のメールを受信した場合、その受信日を正確に記録しておく必要があります。無期契約の労働者であれば、この意思表示から2週間の経過により契約が終了するため、この日付が労務管理上(社会保険の資格喪失手続、給与計算の締め等)重要な起算点になります。

 なお、メールの内容が曖昧である場合(単に「休みます」というだけで退職の意思が明確でない場合等)には、辞職の意思表示と直ちに認定することは難しく、本人への連絡・確認を試みることが望ましいといえます。今回のケースのように、件名から明確に退職の意思が読み取れ、かつ無断欠勤という行動が伴っている場合には、比較的判断がしやすいといえますが、判断に迷う場合には、早期に弁護士へ相談することをお勧めします。

05よくある質問(FAQ)

Q. 正社員がメールで「退職届」と件名を付けて退職の連絡をしてきた場合、有効な辞職になりますか。

その後無断欠勤を続けているなど、辞職の意思が客観的に読み取れる状況であれば、有効な辞職の意思表示と認められ、2週間の経過で労働契約が終了すると考えられます。

Q. 契約社員が突然メールで退職を伝えてきた場合も、2週間で契約は終了しますか。

期間の定めのある労働者は、原則として期間途中の解約が認められません。病気等の「やむを得ない事由」がなければ、辞職の意思表示の効果は生じません(民法628条)。

Q. メールの内容が曖昧な場合、どう対応すればよいですか。

辞職の意思が明確でない場合には、直ちに辞職と認定せず、本人への連絡・確認を試みることが望ましいといえます。

経営上のポイント 労働者からの辞職の要件は期間の定めの有無で異なります。期間の定めのある労働者は、やむを得ない事由がなければ期間途中の解約は認められません(民法628条)。期間の定めのない労働者は、いつでも解約でき、辞職の意思表示後2週間の経過で労働契約が終了します(民法627条1項)。「退職届」という件名で退職する内容のメールを送信し、そのまま無断欠勤を続けている状況からは、辞職の意思表示がなされたことが認められると考えられます。辞職の意思表示は書面である必要はなく、メール等でもその内容から辞職の意思が客観的に読み取れれば有効です。会社側としては、退職の意思を示すメールの受信日を正確に記録し、労務管理上の起算点として活用することが重要です。内容が曖昧な場合は、本人への確認を試みることをお勧めします。労働契約の終了認定は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働契約の終了認定でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日

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