労働問題877 賃金直接払原則とはどのような原則ですか。
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賃金は直接労働者本人に支払う必要がある 賃金直接払原則とは、賃金を直接労働者に支払わなければならないという原則です。賃金の代理受領による中間搾取の防止、及び労働者が確実に賃金を受領することを保障することを趣旨としています。 |
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親族や代理人への支払いは無効となる 支払う相手が労働者の親族や、後見人等の代理人、労働者から委任を受けた代理人であっても、労基法24条に反するため無効となります。 |
868の記事で解説した賃金支払の4原則のうち、実務上「本人以外への支払い」という形で問題になりやすいのが、直接払の原則です。本稿では、この原則をより詳しく解説します。
会社側専門の弁護士の立場から、賃金直接払原則の内容を解説します。
01賃金直接払原則の内容
賃金直接払原則とは、賃金を直接労働者に支払わなければならないという原則です。賃金の代理受領による中間搾取の防止、及び労働者が確実に賃金を受領することを保障することを趣旨としています。かつて、労働者供給業者等の第三者が賃金を代理受領し、その一部を天引きして労働者に渡すという中間搾取が横行した歴史的背景から、このような制度が設けられています。
02代理人・親族への支払いが無効となる理由
したがって、支払う相手が労働者の親族や、後見人等の代理人、労働者から委任を受けた代理人であっても、労基法24条に反するため無効となります。「本人が忙しいので、代わりに家族が受け取りに来た」「労働者本人が委任状を書いたので、代理人に支払った」といった場合でも、それが労働者本人への直接支払いでない限り、労基法上は無効な支払いと扱われるということです。
なお、865の記事で解説した労働契約法12条の最低基準効とも共通しますが、労基法上の強行規定である以上、当事者の合意(委任状の作成等)があったとしても、この原則を回避することはできません。
03会社側が押さえておくべき視点
会社側としては、労働者本人以外からの賃金支払いの申出(家族による代理受領の依頼等)があった場合でも、これに応じないよう徹底することが重要です。特に、労働者が長期入院中である等の事情から、家族が「代わりに給与を受け取りたい」と申し出てくるケースもありますが、直接払の原則に反するため、この申出には応じられません。
868の記事で解説した口座振込みによる支払いは、労働者本人名義の口座への振込みであることが要件とされているため、この直接払原則を実質的に満たす方法として広く利用されています。振込先が確実に労働者本人名義になっているかを確認することも、実務上重要なポイントです。
04よくある質問(FAQ)
Q. 労働者が入院中の場合、家族に給与を渡してもよいですか。
渡すことはできません。賃金は直接労働者本人に支払う必要があり、家族への支払いは労基法24条に反し無効です。
Q. 労働者本人の委任状があれば、代理人に支払ってもよいですか。
委任状があっても、代理人への支払いは労基法24条に反し無効となります。労基法は強行規定であり、当事者の合意で回避できません。
Q. なぜ直接払の原則があるのですか。
賃金の代理受領による中間搾取を防止し、労働者が確実に賃金を受領できるようにすることを趣旨としています。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。賃金支払実務の適正化でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日