ワード:「会社側」
社員の態度が悪いため改善するよう指導したところ口論になり、当該社員は会社を辞めると言い残して退職届も提出せずに出て行ってしまいました。どのように対応すればいいでしょうか?
まずは、本人と連絡を取って、会社を辞めるのであれば退職届を提出するよう促して下さい。
退職届等の客観的証拠がないと、口頭での合意退職が成立したと会社が主張しても認められず、解雇したと認定されたり、解雇もなく合意退職も成立していないからまだ在職中であると認定されたりすることがあります。
退職届を提出するよう促しても提出しない場合は、電子メールか書面で、会社を辞めるの……
退職届等の客観的証拠がないと、口頭での合意退職が成立したと会社が主張しても認められず、解雇したと認定されたり、解雇もなく合意退職も成立していないからまだ在職中であると認定されたりすることがあります。
退職届を提出するよう促しても提出しない場合は、電子メールか書面で、会社を辞めるの……
労基署に相談してから解雇すれば、裁判にも勝てますよね?
労基署は労基法違反を取り締まっていますので、労基法20条の解雇予告等をしてから解雇するよう指導する等、労基法違反にならないようにするためのアドバイスはしてくれるかもしれません。
労基官によっては、解雇には客観的に合理的な理由が必要であり、社会通念上相当なものである必要もあること(労契法16条)についても教えてくれるかもしれません。
しかし、解雇の有効性を判断する最……
労基官によっては、解雇には客観的に合理的な理由が必要であり、社会通念上相当なものである必要もあること(労契法16条)についても教えてくれるかもしれません。
しかし、解雇の有効性を判断する最……
問題社員に注意指導や懲戒処分をしたら、気分を害して職場の雰囲気が悪くなりますから、注意指導や懲戒処分なんてせずに直ちに解雇した方がいいのではないですか?
確かに、問題社員に注意指導や懲戒処分をした場合、一定の軋轢が生じることは予想されるところです。
しかし、注意指導や懲戒処分もせずに問題社員の好き勝手にさせていることの方が、職場の雰囲気にとって大きな問題です。
当然行うべきであった注意指導や懲戒処分をしなかった結果、上司に対する態度もますます悪化したり、新入社員に仕事を教えなかったりいじめたりして何人も辞めさせたり……
しかし、注意指導や懲戒処分もせずに問題社員の好き勝手にさせていることの方が、職場の雰囲気にとって大きな問題です。
当然行うべきであった注意指導や懲戒処分をしなかった結果、上司に対する態度もますます悪化したり、新入社員に仕事を教えなかったりいじめたりして何人も辞めさせたり……
解雇に踏み切るタイミングを教えて下さい。
解雇に踏み切るのは、原則として解雇が有効であることを証拠により立証できるようにしてからです。
まずは、何月何日にどこでどのようなことがあったといったような解雇に客観的に合理的な理由があることを基礎付ける事実を紙に書き出してみて下さい。
紙に書かれた事実だけで、解雇に客観的に合理的な理由があるといえるでしょうか?
解雇に客観的に合理的な理由があるとい……
まずは、何月何日にどこでどのようなことがあったといったような解雇に客観的に合理的な理由があることを基礎付ける事実を紙に書き出してみて下さい。
紙に書かれた事実だけで、解雇に客観的に合理的な理由があるといえるでしょうか?
解雇に客観的に合理的な理由があるとい……
勤務成績、勤務態度が悪いことは本人が一番よく知っているはずだし、このことは社員みんなが知っているような場合であっても、証拠固めが必要だというのはどうしてですか?
十分な証拠固めをしないまま、「彼の勤務成績、勤務態度が悪いことは、本人が一番良く知っているはずだ。このことは社員みんなが知っていて証言してくれるはずだから、裁判にも勝てる。」といった安易な考えに基づいて「問題社員」を解雇する事例が見られますが、訴訟になるような事案では、労働者側はほぼ間違いなく自分の勤務成績、勤務態度には問題がなかったと主張してきますし、経営者、社員等の利害関係人の証言は経営者が……
問題社員を解雇する際の注意点のうち、最初に理解すべきものを教えて下さい。
漠然と会社が解雇を有効と判断すべき事情が多いように思えた場合であっても、問題社員を解雇しても大丈夫だとは直ちにはいえないということには、十分な注意が必要です。
有効に解雇するためには、解雇に「客観的に」合理的な理由が必要であり(労契法16条)、会社経営者が主観的に解雇には合理的な理由があると考えただけでは足りません。
勤務成績、勤務態度等が不良であるというためには……
有効に解雇するためには、解雇に「客観的に」合理的な理由が必要であり(労契法16条)、会社経営者が主観的に解雇には合理的な理由があると考えただけでは足りません。
勤務成績、勤務態度等が不良であるというためには……
解雇を弁護士に相談するタイミングを教えて下さい。
近年、解雇を契機として労使紛争が表面化し、使用者が多額の解決金の支払を余儀なくされることが多くなっています。
社員を解雇し、紛争が表面化してから弁護士に相談したのでは、過去の事実は動かせない以上、どれだけ優秀な弁護士に依頼したとしても、それなりの出費は避けられないといった事態になりがちです。
解雇を検討する場合は、解雇に踏み切る前の段階から弁護士に相談し、弁護士の……
社員を解雇し、紛争が表面化してから弁護士に相談したのでは、過去の事実は動かせない以上、どれだけ優秀な弁護士に依頼したとしても、それなりの出費は避けられないといった事態になりがちです。
解雇を検討する場合は、解雇に踏み切る前の段階から弁護士に相談し、弁護士の……
解雇が無効と判断され、解雇期間中の賃金の支払を命じる判決が出たところ、労働者代理人弁護士から、「債務名義があるのだから、源泉徴収せずに全額払って欲しい。」と言われています。債務名義があるかどうかと源泉徴収義務の有無は関係あるのでしょうか。
使用者は、強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負うとするのが最高裁判所第三小法廷平成23年3月22日判決なのですから、使用者が判決に従い任意に賃金を支払う場合は、当然、源泉徴収義務を負い、源泉所得税を納付しなければならないことになります。
したがって、使用者としては、債務名義の有無にかかわらず、源泉徴収した上で、賃金を支払うべきこととなります……
したがって、使用者としては、債務名義の有無にかかわらず、源泉徴収した上で、賃金を支払うべきこととなります……
解雇が無効と判断され、解雇期間中の賃金の支払を命じる判決を放置していたところ、強制執行されてしまいました。強制執行のため、源泉所得税を源泉徴収できなかったのですから、源泉所得税を納付しなくても構いませんよね?
所得税法28条1項に規定する給与等の支払をする者が、その支払を命ずる判決に基づく強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負うとするのが最高裁判所第三小法廷平成23年3月22日判決ですので、源泉所得税を納付しなければなりません。
源泉徴収できないのに源泉所得税を納付しなければならないのは不当だと言いたくなるかもしれませんが、上記最高裁判決が「上記……
源泉徴収できないのに源泉所得税を納付しなければならないのは不当だと言いたくなるかもしれませんが、上記最高裁判決が「上記……
解雇が無効と判断された場合に支払う賃金(バックペイ)から、解雇された労働者が解雇期間中に他社で働いて得た収入(中間収入)や失業手当を控除することはできませんか?
解雇期間中の中間収入(他社で働いて得た収入)がある場合、その収入が副業収入のようなものであって解雇がなくても取得できた(自社の収入と両立する)といった特段の事情がない限り、
① 月例賃金のうち平均賃金の60%(労基法26条)を超える部分(平均賃金額の40%)
② 平均賃金算定の基礎に算入されない賃金(賞与等)の全額
が控除の対象となります(米軍山田部……
① 月例賃金のうち平均賃金の60%(労基法26条)を超える部分(平均賃金額の40%)
② 平均賃金算定の基礎に算入されない賃金(賞与等)の全額
が控除の対象となります(米軍山田部……
解雇が無効と判断された場合に解雇期間中の賃金として使用者が負担しなければならない金額を教えて下さい。
解雇が無効と判断された場合に、解雇期間中の賃金として使用者が負担しなければならない金額は、当該社員が解雇されなかったならば労働契約上確実に支給されたであろう賃金の合計額です。
解雇当時の基本給等を基礎に算定されますが、各種手当、賞与を含めるか、解雇期間中の中間収入を控除するか、所得税等を控除するか等が問題となります。
通勤手当が実費保障的な性質を……
解雇当時の基本給等を基礎に算定されますが、各種手当、賞与を含めるか、解雇期間中の中間収入を控除するか、所得税等を控除するか等が問題となります。
通勤手当が実費保障的な性質を……
解雇が無効と判断された場合、使用者はいつまでの賃金を支払い続けなければならないのですか?
解雇が無効と判断された場合、労働者が転職せずに職場復帰を求め続けた場合は、実際には全く働いていない期間についても賃金の支払を命じられることになります。
もっとも、解雇された労働者が他社に正社員として就職したり、使用者が解雇を撤回して労働者に出社するよう命じたにもかかわらず労働者が出社しなかったような場合は、解雇された労働者が労務提供の意思を喪失していると評価できるのが通常であり、……
もっとも、解雇された労働者が他社に正社員として就職したり、使用者が解雇を撤回して労働者に出社するよう命じたにもかかわらず労働者が出社しなかったような場合は、解雇された労働者が労務提供の意思を喪失していると評価できるのが通常であり、……
解雇が無効だったとしても、ノーワーク・ノーペイなのですから、働いていない期間の賃金は支払う必要はありませんよね?
解雇が無効の場合において、労働者が就労の意思と能力があるにもかかわらず、使用者が就労を拒絶しているような場合には、就労不能の帰責事由が使用者にあると評価されるのが通常です。
したがって、解雇された労働者が現実には働いていなかったとしても、使用者は賃金支払義務を免れず(民法536条2項)、実際には働いていない期間についての賃金についても、支払わなければならなくなります。
……
したがって、解雇された労働者が現実には働いていなかったとしても、使用者は賃金支払義務を免れず(民法536条2項)、実際には働いていない期間についての賃金についても、支払わなければならなくなります。
……
有期契約労働者についても試用期間を設けることができますか?
民法628条は、「やむを得ない事由」があるときに契約期間中の解除を認めていますが、労契法17条1項は、使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、使用者は契約期間満了までの間に労働者を解雇できない旨規定されています。
労契法17条1項は強行法規ですから、有期労働契約の当事者が民法628条の「やむを得ない事由」がない場合であっても契約期間満了までの間に労働……
労契法17条1項は強行法規ですから、有期労働契約の当事者が民法628条の「やむを得ない事由」がない場合であっても契約期間満了までの間に労働……
パート、アルバイト等の非正規労働者であれば、いつでも解雇することができますよね?
パート、アルバイト等であればいつでも解雇できるものと誤解されていることがありますが、全くの誤りです。
3か月とか1年とかいった契約期間が定められている場合は、「やむを得ない事由」がある場合でないと契約期間中に解雇することはできません(労契法17条1項、民法628条)。
「やむを得ない事由」とは「当該契約期間は雇用するという約束があるにもかかわらず、期間満了を待つこ……
3か月とか1年とかいった契約期間が定められている場合は、「やむを得ない事由」がある場合でないと契約期間中に解雇することはできません(労契法17条1項、民法628条)。
「やむを得ない事由」とは「当該契約期間は雇用するという約束があるにもかかわらず、期間満了を待つこ……
「やむを得ない事由」があれば、解雇予告や解雇予告手当の支払なしに、「直ちに」有期契約労働者を普通解雇することができますか?
民法628条は、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。」と規定しており、一見、「やむを得ない事由」があれば「直ちに」有期契約労働者を普通解雇することができるようにも読めますが、これは契約期間の定めや民法627条等に拘束されないことを言っているに過ぎず、原則として労基法上の解雇予告義務(労基法20条)の適用がありま……
有期契約労働者を期間途中で普通解雇する場合に要求される「やむを得ない事由」とは、どの程度のもののことをいうのですか?
「やむを得ない事由」は、「当該契約期間は雇用するという約束があるにもかかわらず、期間満了を待つことなく直ちに雇用を終了させざるを得ないような特別の重大な事由」(菅野第10版234頁)をいい、期間の定めのない労働契約における解雇の有効性を判断する際の客観的合理性、社会通念上の相当性(労契法16条)よりも厳格な要件と考えられています。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 ……
代表弁護士 藤田 ……
有期契約労働者を契約期間満了前に普通解雇することはできますか?
民法628条は、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」と規定しています。
したがって、「やむを得ない事由」があれば、有期契約労働者を契約期間満了前に普通解雇することができます。 弁……
したがって、「やむを得ない事由」があれば、有期契約労働者を契約期間満了前に普通解雇することができます。 弁……
試用期間満了前に本採用拒否(解雇)することはできますか?
試用期間満了前であっても、社員として不適格であることが判明し、解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合であれば、本採用拒否(解雇)することができます。
試用期間中に社員として不適格と判断された社員が、試用期間満了時までに社員としての適格性を有するようになることは稀ですから、使用者としては早々に見切りをつけたいところかもしれま……
試用期間中に社員として不適格と判断された社員が、試用期間満了時までに社員としての適格性を有するようになることは稀ですから、使用者としては早々に見切りをつけたいところかもしれま……
採用面接時に能力が低い応募者だということが判明した場合であっても、雇用確保に貢献し、就職できない応募者にチャンスを与える意味で採用し、試用期間中の勤務状況から役に立つ人材と判断できたら本採用拒否せずに雇い続けるというやり方をどう思いますか?
「能力が低いのは分かっていたけど、就職できなくて困っているようだし、もしかしたら会社に貢献できる点も見つかるかもしれないから、チャンスを与えるために採用してあげた。」という発想は、雇用主の責任の重さを考えると、極めて危険な考え方です。
緩やかな基準で認められる試用期間中の本採用拒否(解雇)は、「当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実」を理由とする本採用拒否(解……
緩やかな基準で認められる試用期間中の本採用拒否(解雇)は、「当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実」を理由とする本採用拒否(解……