ワード:「会社側弁護士」

変形労働時間制とはどのようなものですか。

この記事の要点 ✓ 変形労働時間制は「繁閑がある職場の残業代コストを合理化する制度」 一定期間を単位として法定労働時間を考えることで、繁忙期の所定労働時間を長く、閑散期を短く設定しても割増賃金が発生しないようにする仕組みです。適切に導入すれば、残業代コストの合理化と弾力的な人員配置が実現できます。 ✓ 3種類の変形労働時間制は「単位……

懇親会・接待ゴルフは労働時間に該当しますか。

この記事の要点 ✓ 懇親会・二次会は、参加が「義務付けられているか否か」で労働時間性が決まる 使用者から参加を義務付けられておらず「参加を奨励される程度」であれば、懇親会・二次会は労働時間に含まれません。参加しないことで不利益が生じる場合は業務命令による参加と判断され、労働時間として取り扱う必要があります。 ✓ 接待ゴルフは、原則と……

喫煙時間は労働時間に該当しますか。

この記事の要点 ✓ 喫煙時間は原則として「労働時間」に含まれる 常識的な頻度・回数の喫煙であれば、就業時間中のトイレ休憩やコーヒーブレイクと同様、使用者の指揮命令下にある「労働時間」として扱われるのが通常です。休憩時間にはあたりません。 ✓ 就業規則でルールを明確化することが重要 1日の喫煙回数・時間の上限を就業規則に定め、逸脱し……

所定労働時間が7時間30分の会社では、残業代はどのように計算しますか。

この記事の結論 1 7時間30分〜8時間の30分間は法内残業(割増なし)、8時間超が法定時間外(割増あり) 所定7時間30分の会社では、7時間30分〜8時間の30分間は法内時間外労働(割増不要・通常賃金のみ)、8時間を超えた部分が法定時間外労働(25%以上の割増必要)となります。 2 月給制の時間単価は「月給÷一月平均所定労働時間数……

就業規則に配転規定があっても、職種限定であれば異動できませんか。

この記事の結論 1 就業規則に配転規定があっても、個別契約の職種限定合意が優先する 就業規則に包括的な配転規定があっても、個別の労働契約で「職種限定」の合意が成立していれば、労働者に不利でない限り、個別の合意が優先します。 2 職種限定がある場合、本人の同意なき他職種への配転は原則無効 職種限定合意がある労働者に対し、本人の同意な……

就業規則に定年規定がない場合、60歳で退職してもらうことはできますか。

この記事の結論 1 定年規定がなければ、年齢を理由とする退職は「無効な解雇」のリスクが高い 就業規則に定年の定めがない場合、年齢到達を理由とする退職処理は、実質的に解雇と評価され、無効と判断されるリスクが極めて高くなります。 2 適法な導入には3つの手法のいずれかが必要 ①個別合意(労契法8条)、②同意による就業規則変更(労契法9……

年俸制でも残業代は必要ですか。

この記事の結論 1 年俸制は残業代を免除する制度ではない 年俸制は単なる賃金の支払形式であり、労働時間規制(残業代の支払)を免除する制度ではありません。「年俸制だから残業代込み」という理解は誤りです。 2 管理監督者・裁量労働制でない限り、割増賃金の支払いが必要 管理監督者や適法な裁量労働制の対象者でない限り、法定時間を超える労働……

計画年休制度とは、どのような制度ですか。

この記事の結論 1 計画年休は「年5日の消化義務」を果たす有力な手段 労使協定に基づき計画的に付与した有給休暇は、法的に義務付けられた「年5日の時季指定義務」に充当できます。 2 労使協定の締結と就業規則の整備が前提条件 導入には、過半数労働組合(または過半数代表者)との書面による労使協定と、就業規則への規定が不可欠です。手続を欠……

パートの有給休暇の付与日数は、どうなりますか。

この記事の結論 1 パート・アルバイトにも有給付与は法的義務 正社員との違いは付与日数(比例付与)だけであり、付与すること自体は必須です。「パートには有給がない」という運用は誤りであり、是正が必要です。 2 週の所定労働日数に応じた正確な日数管理が必要 週1日勤務であっても有給は発生します。比例付与表に基づき、勤続年数や出勤率に応……

残業代の消滅時効期間とは、どのくらいですか。

この記事の結論 1 残業代の消滅時効は原則3年 残業代(時間外・休日・深夜割増賃金を含む賃金請求権)の消滅時効は、2020年4月1日以降に支払期日が到来した分について原則3年です(それ以前は2年)。各賃金支払日の翌日から進行します。 2 期間が経過しても、会社が援用しなければ支払義務は消滅しない 消滅時効は、期間が経過しただけでは……

固定残業代(定額残業代・みなし残業)は、最低賃金の判断で考慮されますか。

この記事の結論 1 残業代は最低賃金の判断に考慮されない。固定残業代も同様 残業代は最低賃金以上の賃金を支払っているかを判断する際に考慮されません。固定残業代(定額残業代・みなし残業)も残業代ですから、原則として最低賃金の判断には考慮されません。 2 理論上は残業代の実質を持たない場合に考慮される余地がある 固定残業代が「時間外労……

改正高年齢者雇用安定法(2021年4月施行)で、会社経営者が考えるべきことは何ですか。

この記事の結論 1 2021年4月施行の改正により70歳までの就業確保が努力義務化された 改正高年齢者雇用安定法(2021年4月施行)により、70歳までの高年齢者就業確保措置が努力義務として新設されました。定年引き上げ・廃止・継続雇用制度のほか、業務委託契約や社会貢献事業への従事という新しい選択肢も加わりました。 2 60歳から70……

仕事を任せるのが不安な社員にまで、仕事を任せてもよいですか。

この記事の結論 1 「社員を信じて仕事を任せれば上手く行く」は単純には正しくない 社員を信じて仕事を任せても失敗することがあるし、裏切られることもあります。任せた仕事が上手くいくよう配慮したり、不正行為が行われないよう対策を取ることが、会社経営者としての仕事です。 2 「コツ」に依存すると思考停止に陥りやすくなる 「社員を信じて仕……

歩合給の保障給(労基法27条)がある場合、残業代単価の計算式はどのようになりますか。

この記事の結論 1 保障給は「歩合給」であり、日給・月給ではない 歩合給の保障給(労基法27条)は、「出来払制その他の請負制によって定められた賃金」(労基法施行規則19条1項6号)、すなわち歩合給として扱われます。時間当たり・1日当たり・1か月当たりの保障給を定めたとしても、時間給・日給・月給にはなりません。 2 残業代の時間単価は……

新型コロナウイルスの影響で閉店する場合、従業員にトラブルなく辞めてもらう方法はありますか。

この記事の結論 1 整理解雇はトラブルが多い。まず「話し合いで辞めてもらう」を試みる 整理解雇は手順を踏めば可能ですが、不当解雇と主張されて労働審判や訴訟になることも珍しくありません。閉店・廃業の事情を丁寧に説明し、ある程度の上乗せ金を提示して退職をお願いする「退職勧奨」が、トラブルの少ない方法としてお勧めです。 2 会社が儲かって……

労使紛争が起きにくく訴訟でも勝てる労務管理のあり方とは、どのようなものですか。

この記事の結論 1 形式的な法令遵守だけでは十分ではない 訴訟で勝つためには法令遵守が必要ですが、それだけでは労務管理として十分とはいえません。形式的に規則が整っていても、社員の心が離れている職場では労使紛争は起きやすく、訴訟でも不利になります。 2 「この会社で働けて幸せ」と思ってもらえる職場をつくることが目標 社員の多くが「こ……

個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約、就業規則が存在する場合、個別合意だけでは賃金減額の効力は生じませんか。

この記事の要点 ✓ 個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約・就業規則が存在する場合、それらの効力が個別合意に優先するため(労組法16条・労契法12条)、個別合意だけでは賃金減額の効力は生じない 「本人が同意したから大丈夫」という発想は、既存の協約・就業規則が上位にある限り通用しません ✓ 賃金減額を有効に行うためには、先……

就業規則の変更による賃金減額が有効となるための要件を教えてください。

この記事の要点 ✓ 就業規則変更による賃金減額が有効となるためには、①労働者との合意(労契法9条反対解釈)または②変更の合理性と周知(労契法10条)のいずれかを満たす必要がある どちらも要件として認められていますが、それぞれに固有の落とし穴があります ✓ 要件①(合意変更)は、就業規則変更と個別合意を組み合わせる方法——「同意書があ……

労働協約を締結することができない場合や労働協約の効力が及ばない労働者の賃金を減額する方法としては、どのようなものが考えられますか。

この記事の要点 ✓ 労働協約を締結できない場合や効力が及ばない労働者への賃金減額方法は、就業規則変更(労働契約法10条)または個別合意の2つ 368番で解説した3つの手法のうち、①労働協約が使えない場合の選択肢が②就業規則変更と③個別合意です ✓ 就業規則変更による賃金減額は対象者が多数の場合に有効だが、変更の合理性(労契法10条)……

具体的に発生した賃金請求権を事後に締結された労働協約により処分又は変更することは許されますか。

この記事の要点 ✓ 具体的に発生した賃金請求権を、事後に締結された労働協約によって処分または変更することは許されない(香港上海銀行事件・最高裁平成元年9月7日第一小法廷判決) 労働協約の規範的効力は、将来の労働条件の変更に作用するものであり、既発生の賃金請求権には及びません ✓ 「労働組合が同意したのだから過去分も変更できる」という……

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