労働問題502 歩合給の保障給(労基法27条)を支給する場合の残業代(時間外割増賃金)単価の計算式を教えて下さい。
歩合給の保障給(労基法27条)は、歩合給(「出来払制その他の請負制によって定められた賃金」(労基法施行規則19条1項6号))です。時間当たりの保障給を定めたとしても「時間によって定められた賃金」(労基法施行規則19条1項1号)ではありませんし、1日当たりの保障給を定めたとしても「日によって定められた賃金」(労基法施行規則19条1項2号)ではありませんし、1月当たりの保障給を定めたとしても「月によって定められた賃金」(労基法施行規則19条1項4号)ではありません。
歩合給の保障給(労基法27条)は歩合給(「出来払制その他の請負制によって定められた賃金」(労基法施行規則19条1項6号))なのですから、残業代(時間外割増賃金)の時間単価は、保障給を歩合給として計算することになります。
残業代(時間外割増賃金)の時間単価=歩合給(保障給は歩合給)÷総労働時間数×0.25
会社経営者の皆さんから相談を受けていると、保障給を日給や月給と混同している事例が多く見られます。中には、会社の採用担当者が、1日当たりの歩合給の保障給を求人会社に伝えたところ、保障給の意味を理解してもらえず、日給制であるかのような求人広告を作成されてしまった事案すら、見たことがあります。求人会社の社員でさえ、保障給が歩合給であることを理解していないこともあるのですから、分かりにくい話かもしれませんが、歩合給と時間給、日給、月給では、残業代の時間単価が5~8倍程度違ってきます。大事なポイントですから、明確に区別して理解するようにして下さい。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎