ワード:「懲戒処分とは」

退職勧奨をした際に退職を強要したとして慰謝料請求が認められた事例には,どのようなものがありますか?

 退職勧奨とは、辞職を勧める使用者の行為、あるいは、使用者による合意解約の申し込みに対する承諾を勧める行為をいいます。退職勧奨自体は事実行為ですので、使用者がこれを行なうかどうかは基本的には自由です。
 しかし、社会的相当性を逸脱した態様での半強制的ないし執拗な退職勧奨行為が行なわれた場合には、使用者は労働者に対して、不法行為に基づく損害賠償義務を負うことになります。
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退職勧奨とはどういうものですか?

 退職勧奨とは、使用者が労働者に対して辞職や労働契約の合意解約の承諾を促すことをいいます。厳格な解雇規制を回避するために、使用者が経営上の理由によるリストラを行うに際して、希望退職募集制度を実施しながらも目標退職者数を確保する目的で、あるいは、希望退職募集制度実施後の事業方針に適合しない労働者等の特定の労働者の退職を促す目的で、労働者との個別面談を通じて行われるのが通常です。また、目標退職者数が少……

解雇の規制にはどのようなものがありますか?

[toc] 1.労働契約上の規制  解雇権は、労働契約に当然に付随する権利と理解されており、普通解雇をするに当たり、就業規則の定めなどは必要ありません。しかし、常時10人以上の労働者を雇用する場合は、就業規則を定め、労働基準監督署に届け出なければならず、解雇事由は就業規則の絶対的必要事項であり、労働契約時に書面により明示しなければなりません(労基法15条1項、労規則5条1項4号)。
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情報漏洩、兼業、競業行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

[toc] 1.情報漏洩  企業情報等の漏洩は、企業秩序を現実に侵害する場合は懲戒事由となります。例えば、新聞記者が個人用ホームページに業務上知り得た事実や体験談を掲載したことが、新聞社における職務と密接に関連し、取材源秘匿との会社方針に反する行為であった等として、出勤停止処分が有効とされた裁判例があります(日本経済新聞社事件東京地裁平成14年3月25日判決)。近年では、SNSに企業情報の漏洩……

勤務時間外における企業外での犯罪行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

[toc] 勤務時間外の企業外行動における懲戒処分の考え方  勤務時間外における企業外での行動は、本来は労働者の私生活上の行為であり、使用者が懲戒をもって臨むことはできないはずです。しかし、労働者は信義則上、使用者の業務利益や信用・名誉を毀損しない義務を負っていますので、原則として企業外での行動を規制することはできないものの、それが「企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるときなど企業秩序に関……

企業内政治活動・組合活動を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 企業内の政治活動、組合活動の懲戒事由該当性は、慎重に判断されるのが通常です。具体的には、まず、政治活動等の禁止、許可規定に違反してなされた政治活動が懲戒事由になるか否かが問題になります。就業時間中の活動は、職務専念義務に違反するため原則として懲戒処分が肯定されますが、問題は、終業時間前、終業時間後、休憩時間等、終業時間外に行ったケースです。判例は(目黒電報電話局事件最三小昭和52年12月13日判……

経歴詐称を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 経歴詐称とは、採用時に、学歴や職歴、犯罪歴などの経歴を偽ることをいいます。このような経歴詐称は、一般には、使用者と労働者間の信頼関係を壊し、労働力の評価を誤らせ、人事異動等に関する秩序を乱すものであることから、裁判例(スーパーバッグ事件最高裁第一小法廷平成3年9月19日判決)は、詐称された経歴が最終学歴や職歴など、重要なものであることを前提として、経歴詐称の懲戒事由該当性を肯定しています。経歴を……

職務規律違反・不正行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 職務規律違反とは、労働の遂行その他の行動に関するルール違反のことをいい、暴行、脅迫行為、ハラスメント行為、業務妨害行為、横領などの不正行為等があります。
 まず、セクハラ行為が被害者及び会社に及ぼす影響の重大性から、セクハラを理由とする厳格な懲戒処分例が増えるとともに、処分の有効性が争われる事例も目立ってきています。L館事件では、原審は、女性従業員に対する管理職のセクハラ発言を理由……

職務懈怠を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 職務懈怠とは、労働の遂行が不適切なことをいい、無断欠勤、遅刻、早退、職場離脱、勤務不良、業務命令違反等が含まれます。
 労働者による職務懈怠が客観的に認められるとしても、その原因や使用者の対応によっては、懲戒処分が無効になる場合があります。
 裁判例では、精神的な不調のために欠勤を続けている社員について、使用者としては精神科医による健康診断を実施するなどした上で、その……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な手続の相当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、本人への弁明機会、賞罰委員会の開催、労働組合等の手続的保障がどこまで求められているのかが問題となります。
 本人への弁明の機会は、規定の有無を問わず必要なものであり、実質的に行われる必要があります。裁判例(ホンダエンジニアリング事件宇都宮地裁平成27年6月24日判決)では、就業規則上、懲戒解雇に際して労働者に弁明の機会を与える旨の規定がない場合……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な処分の相当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、懲戒事由の他に、懲戒処分を就業規則に明確に定める必要があります。就業規則に記載されていない懲戒処分を行うことはできず、判例(立川バス事件東京高裁平成13年9月12日判決)でも、就業規則において経歴詐称を理由とする懲戒処分の種類を懲戒解雇・出勤停止・減給・格下げにとどめるものと規定している場合には、懲戒の手段はこれらに限定されてしまい、より軽い譴責処分などであ……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な懲戒処分事由該当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、まず、懲戒事由を就業規則に明確に定める必要があります。ただし、懲戒事由が就業規則に定められた場合であっても、当該行為が懲戒事由に該当するか否かの判断において合理的な限定解釈を加えることは多くあります。また、一般の就業規則には、列記された懲戒事由の末尾に「その他、これに準ずる場合」という条項が置かれていることが多いですが、このような規定についても、合理的な限定……

懲戒処分とはどういうものですか?

 懲戒処分とは、使用者が、従業員の企業秩序違反行為に対して加える制裁罰です。懲戒処分には、懲戒解雇、諭旨解雇、降職、降格、懲戒休職、出勤停止、減給、戒告、譴責等があります。
 労働契約法15条は、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない……

出向先の会社が出向してきた社員を懲戒処分することはできますか。

 出向社員は、出向先の会社の就業規則で定められた服務規律にしたがって労務提供することになりますので、出向社員が出向先の服務規律に違反した場合には、出向先は、出向社員を懲戒処分することができます。
 ただし、出向社員との労働契約関係は出向元にありますので、出向先は、懲戒解雇、諭旨解雇といった労働契約の解約を伴う処分はできません。出向してきた社員が出向元の会社の解雇事由に該当するような行……

出向先の会社が出向してきた社員を解雇することはできますか。

 出向とは、社員が自己の雇用先の会社に在籍したまま、他の会社の従業員となって長期間にわたって業務に従事することをいいます。
 労働者と雇用契約を締結しているのは出向元ですから、出向先の会社は出向してきた社員に問題があったとしても解雇することはできません。
 出向してきた社員が出向元の会社の解雇事由に該当するような行動を取った場合、出向先は、出向元と出向先との間の出向契約……

だらだらと残業する。

[toc] 1. 不必要な残業をしているかの確認  まずは、当該社員の業務量を調べ、不必要な残業をしているのか、それとも業務量が多いために長時間労働せざるを得ない事情があるのかを確認します。
 社員が不必要な残業をしているにもかかわらずこれを使用者が放置していると、仮に当該社員が過重労働で健康を害したとき又は当該社員が残業代請求をしてきた際に、不必要な残業時間も労働時間と認定され……

企業秘密を他社に漏えいする。

[toc] 1. 労働者の秘密保持義務  労働者は、労働契約に付随する義務として、会社の業務上の秘密を守る義務(秘密保持義務)を負うと解されています。
 労働契約上の秘密保持義務の対象となる「秘密」の範囲は、当事者間の合意に委ねられているところがあり、一般的には不正競争防止法にいう「営業秘密」よりも広いと解されていますが、必ずしも社員が職務上知り得た全ての情報が「秘密」になるわけ……

同僚に嫌がらせをする。

[toc] 1. 事実関係の把握  まずは事実関係を把握することが重要です。嫌がらせがあった日時、場所、内容を確認し、社員の言い分を聴取する際は、嫌がらせを受けたと思われる社員だけでなく、嫌がらせをしたと思われる社員、場合によっては周囲の社員からも話を聴くようにしましょう。 2. 注意・指導  嫌がらせが確認できた場合、まずは嫌がらせをした社員を注意指導することから始めるのが穏当です。注意……

無断欠勤を続けている。

[toc] 1. 連絡を試みる  本人と連絡を取るために様々な手段を試みることが重要です。電話、メール、自宅への訪問、両親等保証人に連絡して本人と連絡が取れるよう依頼することが考えられます。また、後日、連絡を試みたことが分かるように証拠を残しておくことが重要です。
 このような方法を試みたものの長期間連絡が取れず、退職として処理したい場合には、以下の方法が考えられます。 2. ……

使用者は、管理監督者の労働時間について自由裁量を認めなければならないのでしょうか?

[toc] 1. 労働時間の規制  規制なく残業し、休日にも出勤せざるを得ない管理監督者に対し、厳格な労働時間の規制をするのは問題ではありますが、だからといって、何時に出勤し、何時に帰宅するのかは全くの自由であると考えるべきではありません。
 管理監督者も労基法が適用される労働者であることは間違いなく、フレックスタイム制のフレキシブルタイムの時間帯の範囲内でない限り、労基法が適用……

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