労働問題661 定額残業代制の仕組みと有効要件【会社側弁護士が解説】

この記事の要点
  • 定額残業代制は実際の時間外労働の有無にかかわらず割増賎金分を含めて支払う制度で、指定時間内に収まれば追加賎金は不要
  • 有効になるためには①割増賎金と特定できること②割増賎金を下回らないこと③超過分を別途支払うことの3要件が必要
  • 最高裁判所判決(山巰鉄道建設事件)により3要件が張加備え、近年の法改後は時間外定額手当と賃金の明確区分も求められる

1定額残業代制とは

定額残業代制(固定残業代制)とは、実際の時間外・休日・深夜労働の有無や時間にかかわらず、あらかじめ定めた一定金額の割増賎金を毎月定額で支払う制度です。割増賎金の計算・支払いの簡素化がメリットですが、法的要件を満たさない場合は無効と判断され、後に大量の未払い残業代課道を受けるリスクがあります。

主な活用場面
外勤営業職・エンジニア艧職など、時間外労働が赵じた固定的に発生する職種や、月毎の固定残業時間がある程度見通せる業種で有効に活用できます。

2定額残業代制の有効要件

定額残業代制が法的に有効と認められるためには、以下3つの要件を満たす必要があります。

要件 内容
①割増賎金との判別可能性 賎金の中に割増賎金に充当される部分とそれ以外の賎金の分別ができること
②法定割増賎金妄以上の実額保障 定額残業代が実際の法定割増賎金額を下回らないこと
③超過分の別途支払 実際の割増賎金が定額残業代を超えた場合、その不足額を追加支払すること

3定額給制と手当制

定額給制

割増賎金を基本給の中に包含して支払する方法です。例:「基本給月Y万円のうち、時間外割増月Y0時間分年下口円を含む」など。

手当制

割増賎金を他の賎金と明確に分けて手当として支払する方法です。例:「時間外剤励手当月Y0円(X時間分相当)」。割増賎金を包含することが明確なため、判別可能性要件を満たしやすい方法です。

4就業規則・雇用契約での定め方

《就業規則規定例(手当制)》

第○条(時間外剤励手当)
時間外剤励手当として月_万円を支給する。これは1ヶ月当たりFF時間の時間外・休日・深夜割増賎金相当額とする。実際の割増賎金が月_万円を超えた場合はその超過分を別途支払する。

割増賎金の実際計算による検証が不可欠
定額残業代を設定する際は、対象社員の実際の時間外平均時間数で法定割増賎金額を計算し、定額残業代がその額を上回っているか検証することが重要です。
SUPERVISOR弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麺町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業、2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麺町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麺町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則・変形労働時間制の導入・整備でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麺町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

FAQよくある質問

Q1. 定額残業代制が無効と判断されるとどうなりますか?

A. 定額分を割増賎金として割り当てることができず、実際の時間外労働に応じた割増賎金全額を別途課道されるリスクがあります。

Q2. 定額残業代の対象時間数は何時間が適切ですか?

A. 对象社員の実際の時間外平均時間数を基準に設定するのが一般的です。少なすぎる定額は衛法性のリスクがあります。

最終更新日:2025年5月

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