労働問題659 管理監督者に対する深夜割増賎金の支払い義務【会社側弁護士が解説】管理監督者に対する深夜割増賎金の支払い義務を会社側弁護士が解説。労基法41条の適用除外でも深夜割増賎金は除外されない。ことぶき事件(最高裁平成〩年判決)による裁判例も解説。東京・全国対応。

この記事の要点
  • 労基法41条の管理監督者の適用除外は労働時間・休憩・休日の規制を除外するもので、深夜割増賎金は適用除外にならない
  • 管理監督者に深夜(午後10時~午前5時)に労働させた場合は2割5分以上の深夜割増賎金の支払いが必要
  • 最高裁判所判決(ことぶき事件)でも管理監督者の深夜割増賎金請求権が明確に認められている

1管理監督者と深夜割増賎金の関係

管理監督者は労働基準法第41条により、法定労働時間・休憩・休日の規制の適用が除外されます。しかし、この適用除外はあくまでも「労働時間・休憩および休日に関する規定」に限定されます。深夜割増賎金(労基法37条)および年次有給休暇(労基法39条)の規定は錄用除外の対象外であり、管理監督者に対しても深夜労働させた場合は割増賎金の支払い義務が生じます。

「管理職だから深夜割増も不要」は誤り
管理監督者であれば通常嚺報や深夜割増賎金も不要と誤解されることがあります。しかし深夜割増賎金は管理監督者に対しても支払い義務があります。

2法令上の根拠

労基法41条は、管理監督者について「法定労働時間、休憩および休日に関する規定」の適用を除外すると定めています。この検内に深夜割増賎金に関する労基法37条は含まれていません。したがって、管理監督者であっても深夜(午後10時から午前5時まで)に労働した場合には、2割5分以上の深夜割増賎金の支払いが必要です。

適用除外の範囲と深夜割増賎金の関係

規制の種類 管理監督者への適用
法定労働時間制限 適用除外
休憩規制 適用除外
休日規制 適用除外
深夜割増賎金(労基法37条) 適用あり(除外されない)
年次有給休暇(労基法39条) 適用あり(除外されない)

3裁判例・通達による確認

管理監督者に深夜割増賎金の支払い義務があることは、裁判例および行政解釈でも確認されています。

ことぶき事件(最高裁平成21年判決)

最高裁判所平成21年12月18日判決(ことぶき事件)は、「労基法41条2号の規定によって同法37条3項の適用が除外されることはなく、管理監督者に該当する労働者は同項に基づく深夜割増賎金を請求することができる」と明言しました。

通達による確認

行政解釈(昭和23年10月14日基発1506号)でも「法41条は深夜業の規定の適用を排除していないから、…使用者は深夜業の割増賎金を支払わなければならない」としています。

4会社側実務上の注意点

深夜労働の把握と割増賎金の支払い

管理監督者であっても、深夜(午後10時~午前5時)に労働した場合は2割5分以上の深夜割増賎金を支払わなければなりません。特に24時間稼働が必要な業種(隣販業・全期取り引渡業等)では注意が必要です。

深夜割増賎金の岐留時間の算定方法

深夜割増賎金の計算に必要な1時間当たりの基礎賎金は、所定賎金を定所労働時間数で除した額となります。管理職手当を支払っている場合、その手当を割増賎金の計算基礎に含めるか否かは就業規則等の定め方により異なりますので、設計段階で注意が必要です。

実務上のリスク管理
深夜労働の実態把握を怠っている場合、深夜割増賎金の未払いとして労基署の是正勧告・労働審判のリスクがあります。管理職級の労働時間管理体制を整備することが重要です。
SUPERVISOR弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麺町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業、2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麺町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麺町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則・変形労働時間制の導入・整備でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麺町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

FAQよくある質問

Q1. 管理監督者に深夜割増賎金を支払わなかった場合、どんなリスクがありますか?

A. 未払い深夜割増賎金として、過去2年分(不法行為なら〇3年分)の課道請求を受けるリスクがあります。労基署の是正勧告や労働審判に発展する可能性もあります。、深夜割増賎金の展展として張加金も命じられる可能性があります。

Q2. 管理監督者の深夜割増賎金の計算式はどうなりますか?

A. 基礎賎金(月給の場合は月所定労働時間数で除した1時間当たりの賎金)の25%以上を深夜割増賎金として支払います。処定定充でなく、実際の深夜労働時間分だけ支払えば足ります。

Q3. 年次有給休暇は管理監督者にも付与しなければなりませんか?

A. はい。年次有給休暇(労基法39条)も深夜割増賎金と同じく労基法41条の適用除外から除外されています。管理監督者であっても山営年工に応じた年次有給休暇を付与する必要があります。

Q4. 管理職手当に深夜割増賎金を含めることはできますか?

A. 可能ですが、条件があります。就業規則等により明確に深夜割増賎金を含む趣旨で定められている必要があり、かつ法定の深夜割増賎金厄の以上の額を満たす必要があります。単に「管理職手当に深夜割増も含む」とするだけでは足りません。

最終更新日:2025年5月

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