労働問題272 時間外・休日労働をさせても労基法違反にならないためには?36協定の締結・届出
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時間外・休日に労働させても労基法違反にならないためには、36協定を締結し労基署長に届け出る必要がある(労基法36条) 36協定の締結・届出なしに時間外・休日労働をさせると、それ自体が労基法32条・35条違反となります |
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36協定は「労働者の過半数を代表する者」との書面による合意が必要であり、事業場ごとに締結・届出する 届出先は各事業場を管轄する労働基準監督署です |
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2019年の働き方改革関連法施行以降、36協定には法律上の上限(月45時間・年360時間等)が設けられた 上限を超えて時間外労働をさせた場合も、新たな刑事罰の対象となります |
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36協定の締結・届出だけでなく、実際の時間外・休日労働時間を協定の範囲内に収める管理が必要 協定の上限を超えた時点で労基法違反となり、刑事罰のリスが生じます |
目次
0136協定とは何か——労基法36条の概要
時間外や休日に労働させても労基法32条や労基法35条違反の罪(労基法119条1号)が成立しないようにするためには、時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)を締結し、労基署長に届け出る必要があります(労基法36条)。
「36協定」とは、労働基準法36条に基づく「時間外労働・休日労働に関する労使協定」の通称です。適正な36協定を締結・届出することで、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間外労働や、法定休日(週1回)の休日労働を適法に行わせることができます。36協定なしに時間外・休日労働をさせることは、それ自体が労基法32条・35条違反となり、271番で解説した刑事罰の対象となります。
0236協定の締結方法——誰と締結するか
36協定は、使用者と「労働者の過半数を代表する者」との書面による合意です。
労働組合がある場合:その事業場の労働者の過半数を組織する労働組合
労働組合がない場合:その事業場の労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)
過半数代表者は、①管理監督者でないこと、②民主的な方法で選出されていること(使用者による指名は不可)——の2要件を満たす必要があります。使用者が一方的に代表者を指名した場合は、36協定が無効となるリスがあります。
36協定は事業場ごとに締結・届出する必要があります。本社でまとめて締結・届出しても、各事業場(工場・支店等)の36協定としては有効になりません。複数の事業場がある会社は、各事業場ごとに36協定を締結・届出することが必要です。
0336協定の届出先と有効期間
届出先
36協定の届出先は、各事業場を管轄する労働基準監督署長です。本社の管轄労基署ではなく、各事業場の所在地を管轄する労基署に届け出ることが必要です。届出は書面で行い、協定書の写しを保存しておくことが重要です。
有効期間
36協定には有効期間を定める必要があります。有効期間は1年間とすることが望ましく(一般的な実務上の取り扱いです)、期間満了前に新たな36協定を締結・届出することが必要です。有効期間が満了した後に更新を失念していると、36協定のない状態で時間外・休日労働をさせることになり、労基法違反となります。
0436協定の内容——時間外・休日労働の上限規制
2019年4月(中小企業は2020年4月)の働き方改革関連法施行以降、36協定で定める時間外労働には法律上の上限が設けられています。この上限を超えて時間外労働をさせた場合も、労基法違反として刑事罰の対象となります。
上記の上限を超えて時間外・休日労働をさせた場合は、労基法36条6項違反として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります(労基法119条1号)。特別条項を含む上限は絶対的な上限であり、臨時的な特別な事情があっても超えることはできません。
0536協定締結後の注意点——実際の管理が重要
36協定を締結・届出するだけでは十分ではありません。実際の時間外・休日労働時間を協定の範囲内に収めるための日常的な労働時間管理が不可欠です。
36協定締結後の主な注意点
①毎月の時間外労働時間の把握・管理
月45時間・年360時間の上限を超えないよう、社員ごとの時間外労働時間を毎月把握・管理することが必要です。
②特別条項の適正な運用
特別条項を適用できるのは「臨時的な特別の事情」がある場合のみです。常態的な繁忙を理由に特別条項を適用することはできません。
③有効期間の管理と更新
36協定の有効期間が満了する前に新たな36協定を締結・届出することが必要です。更新を失念すると、36協定のない状態となり労基法違反となります。
④残業代(割増賃金)の適正な支払
36協定を締結しても、割増賃金の支払義務がなくなるわけではありません。時間外・休日労働に対する残業代は別途適正に支払う必要があります。
06まとめ
時間外や休日に労働させても労基法32条・35条違反の罪(労基法119条1号)が成立しないようにするためには、36協定(時間外・休日労働に関する労使協定)を締結し、管轄する労働基準監督署長に届け出ることが必要です(労基法36条)。
36協定は事業場ごとに、労働者の過半数を代表する者との書面による合意が必要です。また、2019年の働き方改革関連法施行以降、36協定で定める時間外労働には法定上限(月45時間・年360時間等)があり、これを超えることは新たな刑事罰の対象となります。36協定の締結・届出後も、実際の時間外・休日労働時間を協定の範囲内に収めるための日常的な管理と残業代の適正な支払が不可欠です。36協定の設計・締結方法については、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。36協定の締結・届出・労働時間管理・残業代トラブルの予防でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 36協定とは何ですか。
A. 「時間外労働・休日労働に関する労使協定」の通称で、労働基準法36条に基づくものです。適正な36協定を締結・届出することで、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間外労働や法定休日の休日労働を適法に行わせることができます。36協定なしに時間外・休日労働をさせると、労基法32条・35条違反となります。
Q2. 36協定はどこに届け出ますか。
A. 各事業場を管轄する労働基準監督署長に届け出ます。本社でまとめて届け出ることはできず、各事業場の所在地を管轄する労基署に事業場ごとに届け出ることが必要です。複数の事業場がある会社は、それぞれの事業場について36協定を締結・届出する必要があります。
Q3. 36協定の時間外労働の上限はどのくらいですか。
A. 2019年の働き方改革関連法施行以降、原則として月45時間・年360時間が上限です。特別条項を設ければ月100時間未満・年720時間までとすることができますが(月45時間超は年6か月まで)、特別条項の上限は絶対的なものであり超えることはできません。上限を超えた場合も刑事罰(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となります。
Q4. 36協定を締結すれば残業代を支払わなくてよいですか。
A. 支払わなくてよいわけではありません。36協定は「刑事罰を免れるための要件」であり、時間外・休日労働に対する割増賃金(残業代)の支払義務とは別の問題です。36協定を締結・届出しても、時間外割増賃金(25%以上)・休日割増賃金(35%以上)・深夜割増賃金(25%以上)の支払義務は引き続き発生します。
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最終更新日:2026年5月10日