労働問題190 労働組合員の継続雇用拒否は、どのような点で紛争になりやすいですか。不当労働行為リスクを教えて下さい。
|
1
|
継続雇用拒否の紛争は、労働組合活動をしていた組合員について生じることが多い 拒否が不当労働行為(労働組合法7条)と評価されるかどうかが争点となる傾向があります。 |
|
2
|
組合員への対応は、組合活動を理由とする不利益取扱いという疑いを招かないよう通常以上に慎重な証拠固めが必要 就業規則の解雇事由・退職事由への該当性を客観的証拠で立証できるようにしておくことが重要です。 |
継続雇用拒否をめぐる不当労働行為リスクとは、労働組合活動をしていた組合員の継続雇用を拒否した場合に、当該拒否が労働組合法7条の不当労働行為(不利益取扱い)に該当するのではないかとして争われるリスクをいいます。定年を迎えた社員の継続雇用を拒否した場合、どのようなケースで紛争になりやすいのでしょうか。実務上、労働組合活動をしていた組合員の継続雇用拒否が紛争になりやすい傾向があります。
本ページでは、組合員の継続雇用拒否が紛争になりやすい理由と、不当労働行為リスクへの対応について、会社側専門の弁護士が解説します。
01組合員の継続雇用拒否が紛争になりやすい理由
結論:継続雇用拒否をめぐる紛争は、労働組合活動をしていた組合員の再雇用等を拒絶したケースで生じることが多いという実務上の傾向があります。定年退職を機に会社との関係を解消したいと考えている社員に対して継続雇用を拒否した場合、通常はさほど大きな紛争には発展しません。
しかし、労働組合活動をしていた組合員の場合、本人および所属する労働組合(社内の組合であることも、合同労組・ユニオンであることもあります)が、拒否の背景に組合活動への報復や嫌悪があるのではないかと疑い、争いに発展しやすい傾向があります。
02不当労働行為(労働組合法7条)とは
結論:組合関係者の継続雇用拒絶は、不当労働行為(労働組合法7条1号の不利益取扱い)と評価されるかどうかが争点となることがその主な原因と考えられます。労働組合法7条1号は、労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入・結成しようとしたこと、または労働組合の正当な行為をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすることを禁止しています。
継続雇用拒否は、労働者にとって「働き続けられなくなる」という重大な不利益であるため、組合員に対して行われた場合、不当労働行為に該当するのではないかという疑いを招きやすく、労働委員会(不当労働行為救済申立て)や裁判所(地位確認訴訟等)で争われるケースが少なくありません。
03紛争を避けるための実務上の留意点
結論:組合員に対する継続雇用拒否を検討する場合は、就業規則の解雇事由・退職事由への該当性を裏付ける客観的証拠を通常以上に慎重に積み上げ、組合活動を理由とする不利益取扱いという疑いを招かないよう対応することが重要です。組合員であるかどうかにかかわらず、継続雇用拒否の判断基準を一貫させ、恣意的な運用と評価されないようにすることが基本です。
特に組合員に対しては、拒否の理由となる客観的事情(勤怠不良・懲戒歴・健康上の問題等)を書面で記録し、組合活動とは無関係な判断であることを説明できるよう準備しておく必要があります。組合員の継続雇用拒否・不当労働行為リスクへの対応については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。
組合員対応の比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(不当労働行為認定のリスク) |
|---|---|
| 組合員であっても解雇事由該当性を客観的証拠で立証する | 組合活動歴を理由に継続雇用を拒否したと疑われる対応をする |
| 拒否の判断過程・理由を書面で記録する | 記録なく感覚的に継続雇用を拒否する |
| 組合員への対応は特に慎重に弁護士へ相談する | 通常の社員と同じ感覚で対応してしまう |
| 一貫性のある基準で全社員に対応する | 組合員のみ厳しい基準を適用する |
04よくある質問(FAQ)
Q. 組合員の継続雇用を拒否すると、なぜ不当労働行為が問題になりやすいのですか。
労働組合法7条1号は、労働者が労働組合の組合員であることや正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱いを禁止しています。継続雇用拒否は労働者にとって重大な不利益であるため、組合員に対して行われた場合、「組合活動を理由とする報復ではないか」という疑いを招きやすく、労働委員会や裁判所で争われるケースが少なくありません。
Q. 不当労働行為と判断された場合、会社にはどのような不利益がありますか。
労働委員会から救済命令(継続雇用命令・バックペイの支払命令等)を受ける可能性があるほか、司法審査(行政訴訟)に発展することもあります。また、企業イメージの低下や、他の労働組合との関係悪化にもつながりかねません。
Q. 組合員の継続雇用拒否を検討する場合、どのような準備が必要ですか。
組合活動とは無関係な、客観的かつ具体的な解雇事由・退職事由該当性の証拠(勤怠記録・懲戒処分歴・業務上の問題行動の記録等)を整理することが不可欠です。また、対応方針の決定前に弁護士に相談し、不当労働行為と評価されるリスクを事前に検証することを強くお勧めします。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。組合員の継続雇用拒否・不当労働行為リスクでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月10日