労働問題188 高年齢者の継続雇用を拒否できるのは、どのような場合ですか。

この記事の結論
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継続雇用を拒否できるのは、就業規則の解雇事由・退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合に限られる

判断ではまず健康状態、次に懲戒歴等の客観的な事情を重視すべきです。

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「雇用と年金の接続」という立法趣旨からすれば、拒否は極めて限定的な場合にとどめるべき

健康に問題がなく通常の業務に従事できるのであれば、再雇用希望者全員が再雇用されることが原則です。

 継続雇用拒否の判断基準とは、就業規則に定める解雇事由・退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合に限り、事業主が高年齢者の継続雇用を拒否できるとする現行法上の枠組みをいい、令和7年3月末の経過措置終了に伴い、これが継続雇用を拒否できる唯一の根拠となっています。「定年を迎える社員がいるが、この人は継続雇用しなくてもよいだろうか」というご相談を受けることがあります。

 本ページでは、継続雇用を拒否できる場合の判断基準と実務上の留意点について、会社側専門の弁護士が解説します。

01継続雇用を拒否できる根拠は就業規則の解雇事由・退職事由のみ

 結論:継続雇用制度の対象者を限定する経過措置が終了した現在、事業主が高年齢者の継続雇用を拒否できるのは、就業規則に定める解雇事由・退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合に限られます。かつて認められていた「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」による選別は、経過措置の終了によって使えなくなっています。

 現在、継続雇用を拒否するための唯一の根拠は、就業規則に定める解雇事由・退職事由と同一内容の事由に該当することです。

02判断で重視すべき事情|健康状態と懲戒歴

 結論:継続雇用の可否を判断するにあたっては、まず高年齢者の健康状態、次に懲戒歴等の客観的な事情を重視すべきであり、主観的・恣意的な判断で拒否することは高年法違反・不当労働行為等のリスクを伴います。健康状態については、心身の故障により業務に堪えられないと客観的に認められるかどうかが重要な判断要素です。医師の診断等の客観的な資料に基づいて判断する必要があります。

 懲戒歴については、過去の懲戒処分歴・勤務状況が著しく不良で職責を果たし得ないといった事情が、就業規則の解雇事由・退職事由に該当するかどうかを検討します。単に「気に入らない」「他の社員より成績が劣る」といった主観的な理由では、拒否の根拠として不十分と考えられます。

03拒否は極めて限定的な場合にとどめるべき理由

 結論:「雇用と年金の接続」という高年法9条の立法趣旨からすれば、健康に問題がなく、指定された事業場に自分で出勤して通常の業務に従事できるのであれば、再雇用希望者全員が再雇用されるべきであり、継続雇用の拒否は極めて限定的な場合にとどめるべきです。老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げに伴い、継続雇用されない高年齢者が年金も支給されないという事態を防止する必要性が高くなっているためです。

 このような立法趣旨を踏まえると、健康に問題がなく通常の業務に従事できる社員については、原則として再雇用を認めるという運用姿勢が望ましいと考えます。

04継続雇用拒否の判断プロセス

 結論:継続雇用を拒否する場合は、健康状態の確認資料・懲戒処分歴・勤務態度の記録などの客観的な証拠を積み上げた上で、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を説明できる状態にしておくことが不可欠です。健康状態の確認資料(医師の診断書等)・懲戒処分歴の記録・勤務態度に関する具体的な記録を事前に整理し、拒否の判断の裏付けとなる客観的証拠を準備してください。

 拒否の判断は紛争リスクが高いため、事前に会社側専門の弁護士に相談の上で進めることを強くお勧めします。継続雇用拒否の判断基準の整理・証拠の準備については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。

判断プロセスの比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(高年法違反のリスク)
健康状態・懲戒歴等の客観的事情のみで判断する 年齢や勤続年数のみを理由に拒否しようとする
拒否の判断に足りる記録・証拠を積み上げる 記録なしに感覚的に拒否を決める
就業規則の解雇事由・退職事由と同一内容の範囲で判断する 就業規則にない独自の基準で拒否する
拒否の判断前に弁護士へ相談する 自社のみの判断で継続雇用を拒否する

05よくある質問(FAQ)

Q. 「勤務成績が振るわない」ことを理由に継続雇用を拒否できますか。

就業規則の解雇事由・退職事由に該当する程度の重大な問題(著しい勤務不良等)がある場合は理由になり得ますが、単に「他の社員より成績が劣る」という程度では拒否の理由として不十分と考えられます。具体的な事情については弁護士に相談することをお勧めします。

Q. 健康状態に不安がある社員の継続雇用はどう判断すればよいですか。

心身の故障により業務に堪えられないと認められる場合は、継続雇用しないことができます。ただし、この判断は医師の診断等の客観的な資料に基づいて行う必要があり、会社の主観的な判断のみで決めることは避けるべきです。

Q. 継続雇用を拒否する場合、どのような手続を踏むべきですか。

拒否の理由となる事実の記録・本人への説明の機会の確保・就業規則の該当条項の確認などの手続を丁寧に踏むことが重要です。拒否の判断は紛争リスクが高いため、事前に弁護士に相談の上で進めることを強くお勧めします。

経営上のポイント 継続雇用を拒否できるのは、就業規則の解雇事由・退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合に限られます。判断ではまず健康状態、次に懲戒歴等の客観的な事情を重視すべきであり、「雇用と年金の接続」という立法趣旨からすれば拒否は極めて限定的な場合にとどめるべきです。継続雇用制度の対象者基準と就業規則の整備とあわせて、継続雇用拒否の判断について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。高年齢者の継続雇用拒否の判断でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月10日

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