労働問題262 労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる休日労働時間とは、どのような時間のことをいいますか。
|
✓
|
休日割増賃金(残業代)の計算基礎となる「休日労働時間」とは、労基法35条の法定休日(1週1休)に労働させた時間 すべての休日に働かせた時間が「休日労働」になるわけではありません |
|
✓
|
法定休日は「1週に1日」(労基法35条)。土日休み・祝祭日休みでも、法定休日は通常1日だけ それ以外の休日は「所定休日」であり、所定休日の労働は休日割増賃金ではなく時間外労働の問題になります |
|
✓
|
週休二日・祝祭日休みの会社で、土曜日や祝祭日に働かせた場合は「休日労働」には該当しない場合がある 日曜日が法定休日の場合、土曜日や祝祭日は所定休日に過ぎず、その日の労働は休日割増賃金の対象外です |
|
✓
|
所定休日の労働が週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えれば時間外割増賃金の対象になる 休日割増賃金(35%増)と時間外割増賃金(25%増)は制度が異なるため、適切に区別して計算する必要があります |
目次
01「休日労働時間」の定義——法定休日に労働させた時間
労基法に基づく残業代(休日割増賃金)計算の基礎となる休日労働時間とは、労基法35条の法定休日(1週1休)に労働させた時間のことをいいます。
重要なのは、「すべての休日に働かせた時間」が休日労働に当たるわけではないという点です。労基法が休日割増賃金(35%以上の割増)の対象として規定しているのは、法律で保障された「法定休日」に労働させた時間に限られます。就業規則や労働契約で設けられている休日(所定休日)に労働させた場合は、休日割増賃金の対象ではなく、週の所定労働時間・法定労働時間との関係で時間外労働として取り扱う必要があります。
02法定休日(労基法35条)とは何か
法定休日とは、労働基準法35条に基づき使用者が労働者に与えなければならない休日のことをいいます。同条は、使用者に対して「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」(週1休の原則)と定めています。4週4日の変形休日制を採用した場合は4週間に4日以上となります。
週休二日制(土日休み)や祝祭日も休日とする会社においては、複数の休日が設けられていますが、そのうち法定休日に当たるのは原則として「1週間に1日」のみです。どの日を法定休日にするかは、就業規則で定めることが多く、定めがない場合は労働者にとって有利となるよう解釈されることがあります。
法定休日:労基法35条が保障する最低限の休日(1週1回以上)。この日に労働させると休日割増賃金(35%以上)が発生します。
所定休日:法定休日を超えて就業規則等で設けられた休日。この日に労働させても休日割増賃金は発生しませんが、時間外労働として週40時間超過分の時間外割増賃金(25%以上)が発生する場合があります。
03土曜日・祝祭日の労働は「休日労働」に該当しないケース
土日が休日の週休二日制で祝祭日が休日の会社において、休日である土曜日や祝祭日に労働させた場合であっても、日曜日が法定休日の場合は、ここでいう休日労働には該当しません。
例えば、就業規則で「日曜日を法定休日とし、土曜日・祝祭日はその他の休日(所定休日)とする」と定めている会社において、土曜日に社員に出勤させた場合、その日の労働は「所定休日労働」であり、休日割増賃金(35%増)の対象ではありません。あくまで法定休日である日曜日に出勤させた場合にのみ、休日割増賃金が発生します。
04所定休日労働が「時間外労働」に該当する可能性
土曜日や祝祭日(所定休日)に労働させた場合、休日割増賃金の対象ではありませんが、週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えて労働させた結果、時間外労働に該当する可能性があります。
例えば、月曜日から金曜日まで1日8時間(週40時間)働かせた後、土曜日にさらに4時間労働させた場合、その土曜日の4時間は週の法定労働時間(40時間)を超える時間外労働に当たり、時間外割増賃金(25%以上)の支払いが必要となります。
一方、月曜日から金曜日の間に有給休暇を取得しており、週の実労働時間が40時間未満の状態で土曜日に出勤させた場合は、週の合計が40時間を超えなければ時間外割増賃金も発生しません。
所定休日(土曜日・祝祭日等)の労働が時間外労働になるかどうかは、その週の実労働時間合計が40時間(特例措置対象事業場では44時間)を超えるかどうかで判断します。平日の労働時間+所定休日の労働時間の合計が40時間を超えた場合、超えた部分が時間外労働として25%以上の割増賃金の対象となります。
05法定休日と所定休日の区別——実務上の重要性
会社経営者にとって、法定休日と所定休日を正確に区別することは、残業代計算の適正化と労務リスク管理の両面から非常に重要です。
就業規則への法定休日の明記
どの日を法定休日とするかを就業規則に明確に定めておくことが重要です。就業規則への明記がない場合、週の最後の休日(例:日曜日)が法定休日と推定される場合があり、休日割増賃金の計算に影響が生じます。
割増率の違いの把握
法定休日労働の割増率は35%以上(労基法37条1項)、時間外労働の割増率は通常25%以上(月60時間超は50%以上)と異なります。休日労働と時間外労働を混同して計算すると、未払い残業代請求のリスクが生じます。
36協定の記載との整合性
36協定では時間外労働と休日労働の限度をそれぞれ定める必要があります。法定休日を正確に特定しておかないと、36協定の記載と実態が乖離し、法令違反のリスクが生じます。
06まとめ
残業代(休日割増賃金)計算の基礎となる「休日労働時間」とは、労基法35条の法定休日(1週1休)に労働させた時間のことをいいます。土日休み・祝祭日休みの会社でも、法定休日はそのうちの1日(通常は日曜日)に過ぎず、土曜日や祝祭日に働かせた場合は原則として休日割増賃金の対象ではありません。ただし、そのような所定休日の労働が週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えた場合は、時間外割増賃金の対象となる可能性があります。
法定休日と所定休日の区別、就業規則への法定休日の明記、割増率の正確な把握については、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。残業代・休日割増賃金の計算・就業規則の整備・残業代請求への対応でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 土曜日や祝祭日に働かせた場合、休日割増賃金を支払う必要がありますか。
A. 就業規則で日曜日を法定休日と定めている場合、土曜日や祝祭日は所定休日であり、休日割増賃金(35%以上)は発生しません。ただし、その週の労働時間の合計が週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えた場合は、超過分について時間外割増賃金(25%以上)の支払いが必要です。
Q2. 法定休日はいつと定めればよいですか。
A. 法律上、1週に1日(または4週に4日)与えることが義務付けられていますが、曜日の指定まではありません。実務上は「日曜日を法定休日とする」などと就業規則に明記することが多いです。法定休日を明確にしておくことで、休日割増賃金の計算が正確になります。明記がない場合は後のトラブルの原因になりますので、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。
Q3. 法定休日労働と時間外労働の割増率の違いを教えてください。
A. 法定休日労働の割増率は35%以上(労基法37条1項)です。時間外労働の割増率は通常25%以上(月60時間超の部分は50%以上)です。法定休日に働かせた場合は深夜労働と重複しない限り時間外割増と休日割増は重複しませんが、深夜(22時〜翌5時)に及んだ場合は深夜割増(25%以上)も加算されます。
Q4. 週休二日制の会社で36協定はどのように記載すればよいですか。
A. 36協定では、時間外労働と法定休日労働をそれぞれ別に定める必要があります。法定休日を就業規則で明確に定めたうえで、36協定にも法定休日労働の回数・時間を記載してください。法定休日の特定が曖昧なまま36協定を締結すると、実態と乖離するリスがあります。具体的な記載方法については使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。
関連ページ
最終更新日:2026年5月10日