労働問題263 労基法35条の「休日」とはどのような日?暦日付与の原則と実務上の注意点

この記事の要点

「休日」(労基法35条)とは、労働契約において労働義務がないとされている日をいう

単に休んでいる日(欠勤・有給休暇取得日)とは異なります。労働契約・就業規則上あらかじめ労働義務が免除されている日が「休日」です

「休日」は原則として「午前0時から午後12時までの24時間」の暦日で与えなければならない

行政解釈(昭和23年4月5日基発第535号)による原則です

交替制勤務等、継続24時間の休日が認められる例外がある(複数の行政通達による)

昭和57年基発第446号・昭和63年基発第150号等により、一定の場合に暦日単位でない休日付与が認められています

法定休日(1週1休)を就業規則に明確に定め、どの曜日が休日かを特定しておくことが重要

休日の特定が曖昧なまま運用すると、休日割増賃金の計算や36協定の記載に問題が生じます

01「休日」(労基法35条)の定義——労働義務がない日

 「休日」(労基法35条)とは、労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。

 使用者は、労基法35条に基づき、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならず、この休日を「法定休日」と呼びます。使用者が就業規則や労働契約でこれを上回る休日(例:週休二日制の場合の2日間)を設けている場合、そのうち法定の1日が法定休日、それ以外の休日は「所定休日」として区別されます。

 「休日」の本質は、「あらかじめ労働義務が免除されている日」という点にあります。これは、262番で解説した休日労働(法定休日に働かせた場合の割増賃金)の判断においても重要な前提となっています。

02「休日」と欠勤・有給休暇との違い

 「休日」と「欠勤」および「有給休暇取得日」は、いずれも実際に労働していない日ですが、法的な性質がまったく異なります。

区分 定義 賃金への影響
休日 あらかじめ労働義務がないとされている日(就業規則・労働契約による) 賃金支払い義務なし(ノーワーク・ノーペイの原則)
欠勤 本来労働義務がある日に無断・有断で休んだ日 賃金控除が可能(就業規則の定めによる)
有給休暇取得日 年次有給休暇(労基法39条)を取得した日。本来労働義務がある日に有給で休む 賃金支払い義務あり(有給休暇のため)

 会社経営者として、この3つの区別を正確に理解していないと、賃金計算の誤りや残業代請求への対応に問題が生じます。特に、月に何日か欠勤している社員の週の労働時間を計算する際、欠勤日と休日を混同すると時間外労働の判断を誤ることがあります。

03暦日付与の原則——午前0時から午後12時までの24時間

 「休日」は、原則として、「午前0時から午後12時までの24時間」の暦日で与えなければなりません(昭和23年4月5日基発第535号)。

 これを「暦日付与の原則」といいます。例えば、「日曜日を休日とする」と就業規則に定めた場合、その休日は日曜日の午前0時から午後12時(つまり日曜日の1日全体)を指します。土曜日の午後から月曜日の午前にかけての24時間を「休日」とするような設定は、この暦日付与の原則から外れることになります。

暦日付与の原則のポイント
「休日」は原則として暦日(午前0時〜午後12時の24時間)単位で与えなければなりません。深夜から翌日にかけて跨る形で「休日」を設けることは、原則として認められません。この原則は、交替制勤務など特殊な勤務形態においては、後述の例外が認められる場合があります。

04継続24時間の休日——暦日原則の例外

 暦日付与の原則には例外があります。昭和57年6月30日基発第446号、昭和63年3月14日基発第150号・婦発第47号、平成11年3月31日基発第168号等の行政通達により、交替制勤務等の特殊な勤務形態においては、暦日単位でなく「継続24時間」の休日付与が認められる場合があります。

 例えば、深夜業を含む交替制勤務において、勤務終了後から次の勤務開始までの間に24時間以上の連続した休息時間(休日)を確保する形で運用されている場合、暦日にこだわらずとも適法と解釈される余地があります。ただし、この例外の適用はケースバイケースであり、安易に暦日原則を外れた運用を行うことには慎重を期す必要があります。交替制勤務等における休日の設計については、使用者側弁護士・会社側弁護士に確認することをお勧めします。

05実務上の注意点——就業規則への明記と休日の特定

法定休日を就業規則に明記する

 法定休日(1週1休)として具体的にどの曜日を定めるかを就業規則に明記しておくことが重要です。「週休二日制(土曜日・日曜日)」と定めるだけでなく、「このうち日曜日を法定休日とする」と特定することで、休日割増賃金の計算や36協定の記載が明確になります。

特定しない場合のリスク

 法定休日を就業規則で明確に特定していない場合、後に労働者から「その週の最後の休日が法定休日だ」などと主張されるリスがあります。これにより、想定外の休日割増賃金が発生する可能性があります。

暦日単位での運用の確認

 休日として指定した曜日について、実際の勤務時間が深夜にわたる場合(前日の深夜まで勤務して翌日の休日に少し掛かるような場合)も含め、暦日原則に沿った運用ができているかを定期的に確認することが重要です。

06まとめ

 「休日」(労基法35条)とは、労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。欠勤や有給休暇取得日とは法的性質が異なります。休日は原則として「午前0時から午後12時までの24時間」の暦日で与えなければなりませんが(昭和23年4月5日基発第535号)、交替制勤務等では継続24時間による例外的な付与が認められる場合があります。

 休日の定義と暦日付与の原則を正確に理解し、就業規則に法定休日を明確に特定したうえで、実態に即した労務管理を行うことが重要です。就業規則の整備・休日の設計については、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則の整備・法定休日の設計・残業代請求への対応でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 労基法上の「休日」とはどのような日ですか。

A. 労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。あらかじめ就業規則や労働契約で労働義務が免除されている点が特徴です。単に欠勤した日や有給休暇を取得した日は、この意味での「休日」ではありません。

Q2. 休日は必ず午前0時から始まる24時間でなければなりませんか。

A. 原則として「午前0時から午後12時までの24時間」の暦日で与えなければなりません(昭和23年4月5日基発第535号)。ただし、交替制勤務等の特殊な勤務形態においては、継続24時間による休日付与が認められる場合があります(昭和57年6月30日基発第446号等)。

Q3. 「休日」と「欠勤」は賃金計算でどのように違いますか。

A. 休日はあらかじめ労働義務がない日ですので、賃金支払い義務は生じません(ノーワーク・ノーペイの原則)。一方、欠勤は本来労働義務がある日に休んだ日ですので、就業規則の定めに基づき賃金控除ができます。また、週の労働時間の計算において、欠勤日は労働しなかった日として時間外労働の判断に影響します。

Q4. 就業規則で法定休日を明確に特定することはなぜ重要ですか。

A. 法定休日が特定されていないと、休日割増賃金(35%以上)の計算基準が不明確になり、後に労働者から想定外の休日割増賃金を請求されるリスがあります。また、36協定では法定休日労働の回数・時間を記載する必要があるため、法定休日を特定していないと適切な協定締結ができません。

最終更新日:2026年5月10日


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