労働問題255 休憩時間の長さに関する労基法上の規制を教えて下さい。

この記事の要点

1日の労働時間が6時間以下の場合、休憩を与える必要はない

労基法34条1項は6時間を超える労働に対して休憩付与を義務付けています

1日の労働時間が6時間超8時間以内の場合は45分以上、8時間超の場合は1時間以上の休憩が必要

所定労働時間が8時間でも残業で8時間を超えた場合は、1時間以上の休憩が必要です

休憩時間の上限については労基法上の規制はない

法律上の下限を下回らない限り、何時間の休憩を与えても問題ありません

休憩時間の違反は罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となる

残業が発生した場合の追加休憩付与は見落とされやすく、特に注意が必要です

01休憩時間の下限——労基法34条1項の規制

 労働基準法34条1項は、1日の労働時間の長さに応じて、使用者が与えるべき休憩時間の下限を定めています。

1日の労働時間 必要な休憩時間(下限)
6時間以下 休憩を与える必要なし
6時間超8時間以内 45分以上
8時間超 1時間以上

 休憩時間の下限に関し、1日の労働時間が6時間までであれば休憩時間を与えることは要求されていませんが、1日の労働時間が6時間を超え8時間までの場合は45分以上の休憩時間を、1日の労働時間が8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を与える必要があります(労基法34条1項)。

02残業発生時の注意点——8時間超で追加休憩が必要

 実務上の注意点として、所定労働時間が7時間45分や8時間ちょうどに設定されている場合であっても、残業が発生して1日の実労働時間が8時間を超えた場合は、合計1時間以上の休憩を与える必要があります。

 例えば、所定労働時間が7時間45分で休憩が45分の設定になっている場合、残業が発生して実労働時間が8時間を超えた瞬間から、休憩は1時間以上必要となります。この場合、残業開始時に15分の追加休憩を与えるか、あらかじめ就業規則で対応方法を定めておく必要があります。

残業発生時によくある見落とし

所定8時間・休憩1時間のところ、残業が発生した場合
所定労働時間が8時間で休憩が1時間の場合、残業が発生しても休憩の追加は不要です(すでに1時間以上の休憩を与えているため)。

所定7時間45分・休憩45分のところ、残業が発生した場合
実労働時間が8時間を超えた時点で休憩は1時間以上必要となります。15分の追加休憩が必要であり、これを与えなければ労基法34条1項違反となります。残業代計算においても、この休憩時間の取り扱いに注意が必要です。

03休憩時間の上限規制はない

 休憩時間の上限については、労基法上の規制はありません。法律上の下限(6時間超の場合45分、8時間超の場合1時間)を下回らない限り、何時間の休憩を与えても問題ありません。

 ただし、休憩時間中は賃金を支払う義務がないことを前提として(253番参照:真の意味での休憩時間であること)、休憩時間が長くなれば当然ながら実労働時間は短くなります。会社としては就業規則に定めた時間の休憩を適切に与え、その時間を労働時間として算入しないことが重要です。

04違反した場合のリスクと実務上の対応

 労基法34条の休憩規定に違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰の対象となります(労基法119条1号)。また、適切な休憩を与えていなかった場合、その時間が労働時間として算入され、残業代請求の対象となるリスもあります。

 実務上の対応として、以下の点を確認しておくことが重要です。

会社経営者が確認すべき実務ポイント
①就業規則に休憩時間を適切に規定しているか(所定休憩時間と労働時間の整合性)、②残業が発生した場合の休憩時間の追加ルールを定めているか、③休憩時間が実態として真の意味での休憩になっているか(253番・254番参照)、④休憩時間と労働時間の記録を適切に管理しているか——これらを定期的に見直すことが重要です。

05まとめ

 休憩時間の下限は労基法34条1項によって定められており、1日の労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要です。6時間以下であれば休憩を与える義務はありません。一方、休憩時間の上限については労基法上の規制はありません。

 残業が発生して実労働時間が8時間を超えた場合の追加休憩付与は見落とされやすいため、特に注意が必要です。違反した場合は刑事罰の対象となるほか、残業代請求のリスも生じます。休憩時間の設計・就業規則の整備については、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。休憩時間の規制対応・就業規則の整備・残業代トラブルの予防でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 6時間勤務の場合、休憩時間は与えなくてもよいですか。

A. 労基法34条1項上は、1日の労働時間が6時間以下であれば休憩を与える義務はありません。ただし、6時間を1分でも超えた場合は45分以上の休憩が必要です。就業規則で6時間勤務時の休憩について明確に規定しておくことをお勧めします。

Q2. 残業が発生して労働時間が8時間を超えた場合、休憩時間を追加する必要がありますか。

A. 必要な場合があります。所定休憩が45分の場合、残業で実労働時間が8時間を超えた瞬間から、休憩は合計1時間以上必要となります。15分の追加休憩を与えなければ労基法34条1項違反となります。所定休憩がすでに1時間以上の場合は追加不要です。

Q3. 休憩時間に上限はありますか。

A. 労基法上、休憩時間の上限に関する規制はありません。法律上の下限(6時間超の場合45分、8時間超の場合1時間)を下回らない限り、何時間の休憩を与えても問題ありません。ただし、休憩時間中は賃金を支払う義務がないことを前提に、実態として真の意味での休憩時間となっていることが必要です。

Q4. 休憩時間を与えなかった場合、どのようなリスクがありますか。

A. 労基法34条違反として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰の対象となります(労基法119条1号)。また、適切な休憩を与えていなかった場合はその時間が労働時間として算入され、残業代請求の対象となるリスもあります。就業規則の整備と実態の管理が重要です。

最終更新日:2026年5月10日


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