労働問題998 偽装請負とはどういうものですか。

この記事の結論
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形式は請負でも実質は労働者供給・派遣となっている状態

偽装請負とは、形式的には業務処理請負契約の形を取っているが、実質的には請負の4要件を満たしていないため、労働者供給又は労働者派遣の実態を有していることをいいます。

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労働省告示第37号が示す2つの基準で適法性が判断される

業務処理請負というためには、①自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること、②請け負った業務を自己の業務として相手方から独立して処理することが必要とされています。

 920・995の記事で解説した労組法上の使用者性・出向と労働者派遣の違いとも関連する重要な論点が、本稿で扱う「偽装請負」です。契約書上は「業務委託」「請負」としていても、実態次第では違法な労働者供給・労働者派遣として扱われるリスクがあります。

 会社側専門の弁護士の立場から、偽装請負とはどういうものかを解説します。

01偽装請負の定義

 「偽装請負」とは、形式的には業務請負処理契約の形を取っているが、実質的には、次の4要件を満たしていないため、労働者供給又は労働者派遣の実態を有していることをいいます。

02業務処理請負として認められる4要件

適法な業務処理請負の4要件
①作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること
②作業に従事する労働者を指揮監督するものであること
③作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること
④自ら提供する機械、設備、機材、もしくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画もしくは専門的な技術もしくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであり、単なる肉体的な労働力を提供するものでないこと

03労働者供給事業の禁止との関係

 労働者供給事業は、労働の強制や中間搾取などの弊害が伴うことが多いことから、職安法44条により全面的に禁止されており、厚生労働大臣の許可を受けた場合のみ、無料で事業を行うことができるとされています。

 このような全面的に禁止されている労働者供給契約と適法な業務処理請負契約の区別は、上記4要件を満たさない業務処理請負契約、及びこれらの4要件を満たしたとしても労働者供給事業の禁止を潜脱するため故意に偽装されたものであり、その事業の真の目的が労働力の供給にある場合は、業務処理委託契約ではなく、労働者供給事業を行う者として取り扱うとされています。

04労働省告示第37号が示す2つの基準

 昭和61年4月17日労働省告示第37号は、業務処理請負というためには、①自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること、②請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであることとの基準を示しています。

 ①について、具体的には、業務の遂行及び労働時間の管理を自ら行うことが求められます。②については、業務処理に要する資金を自ら調達すること、法律に規定された事業主としての責任を全て負うことが挙げられています。

05会社側が押さえておくべき視点

 会社側としては、自社が発注者側・受注者側いずれの立場であっても、契約書の名称にかかわらず、実態としてこれらの要件を満たしているかを定期的に点検することが重要です。特に発注者側の現場責任者が、請負会社の従業員に対して直接業務指示を出している、作業時間・休憩時間を発注者側が指定している、といった実態がある場合には、②の指揮監督要件が崩れ、偽装請負と判断されるリスクが高まります。

 偽装請負と判断された場合、920の記事で解説した労組法上の使用者性の問題や、995の記事で解説した労働契約申込みみなし制度の適用対象となり得るため、契約構造と実際の運用実態を一致させることが不可欠です。

06よくある質問(FAQ)

Q. 契約書に「請負契約」と記載していれば、偽装請負にはなりませんか。

なりません。契約書の名称ではなく、実態として4要件を満たしているかどうかで判断されます。

Q. 発注者が請負会社の従業員に直接業務指示を出している場合、問題がありますか。

問題があります。作業に従事する労働者を請負会社自身が指揮監督しているとはいえなくなり、偽装請負と判断されるリスクが高まります。

Q. 偽装請負と判断されると、どうなりますか。

労働者供給事業として職安法44条違反となるほか、労働者派遣法違反として労働契約申込みみなし制度の適用対象となる可能性があります。

経営上のポイント 偽装請負とは、形式上は業務処理請負契約でも、実質的には請負の4要件(財政上・法律上の責任、指揮監督、使用者としての義務、自らの機械・設備等の使用)を満たさず、労働者供給又は労働者派遣の実態を有していることをいいます。労働省告示第37号は、①自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること、②請け負った業務を自己の業務として相手方から独立して処理することという2つの基準を示しています。会社側としては、発注者・受注者いずれの立場であっても、契約書の名称にかかわらず、実際の指揮命令・業務遂行の実態がこれらの要件を満たしているかを定期的に点検することが重要です。請負・業務委託契約の適法性の確認は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。請負・業務委託契約の適法性の確認でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日

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