労働問題175 労契法19条の「更新の申込み」は、どの程度のものがあれば認められますか。
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「更新の申込み」「締結の申込み」は要式行為ではなく、非常に緩やかに解釈される 使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が伝わるものでよいとされています。 |
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雇止め面談での「辞めたくない」等の口頭発言だけで申込みが成立し得るため、記録が重要 雇止め面談は事前に弁護士と進め方を確認した上で行うことが不可欠です。 |
労契法19条の「更新の申込み」とは、有期労働契約の期間満了に際して労働者が更新または再締結を希望する意思表示をいい、厚生労働省通達によれば要式行為ではなく、使用者の雇止めに対する労働者の何らかの反対の意思表示が伝わるもので足りると解されています。労働契約法19条の「更新の申込み」や「締結の申込み」があったといえるためには、どの程度のものが必要なのでしょうか。この点は、雇止めが争われた場合に「申込みがあったかどうか」という形で問題になります。
結論として、申込みは要式行為ではなく、非常に緩やかに解釈されます。本ページでは、申込みの要件と実務上の注意点について、会社側専門の弁護士が解説します。
01申込みの要件|異議の表明で足ります
結論:労契法19条の「更新の申込み」「締結の申込み」は要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものであれば足りると、厚生労働省通達(基発0810第2号)により解釈されています。同通達によれば、「法第19条の『更新の申込み』及び『締結の申込み』は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよいと解されるものであること」とされています。
つまり、書面による申込みである必要はなく、口頭での「辞めたくない」「続けて働きたい」という発言も申込みに当たり得ます。
02実務上の重要な含意
結論:申込みの要件が非常に緩やかであることから、雇止めの面談で社員が「辞めたくない」等と発言した場合、それだけで「更新の申込み」があったと評価される可能性があるため、雇止め面談の記録は慎重に残す必要があります。書面での明確な申込みがなくても申込みと評価されるため、「書面での申込みがない」という主張は通りにくいです。
また、「辞めたくない」という口頭発言だけで申込みが成立し得るため、雇止めの面談記録は慎重に残す必要があります。さらに、雇止め後に「続けて働きたかった」と言った場合でも「締結の申込み」と評価される可能性があることに留意が必要です。雇止めの通告面談で、社員が「辞めたくない」「どうにかならないか」などと発言した場合、それだけで「更新の申込み」があったと評価される可能性があります。雇止め面談は事前に弁護士と進め方を確認した上で行うことが不可欠です。
03申込みの時期|期間満了前と満了後遅滞なく
結論:申込みの時期は、有期労働契約の契約期間が満了する日までの間(更新の申込み)、または契約期間の満了後遅滞なく(締結の申込み)のいずれかが必要です。「遅滞なく」の具体的な期間については、比較的緩やかに解釈されることが予想されます。
有期契約社員の雇止め面談の進め方・申込みの有無の評価については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。
雇止め面談の比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(申込みの見落としリスク) |
|---|---|
| 雇止め面談の内容・社員の発言を詳細に記録する | 口頭のやり取りのみで記録を残さない |
| 事前に弁護士と面談の進め方を確認する | 準備なく面談に臨み不用意な発言を招く |
| 社員の反応を複数の管理職で確認・署名する | 一人の担当者のみで対応し記録の裏付けがない |
| 「辞めたくない」等の発言があれば申込みありとして慎重に対応する | 口頭発言を軽視し「申込みはなかった」と決めつける |
04よくある質問(FAQ)
Q. 社員が「分かりました」「了解しました」と言って雇止めを受け入れた場合は申込みがなかったといえますか。
「分かりました」「了解しました」と言って雇止めを受け入れた場合は、原則として申込みがなかったと評価される可能性があります。ただし、その後に「やはり辞めたくなかった」と主張する場合や、当時の状況から事実上の同意ではなかったと評価される余地もあります。雇止め面談では、社員の反応を詳細に記録し、署名確認を取ることが重要です。
Q. 雇止め面談でどのような記録を残すべきですか。
雇止め面談では、日時・場所・立会人・雇止めの通告内容・通告に対する社員の反応(具体的な発言内容)・面談の経緯を詳細に記録することが重要です。記録は複数の管理職が確認・署名し、可能であれば社員にも確認書への署名を求めることが望ましいです。社員が署名を拒否した場合は、その事実も記録に残してください。
Q. 「満了後遅滞なく」とはどれくらいの期間ですか。
「遅滞なく」の具体的な期間については、裁判例の蓄積によって明確になっていく部分があります。厚生労働省の通達では特定の期間は定められておらず、個別の状況に応じて判断されます。一般的には、契約期間満了後すぐに異議を表明すれば「遅滞なく」に該当すると解されます。具体的な判断については弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。有期契約社員の雇止め申込みの評価・雇止め面談の進め方でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年7月10日